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#1 ワークショップのアイスブレイクはシンプルに!

ワークショップデザイナーの相内洋輔です。私はワークショップを面白いと思ってくださる方がもっと増えることを意図して、ワークショップデザインやファシリテーションのコツなどについてブログやラジオでお届けしています!

先日はワークショップラジオワークショップの会場をあたためるアイスブレイクについてお話しさせていただきました。この記事では、ラジオで話したことを要約してお届けします。


アイスブレイク上手はワークショップ上手

アイスブレイクは対話の場作りに参加してくださる方々の緊張感をほぐしたり、新しく出会う方々の関係性を紡いで、メインワークに集中して取り組めるような心身の状態を作る大切な時間です。

なのでアイスブレイクがうまく進み、参加社が安心して場になじめた会は、メインの対話も自然と盛り上がります

逆にアイスブレイクでめちゃくちゃ滑ってしまった会は、そのまま不穏な空気が続いてしまい、終始盛り上がらないということがよく起こります。

喩えが適切か分かりませんが、街角でナンパされた際、最初のトークが面白かったり安心できる印象だったら、お茶くらい付き合ってみてもいいかな?という気持ちになりやすいと思うのです。

逆に怖かったり無愛想だったりしたら、それ以上の関係になろうとは思いにくいですよね。

ワークショップの開幕も、これに似ています。楽しさや安心感が芽生えたらGood、不信感が生まれたらBadです。

さて、長い時間をかけるワークショップであれば多少オープニングで滑っても、後から挽回できる時間が十分にあります。

ですが、2時間とか3時間ぐらいの短いワークショップで滑ってしまうと、なかなか失点を取り返すのが難しいのです。

だからワークショップの入りって結構注意が必要だと思うんですけれど、多くの人が、アイスブレイクってめちゃくちゃ盛り上げなければならないっていう風に思い込みすぎていて、力んじゃうんですよね

盛り上げようと力みすぎるのは逆効果

特に年齢が若い方々にアイスブレイクを考えていただくときほどこの傾向が顕著なんですけど、思いっきり歌って踊るアクティビティを用意されたり、会場中を駆け回って心身ともに強制的に興奮させるようなアイスブレイクを用意されたりということがすごく多いなと感じています。

これ自体がダメということではないんですけれども、必要以上に場を盛り上げようとして逆に滑ってしまうということが結構起こりがちなんですよ。

例えばですけれども合宿の朝の集い6時半頃から参加者と一緒に活動していくようなときに、「元気を出していこうぜーー!」みたいな感じで音楽をかけて踊っちゃうとか。

当然なんですが朝はみんな眠いんで、全然盛り上がらなくて逆に場を静かにしてしまったりという失敗はよくあります。

あるいは、初対面の方々どうしが、過度に肌が触れ合うようなワークを選んでしまうなんてミスチョイスもありがちです。

参加者どうしの仲が良くなってきたら、チームビルディング的なワークを通じて多少の身体接触があっても抵抗感が湧きづらくなるんですけれども、いきなりそれをやっちゃうとすごい嫌悪感が生まれてしまう危険性が大です。

そうすると主催者としては、人と人の距離感が縮まるようにと思ってワークをご提供しているにも関わらず、全くの逆効果になってしまいますので、アイスブレイクを選ぶ時には、こういう点に意識を向けた方がいいと思うんですね。

私自身はすごく会場を盛り上げなければならないというふうには思わずにですね、みんながこの場に馴染めるように、ちょっと息が吸いやすくなるようにというぐらいの意識でアイスブレイクをご提供するようにしています。そうすると開幕から参加者に強い抵抗感を抱かせてしまう、という致命的な失点を防ぎやすいんですよね。

冒頭から過度に自己開示を求めるのは野暮ですね

また他にもよくやってしまいがちなアイスブレイクの失敗パターンが、冒頭からものすごく深い自己開示を要求してしまうことです。

ワークショップって自分自身が思っていることを素直に開示しあい、その開示の深さが成果につながる、というのはその通りなんですけれども、いきなり冒頭から深い自己開示というのは難しいですよね。

よっぽど仲のいいメンバーならまた別ですけれども、多くの場合は会社の同僚であるとか、地域の方々であるとか、自分とは少し距離感がある方々が同じグループだったりするわけです。そういった方々に出会ってすぐ深い自己開示ができるかというと、そうできる人はなかなかいないんですよね。

自己開示には段階があって、最初はすごく簡単なこと、これくらいは言っても大丈夫だと思えることからお願いする方が、結果的に後半の深い自己開示につながりやすいと私は感じています。

例えば自分が好きな食べ物とか、これまでやってきた部活であるとか、最近嬉しかったこととか。身近で話しやすいことから始めていただいて、だんだんと本題に対する自分の本音や洞察を開示いただけるような構成でデザインできると、参加者に優しくて喜ばれると思います。

テンションの上げすぎによるギャップが生まれないように

ファシリテーター方がものすごくハイテンションでアイスブレイクに入ってしまうパターンも要注意で、だいたい滑ります。

これ場が盛り上がっている時とか、参加者の仲がいい時はまた別なんですけれども、通常の場合はアイスブレイクを始める時、会場は盛り上がってないんですよね。

そこに一人だけファシリテーターがめちゃくちゃハイテンションで入っていくと、そのギャップで参加者がより引いてしまうということが起こりがち。

なので盛り上げるためには過剰に自分自身のテンションを上げなければいけない! などとは思わずに、普段よりもワントーンぐらい高めのテンションに留めてお話を始めていくといいんじゃないかなと思います。

参加者イジリや内輪ネタは最悪

最後にお伝えしておきたいアイスブレイクの失敗ポイントなんですけれども、特定の参加者をいじったりとか、内輪ネタで笑いを取ることは控えましょう。

これ、元ネタや人間関係が分かる方々は盛り上がれるんですけれど、それに乗れない方々というのはものすごく差を感じて、逆に殻に閉じこもってしまいます。

特に内輪ネタ・ノリは新規参加者をアウェーへと追い込む悪手です。場作りの主催者はこの点を念頭に置きつつ、節度をもって臨んだほうが良いと思うのです。

まとめ

ワークショップのアイスブレイクは過度に盛り上げようとするのではなくて、程よいさじ加減で、シンプルなワークをご提供するのがベター

私は過去に数百回ワークショップをご提供してきたのですが、今はこんな風意識でアイスブレイクを進めることに落ち着いています。

昔はよくやっちゃっていたことだな…、と自戒を込めて書きますが、表面的にはすごく盛り上がっているように見えても、参加者の心がほぐれていなかったりとか、参加者同士の心の距離感が縮まっていなければ、そのアイスブレイクって無意味なんですよね…。

なのでドカーンと一発打ち上げ花火を上げるみたいなイメージではなくて、ジワジワーっとずっと燃え続けていくようなオープニングをイメージできるととてもいいんじゃないかなと思っていて、ぜひたくさんの方に声を大にしてお伝えしたいのです。

「アイスブレイク」という言葉を使わない選択も

ちなみに余談なんですが、私自身はワークショップでファシリテーションをするときに、「これからアイスブレイクをします」とは言わないようにしているんです。

どうしてかというと、参加者の中に「アイスブレイクっていうワードを聞くだけで緊張する」という方が一定数いらっしゃるからなんです。

過去にアイスブレイクで無理やり自己開示をさせられたとか、歌ったり踊ったりするのが苦手なのにそれをやらされたみたいなですね、嫌な記憶が残っている方っていうのが必ずいらっしゃるんです。

こちらとしてはアイスブレイクを通じて心身をほぐしていただきたいのに、アイスブレイクと告げることによって、逆に参加者のマインドが固まってしまうなんて、もったいなさ過ぎますよね。

こういう避けようと思えば回避できるマイナス作用は避けるに限りますので、私はアイスブレイクっていうワードは使わないようにしているんです。

代わりに「ウォーミングアップをしていきましょう」とか「本題に入る前に少し皆さんの人となりを知ってから進めていきましょう」みたいな言い換えをしてアイスブレイクって言葉を匂わせないようにしています。

きっと皆さんが実施されるワークショップにも、アイスブレイクに対して苦手意識を持っている方が必ずどこかでいらっしゃるんじゃないかなと思いますので、ぜひ頭の片隅に止めておいていただいて、この場ではアイスブレイクって言わない方がいいかもみたいな場があれば、他の言い換えをしてみていただけると嬉しいです。

ということで今日はアイスブレイクについて、私が日々思っていることをご紹介させていただきました。

お読みいただきありがとうございました。

ワークショップデザイナー
相内 洋輔

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【アイスブレイクについてのブログ】


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