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パンみみ日記「読書の民を見つけ出せ」

日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。


4月2日(火)
九州で働いているパピコ(愉快な後輩)が東京出張に来るということで、柴犬さん(温厚な先輩)を急遽招集して3人で飲み会。

中華料理屋のカウンターで、焼売や餃子をおともに乾杯。この3人はなんでも話せるから、そのぶんお酒も進んでしまう。

楽しくおしゃべりをしていると、近くのテーブル席にいたおばちゃんがパピコに話しかけてきた。

「ちょっとお姉さん!このイス、高さ合ってないんじゃない?ワタシが調整してあげる!」

おばちゃんはパピコの椅子を調整し始めた。相変わらず、パピコは異常な吸引力を持っている。(近所の弁当屋さんとすぐに親しくなったりしている)

東京にいるはずなのに、急にローカル感が漂う。「人になぜか話しかけられちゃう能力」って、あるよね。


4月4日(木)
会社。ビーグルくん(犬系の癒される後輩)とモルコ(モルモット系のほのぼの後輩)とランチ。

モルコが少し間を置き、口を開く。

「このあいだ話した『何か願いが一つ叶うなら』なんですけど、あれから図書館で真剣に考えまして」

先日は願いごとをテーマにおしゃべりしていたのだ。モルコはその後も考えてくれていた。なんて健気なんだろう。

そんなことよりも、大事な情報が含まれているではないか。「図書館で」だと…!期待に胸を膨らませながら、質問してみる。

「モルコって本を読むんですか…?」

彼女はうなずき、好きな作家を語ってくれた。そしてお互いに「私の推し図書館」を発表した。

図書館トークができる人が職場にいたなんて。よさくは偉大なる一歩を踏み出した。


4月5日(金)
会社。プロジェクトで、ぼくが作った資料をWebデザインを担当している他部署の先輩にブラッシュアップしてもらえることになった。

完成後の資料が送られる。タイトルの配置や配色、グラフィックの追加が見事にされており、読みやすくもスタイリッシュな仕上がりになっていた。

感動の気持ちを原動力に、テクテクと別のフロアへ。先輩のデスクに行き、お礼を伝える。そして頭を下げた。

「先輩みたいなデザインセンスを身につけるには、どうしたらいいでしょうか?」

門下生として入門させてほしい、くらいの気持ちで目線を向ける。

先輩は少し驚きながらも、ハッと思いついたように本を取り出した。

「デザインって正解がないから難しいんだよね。でも、ウチの部署はデザインの基本をこれで学んでるよ」

手渡されたのは、『レイアウト、基本の「き」』という本だった。

「なんか見にくい、読みづらいを解消するエッセンスが詰まってるよ。基本をおさえるならここからかな」

ページをパラパラとめくる。文字のフォントや行間、サイズや余白など、印刷物を作る上で大切な知識が綺麗にまとまっている。仕事はもちろん、文学フリマの本作りに役立ちそうだ。

「趣味で本作ってて、学びたいと思ってたとこなんですよ!」という言葉が喉の先まで出かかった。危ない。


4月6日(土)
お気に入りの図書館へ。8時間ほどこもっていた。我ながらコスパのよい趣味を持っていると思う。

近所の桜が綺麗だった。この季節を同じくらいの感度で味わうことができる人と、今話したいと思った。

ついつい見上げてしまう


4月7日(日)
阿佐ヶ谷の喫茶店へ。詳しくはこちら。

東京も探せばおひとりさま選手権を優勝できるカフェがたくさんあるんだな〜。もっと開拓していきたい。


4月9日(火)
会社でランチ。モルコが話しかけてくれた。

「あれから気になってたんですけど、よさくさんにとっての『いい図書館』の定義ってなんでしょうか?」

ワクワクする問いかけすぎて「非常にいい質問ですね」と返してしまった。セミナー会場の雰囲気が漂いはじめる。

「蔵書量が多い」「開放感がある」「カフェが併設されている」「特集コーナーのセンスが光っている」など、さまざまな要素があがった。

職場で本の話をすることを控えていたけれど、意外と「読書の民」は身近に潜んでいるのかもしれない。

この世界に散りばめられた読書の民を、見つけ出していくことを今年のミッションにした(壮大なスケール)。

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