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映画「ゴールデンカムイ」感想

 映画の感想です。

 「ゴールデンカムイ」の実写版映画を見てきました。

 評判がよかったので安心して見に行ったのですが、本当によかったです。これは「ゴールデンカムイ」だと思いました。あと、映画としても非常に楽しめるようになっていました。

 感想は多岐にわたるのですが、いくつかピックアップしてまとめます。

 まず、冒頭の二百三高地のシーンです。最初に、死体が転がっているシーンで始まります。お金が掛かりそうだし、死体の散乱で済ませるのかなと思ったら、そこから壮絶なアクションシーンが始まります。

 杉元が鬼神のごとく動き回って殺戮を繰り広げます。このシークエンスが終わったところで、俳優の山崎賢人が杉元佐一に変貌しました。顔かたちは違っていても、杉元として認識できるようになりました。

 そういう意味で、この冒頭シーンは大成功だと思います。

 その後、現代編(本編)が始まるのですが、映画公開前に出された写真で、「服がきれいすぎる」と言われていたのが、映画公開後に誰も言わなくなった理由が分かりました。

 服を汚していない代わりに、俳優の顔と手をこれでもかと汚しているのです。そのことにより、画面としての汚しのバランスを取っている。

 軍服や民族衣装を映えさせつつ、リアリティのバランスを肉体の汚しで担保している。これは意図的なものだなと分かるものでした。

 そして、この俳優の汚しは、「ゴールデンカムイ」のテーマのひとつを映像で表現する仕掛けにもなっていました。

 映画の途中で、アシリパさんが杉元に手を差し伸べるシーンがあります。そこで「あれ? アシリパさんの手だけ、汚しが一切ないぞ」と違和感を持たせます。

 そして、映画のラストで杉元がアシリパさんに、故郷の梅子に寅次の骨を届けにいき、目の見えない梅子に「誰?」と言われたエピソードを話します。

 このあとに、再びアシリパさんが杉元に手を差し伸べます。そう、汚しの入っていない真っ白な手で。

 この映像は、殺人者の手と、非殺人者の手の対比なんですね。「ゴールデンカムイ」の物語の大きなテーマのひとつに「アシリパさんが人を殺すか」というのがあります。それを、映像にきちんと落とし込んで表現している。

 実写版を作ったスタッフが、「ゴールデンカムイ」という物語を理解して、尊重しているのが、映画のラストのこのシーンでよく伝わってきました。

 さて、その他の感想についても書きます。

 各キャラクターが原作そのもので驚きました。二階堂のきもち悪さもそのままだし、鶴見の機械人形のような奇っ怪さもそのままです。あと、牛山とフチの再現度が異様に高かったです。

 そして、出色の出来だったのが白石です。白石、マジ白石という感じです。顔かたちは似ていないのですが、これは白石だと納得します。

 もう一つ、熊がマジで怖い。「うわっ」と映画館で声が出ます。そう、熊が怖くない「ゴールデンカムイ」は、「ゴールデンカムイ」ではない。熊は「ゴールデンカムイ」の中で最強のキャラクターです。

 アクションシーンの出来も非常によく、満足度の高い映画でした。

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