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月刊「ぶんぶくちゃいなノオト」

メルマガ「「§ 中 国 万 華 鏡 § 之 ぶんぶくちゃいな」(祭日を除く第1、2,4土曜日配信、なお第2,4土曜日が祝日の月は第3土曜日に追加配信/月ほぼ3回/年始年末は配信お… もっと読む
中華圏の現地でどのような注目の話題があるのか。必ずしも日本とは関係のない、また日本では話題にならな… もっと詳しく
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#香港

【ぶんぶくちゃいな】前代未聞! 香港スパイ事件

とうとう、香港でも中国国内並みにVPN(Virtual Private Network)を利用しなければ、「自由なインターネット」を楽しむことができなくなってきた。

「週刊中国ニュースクリップ(2024/5/12-18)」でも取り上げたが、5月15日、YouTubeが2019年の反政府デモの「テーマソング」と呼ばれてきた「願栄光帰香港」(香港に栄光あれ)を使った動画32本への香港からのアクセスを

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【ぶんぶくちゃいな】「歌う王族」香港政府を魅了する中東王子

3月末から4月初めの週にかけて、香港と中国はそれぞれ、前者がイースター連休(3月29日から4月1日)、後者は清明節連休(4月4日から6日)と連休続き。メディアもそれに合わせて休日配信体制に入ってしまい、ニュースチェックの感覚がちょっと狂ってしまった。

おかげで大変なニュースをうっかり見落としてしまっていた。

そのニュースとは、イースター休み明けの4月2日、香港株式取引所では3月末までに2023

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240326 【現代ビジネス】寄稿:“ソフトパワー戦争”でも「中国の苦しい立場」が浮き彫りに...東南アジアをかき回した「テイラー・スウィフト争奪戦」

日頃から英語(系)メディアを読んでいる方はさんざん目にしたはずの話題なんですが、日本語メディアにほとんど真剣に取り上げられている様子がなかったので、書きました。たぶん、日本のマスメディアには、記事中の香港議員たちと同じように薄ら笑いして「エンタメ話題」程度としか思われていなかったんだろうな……

実は、テイラー・スウィフトのシンガポール公演がアジアに与えた衝撃はすごかったんですよ。もちろん、その動

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【ぶんぶくちゃいな】国家安全条例施行、国際金融都市・香港はいったいどこへ行く?

2024年3月23日、香港の憲法と呼ばれる「香港基本法」第23条に基づき制定された、「国家安全維持条例」(以下、国安条例)が施行された。

同23条の条文にはもともとこう書かれていた(翻訳は筆者)。

今回制定された国安条例とは、この条文で触れられている行為を禁止することを目的に制定された香港独自の法令で、2020年6月に中国人民代表大会で可決された「香港国家安全維持法」(以下、国家安全法)とは別

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【ぶんぶくちゃいな】「Hong Kong is over」がもたらした激震

「Hong Kong is over.」(香港は終わった)と書かれた記事が香港で大激論を巻き起こしている。

記事を書いたのはスティーブン・ローチ氏、元モルガン・スタンレーのアジア地区主席アナリストで、現在は米エール大学の教授を務めている。2007年から12年まで香港を拠点としてアジアの経済分析を担当し、中国に対してどちらかというと楽観的、好意的な論を展開する中国経済専門家としてその名前を知られて

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【ぶんぶくちゃいな】「メッシ欠場は海外組織の陰謀」論が傷つけた香港ビジネス環境

【ぶんぶくちゃいな】「メッシ欠場は海外組織の陰謀」論が傷つけた香港ビジネス環境

すでに日本のメディアも多く取り上げて報道しているが、2月4日に香港大球場で行われたサッカー親善試合の「インテル・マイアミCF(以下、「インテル・マイアミ」)対香港選抜チーム」が大変な騒ぎに発展している。

きっかけになったのは、今サッカー界で人気絶頂のリオネル・メッシ選手とルイス・スアレス選手がベンチに座ったまま出場しなかったことだ。試合は4対1でインテル・マイアミ側の勝利で終わったが、超人気選手

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240210 【ダイヤモンド・オンライン】寄稿:「カネ返せ!」メッシの試合欠場に中国人が大激怒、でも香港人は薄ら笑いのワケ

先週日曜日(2月4日)に香港大球場で行なわれた、インテル・マイアミと香港選抜チームとのサッカー親善試合が大騒ぎを引き起こしています。事態はまだまだ動いていますが、昨9日までの最新裏話をまとめました。

なお、本日配信予定のメルマガ「§ 中 国 万 華 鏡 § 之 ぶんぶくちゃいな」では、その後続情報とこの記事には書ききれなかった、この事件で見えてきた香港及びその経済を巡るさらに深刻な事情、そしてそ

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【ぶんぶくちゃいな】香港区議会選挙の「制度完備」で見えてきた新「下剋上」

香港区議会選挙が今月10日に投票を終えた。

2019年末に行われた前回選挙では、同年6月以降続いた、アンチ政府デモの勢いに乗って民主派が新人候補も含めて全議席の8割を獲得したが、今回の選挙の目的はほぼ、そうした民主派の存在を公的機関から一掃することに置き換えられていることは、「【ぶんぶくちゃいな】仕組まれた権力の罠:『一国二制度』下の香港区議会選挙」ですでに述べたとおりだ。今回はその結果、見えて

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【ぶんぶくちゃいな】『時代の行動者たち』刊行:2019年デモ、香港市民はなぜ、そしてどのように支えたのか

【ぶんぶくちゃいな】『時代の行動者たち』刊行:2019年デモ、香港市民はなぜ、そしてどのように支えたのか

日々、香港のニュースに目をやるごとにやるせなさばかりが先に立つ。

先日も、学齢期の子どもの4人に1人が過去1年間に精神障害による疾患を抱えているという調査報告に激震した。子どもの自殺もここ数年極端に増えており、それはもちろん、直接は彼らの悩みを解決するための手段がないことから来る絶望感によるものなのだが、学校も友だちも家族も、あるいはもっと身近な親戚たちにも相談相手がいないか、あるいは真剣に聞い

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【ぶんぶくちゃいな】仕組まれた権力の罠:「一国二制度」下の香港区議会選挙

12月10日に投票が行われる香港区議会議員選挙への立候補受付が10月30日に締め切られた。そこで、香港民主派の「惨敗」が確定した。

区議会議員の選挙は4年に1度行われることになっている。前回2019年の選挙は同年11月に行われ、投票率はこれまで香港で行われたすべての選挙を上回る71.23%を記録した。区議会はこれまでずっと親中親政府的な立場を採る「建制派」が牛耳ってきたが、この選挙で争われた合計

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【ぶんぶくちゃいな】国慶節ゴールデンウィーク:自国民にウラをかかれた中国当局、日本メディアに八つ当たり

中国に暮らす人たちにとって、きっと1年で最も楽しみではないかと思われる連休「国慶節ゴールデンウィーク」が一応、6日に終了した。今年は9月29日の金曜日が中秋節(旧暦の「中秋の節句」)だったのでこの日から休みに入り、10月1日の国慶節を経て6日までの8連休となった。

ただ、「一応終了」というのは、国慶節の祭日は正式には5日間とされていて、中秋節を足して今回は6日のところを土日を跨いだ長期連休となっ

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【ぶんぶくちゃいな】「不夜城香港を取り戻せ」 政府が仕掛ける次なる手とは

東アジアはまさに台風シーズンに入った。日本でもこのところ毎日のように台風情報が流れているが、同様に日本列島より南に位置する台湾域(「域」という意味では沖縄、とくに石垣あたりも含まれる)、中国東部海岸線及び香港・マカオでも続けざまに台風の影響を受けている。

今週は先月末に発生した台風11号「海葵」(「ハイクイ」と読む)が、沖縄の先島諸島沖を通過し、そのまま台湾南部に上陸して同島を横切り、東シナ海を

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【ぶんぶくちゃいな】「黄色経済圏を潰せ!」:日本メディアが伝えきれない香港の現実

【ぶんぶくちゃいな】「黄色経済圏を潰せ!」:日本メディアが伝えきれない香港の現実

日本のメディア各社が6月30日に合わせて「香港で『国家安全維持法』(以下、国家安全法)が制定されてから3年、香港の今は?」という特集を終えたばかりの7月初め、主権返還から26周年を迎えた香港特別行政区政府(以下、香港政府)は次々と新たな動きに出た。

まず、香港警察国家安全処が7月3日に記者会見を開き、香港の永久居住権を持ち、現在は海外に居住する8人に対し、正式に裁判所の認可を経て国家安全法違反容

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【ぶんぶくちゃいな】「端午の節句」連休に見る、中国経済事情

仕事やなんやらで10日間、6月の香港に滞在してきた。

15年ほど前にやはり6月中旬に拙著『中国新声代』の元記事の取材で3日間ほど滞在したのだが、このときは暑くて暑くて、朝ホテルを出る前にシャワーを浴びて、昼に時間を見てホテルに戻ってシャワーを浴びて、夕方取材を終えてシャワーを浴びて、夕食終えてホテルに戻ってシャワーを浴びて……という生活を送ったことを覚えている。その結果、4日後に北京に戻ったら「

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