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AI全盛期の時代になったからこそ絶対に求められる“あの能力”の話。【ChatGPT×人類】

こんにちは、HKRです。

毎日のようにAI関連の新しいサービスが生まれ、そのサービスをポチポチ触れながら夜は待ちに待った新刊『街とその不確かな壁』をゆっくり読む日々が続いています。仕事はどうした、俺。



いまのAIブーム(?)を引き起こしたのはChatGPTですが、最近になって私の職業である整体・セラピストとAIの共通点のようなものを見出しました。それは「コミュニケーション」です。「検索と会話」「単語を並べるか、会話をするか」で出力(提供するもの)が変わるのは、AIも人間も変わらないのでは?ということを考えたので、それについて語ってみます。

AIツールに関心がある人、治療院やサロンに行かれる人にも有用な話なので、参考にしていただければ幸いです。


あなたのコミュニケーション能力によって、サービスの質が変わる。


これまでのITのツールは主に「検索🔍」ベースで、欲しい情報の単語を並べればそれに関連するものがズラッと出てくるというのが一般的でした。

Google Chrome

しかし、ChatGPTやBing AIなどの文章生成モデルでは、主に会話するように検索するのが一般的になっています。(たぶん)

Bing AI

昨今のAIツールでは、単語を並べて伝えるよりは会話で具体性をもつ内容のほうが、自分の求めるものが返ってきやすいようです。私もいろんなAIツールを使っているのですが、ふと「これって整体でも同じだよな」と思い浮かびました。

どういうことかと言うと、我々施術者はまずお客様に対して身体のどこが気になるのかを尋ねます。そのとき、多くの人は「肩」とか「腰」など単語で返してきます。私の場合は「いつ頃から」「どのように動かすと辛いのか」など、詳細を確認するのですが、まあ大抵は「よくわからない」といった素っ気ない返答で終わるものです(リラクゼーション系では特に)。

こういう要望が曖昧で原因が特定しづらい場合、ほとんどの施術者は“流します”。全身をザラっとほぐして「ハイ、お終い」です。検索ツールに「肩こり」と1つ単語を入力しただけでは当たり障りない該当ページが並ぶように、要望(入力)も単語で終わると施術(出力)も当たり障りないものを提供しがちです。ぶっちゃけると施術者側としてはとても楽ではあります。だって何にも考えずに手を動かしてればいいんだから。


一方で、要望を会話ベースでキチンと伝えてくれる人は、その人が望むもの(あるいはそれ以上のもの)を提供される可能性が高まります。先日、とても愛嬌のある高齢の女性が来店されたのですが、その方は膝の痛みを訴えてきました。私はいつも通り詳細の確認に入ったのですが、その女性はいつ頃から、どのように辛いかだけでなく、過去の病歴から生活習慣まで事細かに語ってくれたのです(まあ一方的に喋ってくれたのですが笑)。

そうすると施術者側としては単に膝の問題だけでなく、いただいた情報から根本的な原因を突き止めて、すぐに求められているものを提供することができます。おかげさまでその女性は、膝の痛みだけでなく、膝関節の可動域や股関節、腰まわりの動きまで改善し、「こんなに動くの久々だわ〜」と喜ばれて帰っていかれました。この結果(出力)は、施術者に会話で詳細を伝えてくれた(入力がわかりやすかった)から生まれたものです。

コミュニケーションが「単語」なのか「会話」なのかによってサービスの質が変わるのは、AIも人間も変わらない。結局、ネットがより進化していってもコミュニケーション能力は変わらず求められていくと思いました。


令和コソコソ噂話


ちなみに、こういった話をすると「コチラが何も言わずとも的確にサービスを返すのが仕事だろ!」と言う客側の人もいるでしょう(コミュニケーションしたくない人が言いがち)。たしかにそれは一理あります。サービス提供者は、常に100点満点の素晴らしいサービスをお客様に提供するのが理想ですよね。


ですが、理想と現実は違います。


施術者も人間です。1日に何人もの人間を施術し、時には休憩なく数時間ぶっ続けで体力仕事をこなしていれば、集中力も欠いてきます。特に昨今では施術者も高齢化の波が襲ってきている感があり、いかに体力自慢といえど20代と50代では、やはり違いを隠すのは難しいでしょう。疲労が溜まる中で単語ベースの曖昧な要望で完結する相手には、詳細を確認せずに無心状態で極力体力を減らさない“流す施術“でサッサと帰すスタイルになる施術者もいます。(たぶん結構な数ね)

まあ、そうすると事故が起こる率が爆上がりしちゃうので、私はそうならないように気をつけていますが、施術者の気を引き締めさせたければそれなりのコミュニケーションをした方が安全性は上がると思いますよ。会話すると自然と人間扱いしますが、無言の相手は”生き物“ではない扱い方になっていきますからねぇ⋯疲れてくると。


【参考】消費者事故対策に関する行政評価・監視 -医業類似行為等による事故の対策を中心として-

https://www.soumu.go.jp/main_content/000717043.pdf


今回は、私のいる業界(=整体・リラクゼーション)の話をしましたが、おそらくサービス業全般に通じる話だと思います。接客業を経験したことがある人はわかるでしょうけど、自分が客側になったときは愛想よく、それでいて前に出すぎないように振る舞うとサービスの受けが良くなります。接客側の気持ちを体験すると、良いサービスを受けるにはどういう態度が適切なのかを考えてしまいます。ま、人対人ですから、相手の倫理観(=頭)に賭けるよりは情(=心)に訴えるほうが良いサービスを受けられるというのが、長年接客業に勤めている人間としての経験談です。結局はコミュニケーション能力が大事なんですよねぇ。



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