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スキマじゃないのよ遊びは 〜材料の公差と施工のくふう


実は、日本における室内用の木製手すりの材料は、各社ある程度サイズ感が揃っている。太さは直径35mmを中心に、あとは32mmの選択肢があるかどうか。

これは、一般社団法人 ベターリビング協会が優良住宅部品認定基準の中に歩行・動作補助手すりの基準を定めていることと関連している、と聞いたことがある。

以前は直径45mmの丸棒の手すりが、階段にそっけなく付けてあったりしたのだが、あれは金具間の距離を飛ばすのに十分な強度があったので、特に柱間1間(おおよそ畳1枚の縦の長さ)を飛ばさざるを得ないような階段の手すりでは、施工側としては便利なものだったように思う。
でも、BL協会の例示基準がすべて40mm以下となっている現在では、その手すりの金具が折れたとしてもなかなか交換部品は見つからない。なので太さは最大で35mmのものにならざるを得ないのだ。

なおBL協会の手すり基準はこちら、ご興味のある方向け兼自分用のメモとして。

https://www.cbl.or.jp/blsys/blnintei/pdf2/srw23.pdf


そんな、木製手すりの太さだが、決まった太さを謳っている奴らにも、その中で実は結構なバラツキがある。また設計基準値が35mmであっても、木は生き物であるから、水を木口から吸ったりするとしっかり膨らむ。そこまで極端でなくても、湿度の高い環境であればそれなりに影響がでる。

なので、それを支える金物のほうも、それを踏まえた寸法になる。言い換えると緩めになる。
つまりこれは製作精度がいい加減なのではなく、そういった事情を加味して少し大きく作っているのだ。これを製造公差、というらしい(厳密には違うかも)。

なので、木製手すりを組み立てるときには、それを組み立てる側による、その隙間処理が必要になる。
それをやらないで取り付けると、がたつきが発生したりするし、しないまでも取り付け時に金物がずれたりしやすくなり、仕上がり精度に影響を与える。特に、カポッと先端にはめ込んで、横から止めるタイプはその影響が顕著になる。

接着剤などを隙間に入れて緩み止めとする方もいるかもしれないが、こちらはシンプルにこれを巻いている。

マスキングテ〜プ〜

テープは水色じゃなくて、黄色がいい感じです。
水色の方は薄いし硬くなるし脆いからね。

こうやって4巻くらい巻いてから

ここで金具をつけてみて、グラグラしない厚さにテープ層を調整した上で横からネジ止めして、

固定します

この処理をサボると、こういった縦枠用の金物なら微妙に斜めになって、枠との並行が狂い見苦しくなったりするのだ。

そして何より、このマスキングテープ、実は普段の家屋調査の際に、手すり予定位置をマーキングするのに使っている。
なので、ほぼ忘れてくることはなく、ありがたいことにカバンの奥底に2、3個落ちている。 

そういったものを、別の用途に使うことで仕事のレベルを少し上げることにつながるという話、でした。特にDIY派の皆さんに。

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