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【展覧会レポ】北欧の神秘 @ SOMPO美術館

SOMPO美術館で開催中の『北欧の神秘』展に行ってきました!

◆公式サイト

本特別展では、いわゆる"北欧"と呼ばれる地域:ノルウェー、フィンランド、スェーデン(スカンディナヴィア半島)の1900年前後における美術の黄金期を紹介していきます。

どこか神秘的で、現代の創作に様々な影響を与えている"北欧"文化の源泉に触れることができます。

※撮影はすべて著者によるものです。
※展示室内の写真は撮影可能なエリアのみのものです。


"北欧"の世界へ

いわゆる"北欧"で皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。

本展では、その黎明期からテキストの確立、そして近代化の中へ溶け込んでいく過程を4つの章立てで観ることができます。

その源泉は、19世紀にヨーロッパで流行したナショナリズム(国家、民族主義)の高まりにあります。この風潮が北欧地域にも伝わり、彼等独自の芸術を模索していったのです。そして、自然や伝承をベースとした視覚芸術へ発展していったのですね。驚いたのは、早い段階から写真を制作に用いていた点です。写実性に富んだ美しく壮麗な風景絵画は、国家のイメージとして確立されたようです。

初期の作品群には輪郭のしっかりとした写実さが見られます。そして、明闇の中に柔らかい色合いがあり、澄んだ空気感、霧のような曖昧な表現、陽や月の光の表現が、作者は違えど"北欧"絵画には通じています。

"北欧"における自然への想いは絵画を通じて感じ取ることができます。ヨーロッパの象徴主義:自然と調和した原始的な暮らしへの渇望、自然回帰理想がこの地でより開花したようにも感じられます。

『雲の影』ハルマン・ノッルマン、『春の夜』ニルス・クレーゲル、『冬の日』ヴァイノ・ブロムステットなどは個人的なお気に入り作品なのでぜひ観てみてください。

また、北欧地域の民間叙事詩(民族叙事詩『カレワラ』)などから芸術のインスピレーションを受けることも"北欧"絵画の特徴です。なかでも森はイマジネーションをかき立てる存在だったようです。そこは、人々が立ち入らない場所。不思議な出来事が起こり、奇妙な人々が住んでいるかも的な場所。怪物、魔女、妖精が住む場所。まさに神話とファンタジーの世界がこの地の象徴となった証に感じます。

芸術から創作へ。その過程で写実さが薄まり、曖昧なタッチや色使いになったようにも思えます。トロールや北欧の騎士など、様々な題材の絵画もありますのでぜひご堪能ください。

テオドール・キッテルセンの作品群が特におすすめで、ノルウェーの自然像に独特のファンタジー要素を加えたテイストがとても素敵です。


産業革命以降、北欧絵画にも近代化が訪れます。ナショナル・ロマンティシズム:薄明の時間帯を捉えた都市景観画などが流行し、その神秘性が徐々に影を潜めていくのです。。。


"北欧"の神秘に触れる旅、ぜひ美術館で感じられる独特の世界観を体感してみてください!

展覧会は6月9日まで新宿のSOMPO美術館で開催中です。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


※執筆にあたり解説パネルやチラシ、公式サイトなどを引用、参照しています。

※記載の考察や感想は個人によるものです。あらかじめご容赦ください。

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