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ショーシャンクの空に


2時間22分というとても長い映画だった。
なのに時間をまったく感じさせない。

素晴らしい作品。
こういう小説を書かなければならない。

主人公のアンディーが図書係となり、毎週、
州議会に図書予算の要望の手紙を書き続け、
ようやく幾ばくかの予算をつけてもらうこと
になった。さらに手紙を書き続け毎年の図書
予算をつけてもらうことに成功し、汚い倉庫
同然だった図書室を囚人たちの娯楽と教養を
身につける場に激変させる。そんなとき、悪
たれの若者が改心して高卒資格を取りたいと
アンディーに志願してくる。

本当にやる気があるのか本人に確かめたもの
の、遠く遠く茨の道が待っていた。基礎の基
礎のアルファベットから教えなければならな
かった。それでもアンディーとともに一生懸
命に努力を重ねた若者は数年後に高卒資格試
験に合格する。

本来の図書館のあり方を指し示すこのシーン
だけでもボクに観させようとする神の魔力が
感じられた。

この映画、存在はもちろん知っていたが、今
まで観たことはなかった。ボクが学生時代、
一緒に芝居をしていた座長Wの未亡人が
勧めている作品だと知って観ようと思った。

高卒資格を取った若者は恩義を感じ、アン
ディーの身の潔白を証明しようとするのだ が……。
とても残念なことにこの若者同様、Wも若く
して他界してしまった。

一緒に芝居を続けていれば良かったのかもし
れない。芝居はしなくとも、もっと一緒に
酒を酌み交わせばよかったのかもしれない。

後悔先に立たずというが、ボクにできること
は何かなかったのかといつも悔やんでいる。

46年前(1978年)、池袋駅東口ビックリガ
ード横の空き地に初めて状況劇場を観に行
ったのは彼と一緒だった。
演目は忘れもしない『ユニコン物語 台東区篇』
だった。

あれは衝撃的だった。
これが芝居というものならボクは一生芝居に
魂を捧げたいとまでそのとき本気で思った。

あのとき主役のテシオを演じていた根津甚八
さんも、アドネを演じた李礼仙(後に李麗仙
に改名)さんも、そして先日、唐十郎さんも
亡くなってしまった。

今、生きている人間でさえ残された時間は
有限なのだ。

希望を待ち続けることの大切さ。
この映画はそれを思い出させてくれた。

軽薄な作品はもう封印して、このように
しっかりした作品に一日も早く取り組まな
くてはならない。

今は亡きWのためにも……。

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