見出し画像

シニア世代の新ライフハック:国際ロマンス詐欺に騙されないために VOL.4

宇佐和通です。この記事では国際ロマンス詐欺の当事者が書いたマニュアルの後半を読み込んでいくわけですが、今回はとてもタイムリーなアップになりました。実は、17日に放送されたTBSの『ひるおび』で国際ロマンス詐欺の特集が組まれていたのです。具体的な対処方法や騙されないためのヒントもさまざま紹介されていたので、ご興味ある方は動画を検索してご覧になることをお勧めします。

このトピックで書かせていただくのは4回目になります。核の部分として取り扱っているのは、英米の白人女性を騙すことを目的にナイジェリア人詐欺師が書いたマニュアルです。これを読み込んでいるわけですが、どうやら最近はまったく同じものがアジア人女性、とくに日本人女性に特化したバージョンとしてアップデートされているようなのです。前記事で紹介したように、定型文をそのまま日本語に直して送るという作業をルーティーンとしてこなしていることが想像できます。

前回の記事は、最初のメッセージを書くところまでの流れでした。最初のメッセージで気を惹くことに成功すると、何とかしてトークを長引かせ、やりとりを継続しようとします。この部分の方法論がまた稚拙で、バカ丸出しなんです。
「人生最後で食べるピザのトッピングは?」
「過去の時代に戻れるとしたら、どの時代を選ぶ?」
「無人島に4人連れて行けるとしたら、誰にする?」
どうでもいいわ! ところが彼らは、こうした質問を「ウィットに富んだ洗練された会話の糸口」と定義しています。こんなバカどもに騙されて、2億4000万円も振り込んでしまう人が実在するのです。

後は「趣味を尋ねろ」とか「ほめちぎれ」とか書いてあるのですが、もーそれはそれは陳腐。「相手を褒めれば一晩で落ちることもある。褒められたら女性は舞い上がる」って、ここから始める理由がどこにあるのかまったくわかりません。いや、ちょっと考えたらわかりました。やつら、やっぱりバカなんです。

I can’t believe I found someone like you.
(君みたいな人に出会えたなんて、信じらない)
I love every inch of you— even your toes
(君のすべてを愛してる。つま先までね)
I can fully be myself with you
(君と一緒だと本当の自分でいられる)
こんなフレーズが60個もリストされているんです。20個読んでやめました。ただ、以下の部分は被害を防ぐという意味で有益かもしれません。

Don’t ask for anything yet
Wait for at least a week of chatting with her
Plenty guys like you have messaged her before so if you want her to love you and
give you money, you have to behave differently
Keep the chat going for long before you ask for anything
Build a connection with her
Spend days talking about random things, and learn a lot about her.
The more you know about her, the better it will be for you
It can be time-consuming, but its totally worth it
まだ何も頼まない。チャットでのやりとりを少なくとも1週間は続けよう。競争相手は多い。そんな状況の中で目立てるように、自分は他の男たちとは違うことを示さなければならない。時間をかけて関係性を築いていくこと。スモールトークで距離を縮める。彼女に関する情報は多ければ多いほどいい。時間はかかるが、ここでじっくり構えることが大きな利益をもたらす。

興味深いと思ったことがあります。ターゲットがいる国が夜から深夜になる時間を狙ってメッセージを送るということが強調されているのです。いわゆる真夜中のラブレター現象的な効果をもたらしたいのだと思われます。

それと同じくらい大切なのが、朝いちで見るタイミングの時間を見計らってロマンティックな言葉のメッセージを送れと書かれています。夜寝る直前と朝起きた直後に印象を刷り込むということなのでしょう。お察しの通り、こちらも夜用と朝用のサンプルメッセージが延々と示されています。

「文法に気をつけよう」という項目もあります。情熱が勝れば文法の間違いなど気にしないはずだ、としながら「どうしても気になるならGrammalyというアプリを使おう。スペリングミスも文法の間違いも直してくれる」なんて大まじめに書いてあるのです。もう、マジなのかネタなのかわかりません。いや、お金がからむのだからマジなのでしょう。

そして、キラーコンテンツとして「ユーモア」という項目が別立てされていて、くっだらないジョークが延々と書かれています。ナイジェリアでは大爆笑かもしれないけれど、ものごとや人間関係を野生動物にたとえたジョークをぶちかまされても……。そういう間違った形のごり押しにすべてを当てはめてしまおうという姿勢が見え隠れしています。

はっきり言って、もっとしっかりしたものを想像していました。こんなずさんな仕上がりでは、マニュアルとはとても呼べません。それ以上に、このマニュアルを実践してお金を巻き上げることができるというのが驚き以外の何物でもありません。事件のすべては『メール・オンライン』に詳しく書かれています。

さて、騙しのテクニック集がマニュアルという形で存在することが確認できたわけです。ここからどうするのか。怪しい友達リクエストは無視です。何らかの理由で承認してしまったら、最初のメッセージを見ましょう。プロフに示されているのと違う名前を使っていたり、日本語が怪しいと感じた時点でブロックです。

SNSを問題なく使いこなしている人たちはたくさんいます。シニア世代に限って言っても同じことです。使いこなしているからこそ、悪い奴らと遭遇する可能性が高まります。ほんの少しのコモンセンスを働かせれば、防げることがたくさんあると思います。

今日もここまで読んでいただき、ありだとうございました。次回のアップでまたお会いしましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?