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#11 コンディション不良なチームに見られる共通の特徴

ワークショップデザイナーの相内洋輔です。先日「おもしろい!」を言い合えるチームが良いチームという記事を書き、いい雰囲気を作り出せるチームの特徴についてご紹介しました。

今日はその逆、コンディション不良なチームの特徴を取り上げます。

私は毎年「チームの雰囲気が悪いのでワークショップをして欲しい」というご依頼をいただくのですが、いざワークショップを始めてみると、必ず同じことを感じるんですよね。



コンディションが悪いチームに見られる「帰属シグナル」の欠如

何かと言うと、コンディション不良なチームには帰属シグナルが欠如している、ということです。

帰属シグナルとは、心理的安全性を高めるために欠かせないコミュニケーション上のサインなのですが、うまくいっていないチームにはこれがほぼ見られないんですね。

帰属シグナルとは「安心安全なつながりを構築するような態度」のことで、人によってさまざまなバリエーションがある。例えば、笑顔、物理的な距離の近さ、アイコンタクト、相手と同一の動作、エネルギーの交流、順番に発言、相手への気配り、ボディランゲージ、声の高さ、ぶれない価値観などだ。

(中略)
これらのシグナルがすべて合わさると「あなたはここにいても安全だ」とい
うメッセージになり、場に心理的安全性がもたらされる。

『だから僕たちは、組織を変えていける やる気に満ちた「やさしいチーム」のつくりかた』


ワークショップ中に顕著な3つの「反帰属シグナル」

コンディション不良のチームにワークショップをご提供させていただくと、むしろ「反帰属シグナル」とでも言うか、関係性にマイナスの作用をもたらす3つの態度が目立ちます。

1つ目は発表者への視線です。ワークショップでは個々人の意見を他者へ共有する時間が必ずあります。この時コンディションが良好なチームは、しっかりと話者の顔を見つめ、相手の話に耳を傾けます。

一方コンディション不良のチームは、じっと机に視線を落とします。全く発表者のほうを向いていないどころか、下を向いてしまっているので、「あなたの話には価値がない」というサインを送っているに等しい態度です。

2つ目は相槌。「いいね!」などの言語的な相槌や、「うんうん」とうなづく等の身体的な相槌は話者の不安を緩和し、安心して話しやすい環境を作ります。

しかしコンディション不良のチームは、誰かが話している間、地蔵のように固まっています。こちらも「興味がない」というお気持ち表明には打ってつけてのやり方です。

そして3つ目は発表後のリアクション。コンディションが良好なチームでは、誰かが発表を終えた際は自然と拍手が生まれ、自己開示してくれたことへの感謝や称賛が伝えられます。

これに対して、コンディション不良のチームでは全く拍手やアイコンタクトなどが生まれません。私(ファシリテーター)だけが拍手をしていることも、決して珍しくありません。

問題なのは、これらがクセとして染み付いてしまって、オートで発動してしまっていることなんです。ご本人たちは、ほとんど無自覚だったりします。

ですから、こうしたコミュニケーションがいかに組織のコンディションを下げるかを自覚していたただき、振る舞いに違いを作っていただけくだけでも、ワークショップ当日の雰囲気って、ガラリと明るくなっていくんです。

「良い成果」は「良い関係」から

MITのダニエル・キム教授は、組織が継続的に結果を出し続け成長していくためには何が必要なのかを研究し、「成功循環サイクル」を提唱しました。

その結果、まず関係の質を高めることが、結果の質を高めるという考え方が、組織開発の現場ではメジャーになっています。

ダニエル・キム 成功循環モデル

もし人と人との関係を一瞬でベストな状態に整えるソリューションがあれば、世界中で大ヒット商品になっているだろうと思いますが、残念ながら、そのような画期的なサービスは今のところ見当たらないですよね。この点においては、ワークショップも特効薬とは言い切れません。

ですがワークショップは、関係構築のための足場を作る初めの一歩としては、非常によく機能すると私は思っています。

バラバラになっている関係性を繋ぎ直したり、不信になっている間柄を、もう一度信じてみようと思えるような状態まで修復したりするには、お互いに少しずつ自分を開示しあって、対話してみる必要がありますが、ワークショップはその初手、あるいは仕切り直しの儀式として、とても有効です。

ワークショップは他者理解や合意形成のエクササイズ

日本の社会では「人とうまく付き合っていくのが当たり前だ」というムードが暗黙の前提となっているように思いますが、協働や協調が得意な方もいれば、当然そうではない方もいます。正直、昔の私はとても苦手でした。

また、コミュニケーションのお作法も人それぞれです。

そうした多様な人々が集ってチームを形成するからには、相互理解や対話の練習、基本ルールの設定などが必要です。

その点ワークショップは、コミュニティ形成(仲間づくり)のための他者理解や合意形成のエクササイズであり、格好の学びの機会なのです。

しかし、チームのコンディションが悪いことを憂いている方ほど、「こんな状態で何かやっても意味ない…」「うちの組織にワークショップなんて…」というお気持ちが支配的になってしまい、外部に機会を求めることを諦めてしまっているように感じます。

実際私もそうでした。そもそも私が独立しようと思ったきっかけは、所属していたチームのコンディションに起因します。当時の私は何か手を打ってチームの状況を改善しようとは思わなかったですし、また、状況が改善される未来を信じることもできませんでした。

私自身も悪い空気を作っている主体者だったので、誰が悪いとか言う話ではなく、反省すべきお恥ずかしい話なのですが、あの日々の苦しさ・ツマラなさは、できればもう味わいたくありませんし、他の方においても、同じような思いはして欲しくないなあと思うのですよね。

ですが日本の各地には、様々なご事情で、コンディションが上がらない組織が多数存在しているかと思います。これは本当に、日本の未来にとって大きな損失だと感じます。

だから私は、過去への自戒も込めて、組織の現状に困っている方の力になれたら、ワークショップデザイナー冥利に尽きるなあと思っています。

もし、チームコンディションの不良に悩まれている方がいらしたら、お気軽にご相談いただければ嬉しいです。

その際はまず、じっくりとお話を聞かせていただきます。

ワークショップデザイナー
相内 洋輔


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