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開業届とかけまして、ピアスの穴と解く。

その心は・・・
どちらも開くのは一瞬。

昨日、ついに開業しました。プルプル震えながら開業届を出しに行った話、聞いてください。

頭の中がフワフワしたままで税事務所まで行くと、駐車場が車でいっぱいでした。少し入り組んだ作りになっています。「運転があまり得意でない私はここで駐車場くるくる探すの嫌だなぁー」と思い「今日じゃないっていう天のお告げかしら。」なんて逃げる言い訳をとっさに思いつきました。すると、私の車の真正面に止まっていた車がスッと出て行き、そんな言い訳は一瞬で使えないものになりました。

税事務所の中に入ると、駐車場の混み具合の割にがらんとしていました。「個人事業届出等はこちら」と言う非常に分かりやすい案内の張り紙に従って2階に上がりました。受付で開業届を出したい旨を話すと、担当者が来るので待つようにと言われました。

どうしようどうしよう。なんて説明しよう・・・。
そもそも今日時点で何もない人がしたいと言ったところでそんなにすんなりいくものだろうか。いくら稼げますか?とか言われるのかな。
くるくる考えていると「爽やかなお兄さん」といった風貌の担当者が出てきました。私はてっきりマルサの女的ないかつい方々が出てくるものだとばかり思っていたので、拍子抜けです。さらにそのお兄さんはほのぼのとした口調で「ここにお名前書いてください。事業内容は簡単で良いですよ〜。」と言ってきます。なんだか思ってた感じと違います。

私は事業内容欄に思いつくだけのことを枠ギリギリまで書きました。「はい、確認しますね。」と紙を受けとったお兄さん。何か聞かれるのかとそわそわしているとハンコをパンと押して「はいオッケーです!」•••。

記入したのは名前と住所電話番号、事業内容と屋号だけです。私がどんなビジネスプランを持っているのか、私に何ができるのか、私が何をやってきて、どんな人間なのか何一つ聞かれませんでした。性別も、年齢さえも聞かれませんでした。

私は拍子抜けして「え、終わりですか?」「写真撮っておいていいですか?」と聞きました。職員の方が「じゃあコピーとっておきましょうか?」とコピーをとってきてくれました。

何の特別感もないこの瞬間に、私はまだしっくりきておらず、「やっぱり記念に原本写真撮っていいですか?!」と食い気味に言い、パシャパシャ写真を撮りました。その間、お兄さんはあたたかい目で見守っていてくれました。

本当に一瞬の出来事で、でも、自分には多分人生最大のビックイベントで。自分と世界のとのギャップに奇妙な感覚を覚えました。

20年近く前、大学生になったばかりの時に初めてピアスの穴を開けた時のことを思い出します。ピアス屋さんで「ここで開けてくれるよー。」と紹介された病院に行くと、似たような年頃の女の子たちがずらりと並んでいました。受付を済ませ列に並んでいると、緊張と恐怖心はマックスに。緊張すると、いつもトイレに行きたくなる私。あと10人弱並んでいるので、看護婦さんに「トイレに行ってきてもいいですか?」と聞くと、「もうすぐだから我慢して。」と冷たくあしらわれました。そんな看護師さんの態度に、さらに恐怖心を募らせ心臓はバクバクです。しかし看護師さんの言う通り、10人なんてあっという間に終わり私の番に。そして私のピアスの穴は、気づかないほど一瞬のうちに開きました。

当の本人は心臓バクバクで、しかもその後の人生が大きく変わる予感がしているもの。でも、端から見たらただの作業だったり、大した変化がないものだったりするんでしょうね。

ネットを叩くと、一様に「開業届なんて、タダですぐ簡単にできるものだよ。」と書いてあります。

はい、そうです。事実です。

でも。そうなんだけどさ•••。

そんな事実の裏にこんなドキドキ、ハラハラの大冒険がありました。ここに綴っておきたいと思います。

おあとがよろしいようで。

あおやま みさき

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