絆という足かせ
絆は
ほだしとも言います。
それは
馬などをつなぎ止めておく綱のこと
手かせ足かせ
自由を縛るものでもあるのです。
この絆という魔法のような言葉が
誰かの口から発せられるたびに
それは必ず称賛され
幸せの象徴のように扱われるのです。
山と川ばかりの田舎で育った私は
子供の頃からその絆という
美しくも
しがらみと束縛の象徴の中で
生きてきました。
田舎は人と違ってはいけないのです。
ある日大人達が
近所に嫁いできた
お嫁さん👰のことを話していました。
とても小さい!
と言うのです。
顔が美人じゃないとか家事が苦手とか
そういうことではなく
身体が小さすぎると言うのです。
昭和の時代とはいえ
子供の私には
およそ理解不能なことでした。
でも大人達は地域の絆という
圧倒的な力で
とうとう
彼女を追い出してしまったのです。
父も母も姉たちさえも
絆の魔力にからめ取られたように
皆と同じことを望むのです。
私は家族の中で
ずっと孤独でした。
理解し合えない、愛せない
そんな人が家族であるはずがないと
絆の圧力が私を責め続けました。
絆は無敵ですか?
絶対的なものですか?
家族との絆から弾き出された私は
長い間
人との関係性に苦しみましたが
半世紀以上も生きてきて
ようやく
今
本当の意味の絆
束縛でもなく
足かせにもならず
それは本来とても温かくて
優しい関係を
作り上げることが
出来た気がしています。
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