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「古今和歌集」私撰秀歌 巻第十七 雑歌上 歌869

 ここから「巻第十七 雑歌上」です。

 雑多な歌です。上巻は、嬉しい気持ちを歌う、歌になります。

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 この十七巻以降(古今和歌集 全訳注 四巻)を一言で言えば、「その他」です。これまでの大きなカテゴリーに入らなかった歌が多く入っています。

 短歌以外にも、長歌、旋頭歌(五七七 五七七)や、俳諧なども入っています。

 そして、「全訳注 四巻」には、墨滅歌(すみけちうた)も掲載されています。古今和歌集は、写しているバージョン違いによって、入っている歌、入っていない歌がありますので。

 ちなみに墨滅歌については、これぞという歌はありませんでした。

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「近院右のおほいまうちぎみ

色なしと人や見るらむ昔よりふかき心にそめてしものを」

●漢字付加:
色無しと
人や見るらむ

昔より
深き心に
染めてしものを

●歌意:
 この綾絹は、染めていないので、人は色がないと思って見るだろうか。しかし昔より、私が深い心で染めているので、そう心で見て欲しい。

●感想:
 白絹のままで保存し、季節に応じて染めて使用する。それを白絹のままで送ったことに対する歌。

 白綾に見えるが、深く思い染めているので、心で見て欲しいという歌。

 心の温かさと柔らかさを感じる歌。

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 ここで、「巻第十七 雑歌上」は終わり。次回からは「巻第十八 雑歌下」。

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目次と序:
https://note.mu/yanai/n/n5825ea920db5

参考文献:
講談社学術文庫「古今和歌集 全訳注 四巻」(久曾神 昇)P17
#短歌 #詩

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