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宇野常寛が編集長をつとめる〈PLANETS〉の公式noteです。政治からサブカルチャー…

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宇野常寛が編集長をつとめる〈PLANETS〉の公式noteです。政治からサブカルチャーまで、独自の角度と既存メディアにはできない深度で、読むと世界の見え方が変わる記事を月に4本以上配信しています。メンバーシップでは、宇野が直接指導するオンライン講義や読書会を開催しています。

マガジン

  • PLANETS note

    宇野常寛が主宰するPLANETSがnoteでお届けするウェブマガジン。政治からサブカルチャーまで独自の角度と既存のメディアにはできない深度で情報発信しています。

  • 世界文学のアーキテクチャ

    グローバルに流通する文学作品の研究において、「世界文学」の概念が用いられるようになりました。もともとは産業革命期の19世紀に誕生したこのワードを手がかりに「小説」と「資本主義」の構造的な類似を分析しながら、「世界文学」としての小説が持つ特徴を批評家・福嶋亮大さんが理論化していきます。

  • 現役官僚のニューヨーク駐在日記

    本連載では、現役官僚である橘宏樹さんが、ニューヨークへの赴任から1年を経たタイミングで、改めて感じたアメリカの政治風土を日本の読者向けに紹介していきます。

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    三宅香帆『母が娘を殺すには?』

    「母」の呪いに、小説・漫画・ドラマ・映画等のフィクションはどう向き合ってきたのか?『人生を狂わす名著50』『文芸オタクの私が教えるバズる文章教室』の三宅香帆が、「母」との関係に悩むすべての「娘」たちに贈る、渾身の本格文芸評論! 「毒母」「呪い」「母がしんどい」「母が重い」――いまや社会現象となっている「母と娘の葛藤」は、フィクション作品の中でも繰り返し描かれ、その解法が探られてきた。 本書では、注目の若手批評家・三宅香帆の視点をもとに、「母と娘の物語」を描いた作品の分析し、「母娘問題」のひとつの「解」――「母殺し」の具体的方法を提示する。 「あまりに物騒なタイトルに、いささか驚いた人もいるかもしれないが、もちろん「母殺し」とは、物理的な殺人を意味するものではない。そうではなく、本書で主張したいのは、古来多くのフィクションが、息子の成熟の物語として「父殺し」を描いてきたように、娘もまた精神的な位相において「母殺し」をおこなう必要があるのではないか、ということだ。」――まえがきより 【本書で取り上げる作品一覧】 『イグアナの娘』『ポーの一族』『残酷な神が支配する』萩尾望都/『砂時計』芦原妃名子/『日出処の天子』山岸凉子/『イマジン』槇村さとる/『なんて素敵にジャパネスク』氷室冴子/『乳と卵』川上未映子/『爪と目』藤野可織/『吹上奇譚』『キッチン』『大川端奇譚』吉本ばなな/『銀の夜』角田光代/『凪のお暇』コナリミサト/『SPY×FAMILY』遠藤達哉/『Mother』『カルテット』『大豆田とわ子と三人の元夫』坂元裕二/『くるまの娘』宇佐見りん/『愛すべき娘たち』よしながふみ/『私ときどきレッサーパンダ』ドミー・シー/『娘について』キム・ヘジン/『肥満体恐怖症』『最愛の子ども』松浦理英子/『母という呪縛 娘という牢獄』斎藤彩
    2,200円
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    2020年代のまちづくり 震災復興から地方創生へ、オリンピックからアフターコロナへ

    震災復興から地方創生へ、オリンピックからアフターコロナへ──本書『2020年代のまちづくり』は、2010年代以降のこの国のまちづくりや国土運営についての議論を総括して、次の10年、つまり2020年代のまちづくりをどうするかを考える論集です。まちづくりに関わるさまざまなプレイヤーや研究者が集結し、建築や都市開発から小商い、アートまで、多角的にこれからの都市や公共性について議論します。評論家・宇野常寛が編者をつとめ、三菱地所による有楽町エリア再構築に向けた先導プロジェクト「Micro STARs Dev.」の協力のもと制作されました。 ▼目次 【巻頭座談会】宇野常寛×齋藤精一×重松眞理子×馬場正尊×古田秘馬|震災復興から地方創生へ 、オリンピックからコロナへ──「まちづくり」のこれまでとこれから 【インタビュー】西田司 |街にはもっと「小さな公共空間」が必要だ──「ひらく建築」や「小商い建築」から考える「クリエイティブなパブリック」の可能性 【論考】門脇耕三|「大都市・都心の再開発/地方都市・郊外のリノベーション」を超えるには?「渋谷のハロウィン」から考える、2020年代のまちづくり 【論考】白井宏昌|「環状」から「セル(細胞)状」へ。都市構造の変遷史から考える、「TOKYO2020」以降の東京改造の可能性 【インタビュー】藤村龍至|都市と国土はいかにして開発されてきたか?ニューヨークとイタリア、そして80年代から考える、2010年代以降の都市開発 【インタビュー】田中浩也|ポスト・スマートシティのビジョンを考える──街には「広義のデジタルファブリケーション」が必要だ 【座談会】井上岳一×宮﨑雅人×柳瀬博一|「地方創生」のその次へ──2010年代以降の「地方のまちづくり」を総括し、2020年代への展望を描く 【対談】川田十夢×山縣良和|「そこにある植木鉢」のように、風景から東京を変革するための方法 【対談】岸本千佳×本瀬あゆみ|建築と不動産をかけ合わせたアプローチが「地方のまちづくり」を後押しする 【対談】加藤優一×平松佑介|銭湯から考える、「適度にひらき、閉じる」公共性のあり方 【対談】坂本崇博×若松悠夏|これからの街に必要な「働く」環境とは?オフィスからコワーキングスペース(そして自宅の作業部屋)まで 【おわりに】宇野常寛|アフターコロナの都市と地方に必要なこととは何か *** 【座談会】長谷川貴之×ブランスクム文葉×牧亮平|「次世代のスター」を生み出すためのまちづくり──東京の中心部・有楽町から考える 【SAAI会員インタビュー】岩田竜馬|会社の「外」を知った僕は『マトリックス』の「赤い薬」を飲んでしまったのかもしれない 【SAAI会員インタビュー】綿石早希|知らない人同士がフラットにつながる。自然な化学反応が引き起こされる空間設計 【SAAI会員インタビュー】脇奈津子|目的なき出会いこそが、成果につながるセレンディピティを生み出す 【座談会】青井茂×中森葉月×深井厚志×吉川稔|なぜビジネス街にアーティストが集うのか? 有楽町における「アートアーバニズム」の現在地 【座談会】井上成×鈴木規文×山本桂司|なぜ渋谷・六本木でも地方でもなく「大丸有」なのか?日本の中心から、街と働き方を変えるためのプロジェクト「Micro STARs Dev. 」の挑戦
    2,420円
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    三宅香帆『母が娘を殺すには?』

    「母」の呪いに、小説・漫画・ドラマ・映画等のフィクションはどう向き合ってきたのか?『人生を狂わす名著50』『文芸オタクの私が教えるバズる文章教室』の三宅香帆が、「母」との関係に悩むすべての「娘」たちに贈る、渾身の本格文芸評論! 「毒母」「呪い」「母がしんどい」「母が重い」――いまや社会現象となっている「母と娘の葛藤」は、フィクション作品の中でも繰り返し描かれ、その解法が探られてきた。 本書では、注目の若手批評家・三宅香帆の視点をもとに、「母と娘の物語」を描いた作品の分析し、「母娘問題」のひとつの「解」――「母殺し」の具体的方法を提示する。 「あまりに物騒なタイトルに、いささか驚いた人もいるかもしれないが、もちろん「母殺し」とは、物理的な殺人を意味するものではない。そうではなく、本書で主張したいのは、古来多くのフィクションが、息子の成熟の物語として「父殺し」を描いてきたように、娘もまた精神的な位相において「母殺し」をおこなう必要があるのではないか、ということだ。」――まえがきより 【本書で取り上げる作品一覧】 『イグアナの娘』『ポーの一族』『残酷な神が支配する』萩尾望都/『砂時計』芦原妃名子/『日出処の天子』山岸凉子/『イマジン』槇村さとる/『なんて素敵にジャパネスク』氷室冴子/『乳と卵』川上未映子/『爪と目』藤野可織/『吹上奇譚』『キッチン』『大川端奇譚』吉本ばなな/『銀の夜』角田光代/『凪のお暇』コナリミサト/『SPY×FAMILY』遠藤達哉/『Mother』『カルテット』『大豆田とわ子と三人の元夫』坂元裕二/『くるまの娘』宇佐見りん/『愛すべき娘たち』よしながふみ/『私ときどきレッサーパンダ』ドミー・シー/『娘について』キム・ヘジン/『肥満体恐怖症』『最愛の子ども』松浦理英子/『母という呪縛 娘という牢獄』斎藤彩
    2,200円
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    2020年代のまちづくり 震災復興から地方創生へ、オリンピックからアフターコロナへ

    震災復興から地方創生へ、オリンピックからアフターコロナへ──本書『2020年代のまちづくり』は、2010年代以降のこの国のまちづくりや国土運営についての議論を総括して、次の10年、つまり2020年代のまちづくりをどうするかを考える論集です。まちづくりに関わるさまざまなプレイヤーや研究者が集結し、建築や都市開発から小商い、アートまで、多角的にこれからの都市や公共性について議論します。評論家・宇野常寛が編者をつとめ、三菱地所による有楽町エリア再構築に向けた先導プロジェクト「Micro STARs Dev.」の協力のもと制作されました。 ▼目次 【巻頭座談会】宇野常寛×齋藤精一×重松眞理子×馬場正尊×古田秘馬|震災復興から地方創生へ 、オリンピックからコロナへ──「まちづくり」のこれまでとこれから 【インタビュー】西田司 |街にはもっと「小さな公共空間」が必要だ──「ひらく建築」や「小商い建築」から考える「クリエイティブなパブリック」の可能性 【論考】門脇耕三|「大都市・都心の再開発/地方都市・郊外のリノベーション」を超えるには?「渋谷のハロウィン」から考える、2020年代のまちづくり 【論考】白井宏昌|「環状」から「セル(細胞)状」へ。都市構造の変遷史から考える、「TOKYO2020」以降の東京改造の可能性 【インタビュー】藤村龍至|都市と国土はいかにして開発されてきたか?ニューヨークとイタリア、そして80年代から考える、2010年代以降の都市開発 【インタビュー】田中浩也|ポスト・スマートシティのビジョンを考える──街には「広義のデジタルファブリケーション」が必要だ 【座談会】井上岳一×宮﨑雅人×柳瀬博一|「地方創生」のその次へ──2010年代以降の「地方のまちづくり」を総括し、2020年代への展望を描く 【対談】川田十夢×山縣良和|「そこにある植木鉢」のように、風景から東京を変革するための方法 【対談】岸本千佳×本瀬あゆみ|建築と不動産をかけ合わせたアプローチが「地方のまちづくり」を後押しする 【対談】加藤優一×平松佑介|銭湯から考える、「適度にひらき、閉じる」公共性のあり方 【対談】坂本崇博×若松悠夏|これからの街に必要な「働く」環境とは?オフィスからコワーキングスペース(そして自宅の作業部屋)まで 【おわりに】宇野常寛|アフターコロナの都市と地方に必要なこととは何か *** 【座談会】長谷川貴之×ブランスクム文葉×牧亮平|「次世代のスター」を生み出すためのまちづくり──東京の中心部・有楽町から考える 【SAAI会員インタビュー】岩田竜馬|会社の「外」を知った僕は『マトリックス』の「赤い薬」を飲んでしまったのかもしれない 【SAAI会員インタビュー】綿石早希|知らない人同士がフラットにつながる。自然な化学反応が引き起こされる空間設計 【SAAI会員インタビュー】脇奈津子|目的なき出会いこそが、成果につながるセレンディピティを生み出す 【座談会】青井茂×中森葉月×深井厚志×吉川稔|なぜビジネス街にアーティストが集うのか? 有楽町における「アートアーバニズム」の現在地 【座談会】井上成×鈴木規文×山本桂司|なぜ渋谷・六本木でも地方でもなく「大丸有」なのか?日本の中心から、街と働き方を変えるためのプロジェクト「Micro STARs Dev. 」の挑戦
    2,420円
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    『PLANETS vol.9』

    PLANETS編集部に残されたわずかな在庫のお蔵出しです。早い者勝ちですのでぜひお買い求めください!  ※スレ・ヤケなどがある場合があります。お買い求めの際はご了承ください。 ・・・・・・・・・・・・・ 2020年の東京五輪計画と近未来の日本像について、気鋭の論客たちからなるプロジェクトチームを結成し、4つの視点から徹底的に考える一大提言特集です。リアリスティックでありながらワクワクする日本再生のシナリオを描き出します。 <プロジェクトメンバー(順不同)〉 宇野常寛(批評家・本誌編集長)/猪子寿之(チームラボ代表)/水口哲也(クリエイター・プロデューサー)/井上明人(ゲーム研究者)/門脇耕三(建築家)/南後由和(社会学者)/濱野智史(社会学者)/速水健朗(ライター・編集者)/吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)/中川大地(文筆家・編集者) ほか (目次) [巻頭鼎談] 猪子寿之×宇野常寛×乙武洋匡「オリンピックをHACKせよ」 [巻頭インタビュー]有森裕子/古田敦也/岡田武史 【Aパート】オルタナティブ・オリンピック/パラリンピック・プロジェクト [提言1] 猪子寿之&チームラボPresents「参加型オリンピック計画」 [座談会1] 猪子寿之×宇野常寛×落合陽一×水口哲也「テクノロジーが更新するオリンピックと社会契約」 [パラリンピアンインタビュー] 鈴木徹(走り高跳び)/藤田征樹(パラサイクリング) [提言2] 井上明人「多様な身体を包摂する拡張パラリンピック計画」 [座談会2] 稲見昌彦×井上明人×川越敏司×山中俊治「サイボーグオリンピックと新しい人間観」 【Bパート】東京ブループリント:都市開発から考える国土とライフスタイルの未来 [分析編] データで見る東京/東京イデオロギーマッピング [計画編] 東京5分割計画/オルタナティブ選手村2020 [座談会] 宇野常寛×門脇耕三×中川大地×南後由和「東京はなぜ解体されるべきか」 [特別対談] 鈴木英敬(三重県知事)×達増拓也(岩手県知事)「列島改造2020」 【Cパート】2020年の夏休み:世界を大いに盛り上げるための裏五輪=サブカル文化祭 [座談会] 安藝貴範×伊藤博之×井上伸一郎×夏野剛「2020年の挑戦」 [Attraction] 東京妖怪ウォッチング/アイドル都市TOKYO/怪獣合法地帯 [Event]開会式襲撃:ショッカー五輪破壊作戦(監修:井上敏樹)/Japan Expo Tokyo/拡大コミックマーケット/原宿2.0(増田セバスチャン) 【Dパート】「オリンピック破壊計画」 東京セキュリティ・ホール:象徴破壊/物流・インフラ/治安・軍事/経済・金融 [インタビュー] 田中秀臣「経済テロを妄想する」 [座談会] 宇野常寛×中川大地×速水健朗×吉田尚記「『オリンピック破壊計画』の想像力」 /2015年1月31日発行
    2,000円
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    遅いインターネット(NewsPicks Book)

    宇野 常寛

最近の記事

第十二章 制作――ハードウェアの探究|福嶋亮大(前編)

福嶋亮大 世界文学のアーキテクチャ 1、読むこと、見ること、作ること 私は前章で、近代小説の主体性の源泉が「読むこと」の累積にあることを示した。一八世紀の書簡体小説では、登場人物たちが大量の手紙を送受信し、相手のテクストにエントリーし続ける。手紙はいわば瞑想用のアプリケーションであり、心(主観)の状態をその揺らぎも含めて、きわめて詳細に書き込むことができた。さらに、近況を報告しながら、知識や感情を親しい相手とシェアする手紙は、速報性と共同性を兼ね備えた媒体でもある。書簡体小

    • 老骨に自ら入れる鞭の驚くべき強さ~バイデン大統領一般教書演説~|橘宏樹

      橘宏樹 現役官僚のニューヨーク駐在日記 第12回 老骨に自ら入れる鞭の驚くべき強さ~バイデン大統領一般教書演説~ お久しぶりです。橘宏樹です。だいぶ間が開いてしまって申し訳ありませんでした。仕事が忙しいことに加えて、1歳数ヶ月となる子供の世話で毎日ドタバタです。子育てあるあるですが、お風呂に入れて、添い寝しながら寝かしつけると、日中の疲れもあいまって、いつの間にか自分も寝入ってしまいます。すんでのところで睡魔に打ち勝ち、ようやく自分の時間ができたとしても、そこから何か文章を書

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        • 第十一章 主体――読み取りのシステム|福嶋亮大(後編)

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        第十二章 制作――ハードウェアの探究|福嶋亮大(前編)

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          ¥780 / 月
        • 世界文学のアーキテクチャ
          23本
        • 現役官僚のニューヨーク駐在日記
          15本
        • “kakkoii”の誕生 -世紀末ボーイズトイ列伝-
          32本
        • 井上明人『中心をもたない、現象としてのゲームについて』
          45本
        • 遅いインターネット会議(配信書き起こし)
          67本

        記事

          第十一章 主体――読み取りのシステム|福嶋亮大(前編)

          福嶋亮大 世界文学のアーキテクチャ 1、一か二か ルソーが自伝文学『告白』の冒頭で「わたしひとり。わたしは自分の心を感じている。そして人々を知っている。わたしは自分の見た人々の誰とも同じようには作られていない」と大胆不敵に宣言したことを典型として、近代ヨーロッパの文学は唯一無二の創造物である「私」の探究に駆り立てられてきたように思える。故郷喪失に続く冒険を小説の基本的なテーマと見なしたジェルジ・ルカーチも、結局は「一」なる主体をその核に据えていた。 柄谷行人が指摘したよう

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          勇者シリーズ(7)「勇者警察ジェイデッカー」|池田明季哉(前編)

          反動としての『勇者警察ジェイデッカー』 「高松勇者」の一作目となった『勇者特急マイトガイン』は、「谷田部勇者」が確立した少年とロボットの関係性を大幅に再解釈し、少年のナルシシズムを強化した。結果としてマイトガインはむしろ搭乗型ロボットの美学へと傾くことになった。 こうした美学の変化に、制作側はおそらく自覚的であったと思われる。なぜならそれに続く『勇者特急ジェイデッカー』は、少年とロボットの関係に明確に立ち返っているからだ。 『勇者警察ジェイデッカー』(1994年)は、そ

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          京都アニメーション 2ストロークのリズム(後編)|石岡良治

          バンドアニメとしての『けいおん!』から考える時代性  『けいおん!』についてもう少しコメントすると、これも『CLANNAD』と同じく「2ストローク」のリズムで2シーズンの物語を描いた作品です。個人的にはテンポの良さからして1期のほうが好みではありますが。  正直当時は『けいおん!』を「バンドアニメ」としては見ていませんでした。いま聞くとサントラのクオリティがとても高いと思うんですが、当時は「いや、これはロックバンドのアニメではないのでは?」と難癖を付けていたタイプですね

          京都アニメーション 2ストロークのリズム(後編)|石岡良治

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           「京都アニメーション 2ストロークのリズム」というテーマで京アニ作品について分析しようと思います。「2ストロークのリズム」が何かは後述しますが、シンプルに言うと『CLANNAD -クラナド-』(2007〜)と、続編にあたる『CLANNAD 〜AFTER STORY〜』(2008〜)のように、シリーズの第1期終了から少し期間を空けてから続編を展開するパターンをモデルにすることができます。最近の作品では「ツルネ」シリーズもそれにあたります。  今回はファン・ヘネップ『通過儀

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          第十章 絶滅――小説の破壊的プログラム(後編)|福嶋亮大

          福嶋亮大 世界文学のアーキテクチャ 6、倒錯的な量的世界――スウィフト『ガリヴァー旅行記』 『ロビンソン・クルーソー』への自己批評と呼ぶべき『ペスト』からほどなくして、一七二六年にスウィフトの『ガリヴァー旅行記』の初版が刊行される。この奇怪な旅行小説は、一八世紀の初期グローバリゼーションを背景として、人間の可変性や可塑性を誇張的に示した。 イングランドの政治を批判する一方、故郷のアイルランドをも罵倒した非妥協的な著述家らしく、スウィフトはまさにルカーチ流の故郷喪失者として

          第十章 絶滅――小説の破壊的プログラム(後編)|福嶋亮大

          第十章 絶滅――小説の破壊的プログラム(前編)|福嶋亮大

          福嶋亮大 世界文学のアーキテクチャ 1、冒険の形式、絶滅の形式 小説をそれ以前のジャンルと区別する特性は何か。この単純だが難しい問いに対して、ハンガリーの批評家ジェルジ・ルカーチは『小説の理論』(一九二〇年)で一つの明快な答えを与えた。彼の考えでは、小説とは「先験的な故郷喪失の形式」であり、寄る辺ない故郷喪失者である主人公は「冒険」を宿命づけられている。 ルカーチによれば、近代小説の主人公は「神に見捨てられた世界」でさまざまな試練をくぐり抜けながら、固有の魂を探し求める存

          第十章 絶滅――小説の破壊的プログラム(前編)|福嶋亮大

          第九章 環境――自然から地球へ(後編)|福嶋亮大

          福嶋亮大 世界文学のアーキテクチャ 6、環境文学のビッグバン――フンボルトの惑星意識 以上のように、ルソーやワーズワースが《自然》と心を同調させる歩行の技術を定着させたことは、文学史上のブレイクスルーと呼ぶべき事件であった。レベッカ・ソルニットが示唆するように、この技術は二〇世紀のモダニズム文学にまで及ぶ[25]。主人公の行動履歴を細かく再現したヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』やジョイスの『ユリシーズ』は、歩行のログを感覚の基盤とし、それを思考や記憶の触媒とした。

          第九章 環境――自然から地球へ(後編)|福嶋亮大

          第九章 環境――自然から地球へ(前編)|福嶋亮大

          福嶋亮大 世界文学のアーキテクチャ 1、物質ともつれあった心の生成 近代文学が生成したのは、環境に心を創作させる技術である。物質的な環境(自然)の記述が、心的なものの表現として利用される――この心と自然の共鳴現象が、近代文学を特徴づけている。例えば、小説における風景描写はたんなる記録という以上に、語り手の心の動きと相関関係にある。つまり、ある特定の風景の選択は、心のステータスを間接的に説明しているのである。 もとより、心的なものと物質的なものは、さしあたり別個のシステムで

          第九章 環境――自然から地球へ(前編)|福嶋亮大

          勇者シリーズ(6)「勇者特急マイトガイン」|池田明季哉(後編)

          池田明季哉 “kakkoii”の誕生──世紀末ボーイズトイ列伝 勇者シリーズ(6)「勇者特急マイトガイン」■搭乗型ロボットとしてのマイトガイン これまでの勇者シリーズでは、自らは戦う力を持たない地球の少年と高い戦闘力を持つ異邦人のロボットが相補的に機能する構造となっていた。玩具においても戦闘は勇者ロボの領分であるからこそ、小ロボをストレートに拡張していくかたちが採用されていた。ゆえに谷田部勇者は、少年がロボットに指示を行うことで戦いを進める――指示する主体と戦う主体を分離・

          勇者シリーズ(6)「勇者特急マイトガイン」|池田明季哉(後編)

          勇者シリーズ(6)「勇者特急マイトガイン」|池田明季哉(前編)

          池田明季哉 “kakkoii”の誕生──世紀末ボーイズトイ列伝 勇者シリーズ(6)「勇者特急マイトガイン」■谷田部勇者から高松勇者へ 前回の連載では、勇者シリーズが『勇者エクスカイザー』『太陽の勇者ファイバード』『伝説の勇者ダ・ガーン』から構成される「谷田部勇者」を通じて、ロボットを通じた少年の成熟についてひとつの美学を完成させたこと、そしてそれが玩具と子どもの遊びを正確に言い表したことを整理した。 今回は第4作『勇者特急マイトガイン』について考えていく。このタイミングで谷

          勇者シリーズ(6)「勇者特急マイトガイン」|池田明季哉(前編)

          第八章 超‐感覚的なものの浮上――モダニズムの核心(後編)|福嶋亮大

          福嶋亮大 世界文学のアーキテクチャ 6、感覚の雪崩――ヴァージニア・ウルフの『灯台へ』  ヴァージニア・ウルフの一九一九年のマニフェスト的な評論「現代小説」には、その重要な手がかりが記されている。  何でもない日常の心を仔細に観察すると、そこには無数の原子化した印象が離合集散するさまが浮かんでくる――こう述べるウルフは自らの小説においても、五感に根ざしたリアリズムのプログラムを、その臨界点に推し進めた。彼女の狙いは、不定形のまま揺らめき続ける無数の印象の戯れを、「カメラ(

          第八章 超‐感覚的なものの浮上――モダニズムの核心(後編)|福嶋亮大

          第八章 超‐感覚的なものの浮上――モダニズムの核心(前編)|福嶋亮大

          福嶋亮大 世界文学のアーキテクチャ 1、五感に根ざしたリアリズム  小説の台頭は、それ自体が世界認識のパラダイムの変化と結びついている。私はここまで、それを初期グローバリゼーションと植民地の拡大という政治的な観点から説明してきたが、そこに心理的な次元での変革が関わっていたことも見逃せない。例えば、英文学者のイアン・ワットは名高い研究書『小説の勃興』のなかで、デカルトやジョン・ロックの哲学と、それに続くデフォーやリチャードソン、フィールディングら一八世紀イギリス小説のリアリズ

          第八章 超‐感覚的なものの浮上――モダニズムの核心(前編)|福嶋亮大