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パンみみ日記「家で謎解きをする連休」

日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。


4月29日(月)
親友のミネくんと図書館に集合。会話のできるテラス席で自己分析をした。ミネくんの今後のキャリアを考えていく。

ミネくんは自身の価値観を掘り出すことに楽しみを見出しており、「昨日の城ヶ島より面白いな」と言っていた。人生に旅は時に不要らしい。

2時間ほど質問と回答を繰り返してくたびれたので、辺りを散策することに。駅前でイベントが開催されており、大道芸人がショーをやっていた。

パフォーマンスを楽しませてもらい、最後にお決まりの「帽子に気持ちを入れるやつ」の時間に。ミネくんと相談し、500円ずつ出して千円を投げ込むことにした。人生で初めてだ。ちょっと大人になった気がする。

その後は中学生の吹奏楽部による演奏があり、じっくりと聴き入った。音楽に関しては全くの素人だけど、いろんな感情が心をよぎった。

(打楽器の子たち、相当練習を重ねてる気がする)
(サックスってあんなに厚くて深みのある音が出るんだ)
(顧問の先生、やる気があって部員に好かれているだろうな)

歳を重ねることで、感性の引き出しが増えた気がする。若い頃しか感じ取れなかった感情もあるけどね。

そのグラデーションを切り取るために、こうして日記を書いているのかもしれない。


4月30日(火)
街中を歩く。「おかしのまちおか」の店前を通りがかったとき、通行人の会話が聞こえた。

「お菓子の街……丘?」

区切りポイントそこじゃない。でも、ぼくもそう思っていた時代があった。昔の話だ。


5月2日(木)
会社でランチ。同僚たちと「人気のパンを当てよう選手権」を開催。

①好きなパンを1位から5位まで考える
②参加者が挙げるであろうパンを2個予想する
③参加者全員がパンを5位まで発表し、②で予想したパンが挙がるごとに、予想した人へ1ポイント。総得点が高い人が優勝

ぼくは「クロワッサン、やきそばパン、ソーセージパン、あんパン、メロンパン」の順に発表。ちなみにめっちゃ迷った。他の人が「カレーパン」と発表しているのを聞いて(なんで忘れてたんじゃ〜)と頭を抱えた。

予想も分散し、かなりいい試合になった(得点がみんなほぼ同じ)。このゲーム、何をお題にするかでゲームバランスが変わるのだけど、パンはナイスなお題かもしれない。

シンキングタイムで「これはパン屋に行った場合ですか?それともコンビニに行った場合ですか?」という前提条件を問う質問が個人的にツボだった。たしかにパン、変わる。(今回はパン屋)


5月3日(金)
前の会社の同僚3人を家に呼び、ブック型の謎解きを楽しんだ。

みんなでうんうんと唸り、ときにヒラメキで解放感を味わう。夢中になって取り組んでいて、午前中から集まっていたのに辺りは暗くなっていた。

6章あるうちの4章までしか終わらなかったので、また別日に集まることに。時間が少し余っていたので、買ったばかりのボードゲームをやってみる。

ルールを読んでいるときは面白さが理解できなかったけど、いざ始めてみたら魅力がドンドンと理解できた。宇宙みたいに広大な思考世界に足を踏み入れられる。

このゲームは協力型。簡単に言えば「スーパー八百長大富豪」。

1人1枚ずつ手札を出して、強いカードを出した人が場に出ているカードを捨て山に流す。ただし、「誰がどのカードを流すか」ということが指定されているのだ。よって、参加者は「この局面はあいつに勝たせなきゃ」と考えながらカードを出す必要がある。しかも、しゃべっちゃいけない。全て阿吽の呼吸で協力プレーを成立させるのだ。

笑っちゃうくらい難しいのだけど、成功したときの快感が他のゲームでは得られないくらい気持ちいい。辛抱強く考えるのが好きな人はぜひ試してほしい〜!(このゲームに夢中になりすぎて1人終電を逃した)


5月4日(土)
親族たちとのごはん会。従兄弟たちに子どもが産まれ、かなり賑やかな会になってきた。会うたびに子どもたちはスクスクと育っており、成長を見守れるのは楽しい。

お酒が進み、場が温まってきたところで父親が口を開く。

「やっぱり子どもがいると賑やかでいいな〜。ウチも人数が増えてくれるといいんだが。な!よさく!」

ぐふっ。このパターンだ。今まで父親は結婚やら子どもの話題をすることがなかったけれど、従兄弟に子どもが産まれてから、さも「解禁」となったように話を振ってくる。

父親の気持ちはわかる。両親のことが好きだし、ぼくだって孫の顔を見せたいとは思う。ただ、親族が集まるこの場でその発言をされてしまうと心苦しい。「結婚できていない自分」が輪郭を帯び、不足感が浮き彫りにされる感覚がある。

その場は笑って誤魔化した。でも「結婚すれば解決する」と思ってしまうのもなんだか悔しい。結婚や子どもの有無に関わらず、人は幸せになれるし不幸にもなれるはずだ。

この息苦しさを、どれほどの人が抱えているのだろう。重い油分を含んだような気持ちは、ビールでは流し込めなかった。


5月5日(日)
一昨日自宅に来てくれた元同僚3人が再集結。今日も謎解きだ。残りの謎は6月にやる予定だったのに、「なんかモヤモヤする」とのことで急遽集まることになった。

4人で知恵を絞り出し、問題を進めていく。なんとか最終問題まで到達するも、パッタリと筆が止まった。全然解けない。

唸っているうちに各々の終電が到来し、解散することに。みんなでいるときに解き切りたかった…。

友人たちを駅に送り出して、家に戻る。すごくスースーとした心地がする。さっきまで複数の体温があったのに、寂しい。

でも幸せだ。家に集まって「またすぐ来ようぜ」って言ってテーブルを囲める人がいるんだもの。まるで高校生みたい。いつかこの瞬間を、かけがえのないものと認識する未来が見える。


5月6日(月)
GW最終日。親友のミネくんと図書館に集合。先週に引き続き、今日もテラス席で自己分析に勤しむ。

雑談をして、お昼を食べて、散歩して帰った。謎解きメンバーにミネくんもいたので、GWの7日のうち5日間一緒にいた(宿泊していないのに会っているのがすごい)。

なんだか学生みたいなGWだった。宿泊を伴う旅行はしなかったし、滞在したのはほぼ家か図書館。それでも、不足感を覚えなかった。たまにはこんなのもいい。

たいしたところに行かなくても、「一緒に話しているだけで楽しい」と思える人に、この先あと何人出会えるんだろう。


【編集後記】
条件がコンビニの場合、パンランキングは「ピーナッツコッペパン、くるみあんぱん、メンチカツパン、クリームパン、アップルデニッシュ」に変更となります。

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