【ぶんぶくちゃいな】白熱する香港行政長官選挙、香港ファーストか中国ファーストか(前哨戦)

3月に入り、やっと寒暖が二転三転していた日本も春めいてきた。梅が慌てたように咲き始め、そろそろ桜便りも楽しみになってきた。

そんな時、香港から取材にやってきたある知り合いによると、香港はすでに「暑い」んだそうで。そうだった、香港って旧正月(つまり春節)がすぎると、あれよあれよと気温と湿度が上がる。3月でももう30℃くらいは普通となる。年末に香港で過ごしたときにも思ったけど、日本が冬のうちは香港で避寒して過ごせる身分になりたい。

だが、ただでさえ気温が真夏並みになっているのに今年の3月の香港は特に暑苦しい話題満載である。

まず、3月26日に香港特別区行政長官を選出する選挙が行われる。現職の梁振英氏はまだ1期目だが、すでに「家庭内の事情」を理由に出馬しないことを明らかにしており、まったく新しい候補者たちから選ばれることになっている。

特に注目されるのが、梁行政長官のもとで、財政のトップを務めていた曾俊華氏と、政務トップを務めていた林鄭月娥氏(女性)がふたりとも名乗りをあげている。

過去5年間、これまで以上に中国共産党に擦り寄る行政長官として市民に大変人気のなかった梁振英氏だが、その梁体制を支えていた二人が選挙でガチンコするという異常事態である。

●背負うのは香港意識と中国文化

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