【ぶんぶくちゃいな】国家安全条例施行、国際金融都市・香港はいったいどこへ行く?

2024年3月23日、香港の憲法と呼ばれる「香港基本法」第23条に基づき制定された、「国家安全維持条例」(以下、国安条例)が施行された。

同23条の条文にはもともとこう書かれていた(翻訳は筆者)。

第23条 香港特別行政区では反逆、国家分裂、反乱の煽動、中央人民政府に対する転覆行為、国家機密の窃取を禁止し、外国の政治組織・団体が香港特別行政区内において政治活動を行うことを禁止し、香港特別行政区の政治組織・団体が外国の政治組織・団体と関係を結ぶことを禁止するための法律を独自に制定しなければならない。

「香港基本法」https://x.gd/P4so0

今回制定された国安条例とは、この条文で触れられている行為を禁止することを目的に制定された香港独自の法令で、2020年6月に中国人民代表大会で可決された「香港国家安全維持法」(以下、国家安全法)とは別物である。混同しがちだが、香港政府の触れ込みによると、国安条例は「外国に向けたもの」、そして国家安全法は「香港に向けたもの」という位置づけだ層だ。

国安条例が1997年7月1日の主権返還により発効した香港基本法から26年あまりも経ってやっと、この3月19日に立法会で全会一致で可決され、成立すると、李家超・行政長官はそれを「香港の歴史的瞬間」と形容した。

確かに「歴史的瞬間」だった。しかし、その瞬間を迎えた香港市民の心のうちは、必ずしも李行政長官の意図するような晴れ晴れしい気分ではなく、なんともいえない苦い思いが広がったはずだ。


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