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貴方には勝てない

彼とお出かけをした帰り道。
最近の仕事の悩みを相談した。
「仕事のキャパについて悩んでる。専科で関わっている学年だけ手伝うのも不公平だなと思って、色々な学年の頼まれごとを引き受けるようにしている。でも、『これって私がする仕事?』って思うことや、おざなりに頼まれることが増えてきてモヤモヤする。」

彼から返ってきた答えは、
「それは不公平感を生みだすシステムが悪い。そもそも管理職は、他の学年も時数を調整するなどして差が出ないようにしないと駄目だと思う。まあ、教科担任制導入の過渡期だから仕方ない部分もあるけど。𓏸𓏸ちゃんが責任感を持ちすぎることは無いんだよ。でも手伝おうという気持ちは素敵だね。ただ、納得できないことは言っていいんだよ。頼み方ってものがあるからね。」


そうか、システムが悪いのか。
私ひとりで全ての学年に公平に関わることなんて。そもそも無理だったんだ。
勝手に背負いすぎていたな。
自分のできる範囲で先生方に関わろう。
流石クレバーな彼。完璧な回答。
一瞬で大元の問題を言い当てた。
私は、同じことを相談されても、
「それはキツかったね。無理しないでね。」という屁の突っ張りにもならないようなことしか言えないだろう。
彼の冷静に物事を分析し、論理的に言語化できるところを心から頼りにしている。

そう言えば以前、
「これって何て名前か知ってる?」
ドヤ顔で紙垂を指さす私に、
「"しで"でしょ?」
何を当たり前のことを聞くんだ?というキョトン顔で彼は答えた。
恥ずかしい。穴があったら入っていたところだ。
自分の中でとっておきの蘊蓄を披露した浅はかな私。
知識量も物事を捉える力も遥かに私を凌駕する彼。
尊敬に勝る魅力なし。

思えばあの日から貴方には勝てない。

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