パンみみ日記「Tポイントカードって言っていいのか」
日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。
4月17日(水)
会社。モルコ(モルモット系のほのぼの後輩)が本好きだと発覚し、図書トークが解禁されている。
「よさくさんって本屋とか図書館に行くとトイレに行きたくなりませんか?」
わかる。あの現象を誰かと分かち合う日が来るとは。いわゆる「青木まりこ現象」である。
あれって本当に何で起きるんだろう。書店員さんとか司書さんは大丈夫なのかな。青木まりこ現象に陥る人は本屋とか図書館で働けないのかな。
4月18日(木)
会社でランチ。「修学旅行での思い出」をテーマにおしゃべり。同僚は沖縄での民泊体験を話してくれた。5人前後でグループを組み、現地の家族のお宅に泊まらせてもらったらしい。
しかし同僚がホームステイ先に到着したとき、ファミリーに「あれ? 今日だっけ!? 日にち勘違いしてた!」とめちゃくちゃ慌てられた。
歓迎体制が整っておらず、夕飯にはオムライスが出てきたらしい。沖縄料理と対局の存在である。本当に「その日の献立」だったんだろうね。
でもこんなハプニングがある方が、案外思い出に残ってるのかもしれない。
4月19日(金)
文学フリマ東京38までちょうど残り1か月。Webカタログが公開された。自分のブース場所も発表されるので、ドキドキが止まらない。
大学の合格発表を見るかのように姿勢を整え、自宅でパソコンを開く。
「よさくの感情冷凍庫 V-09」
当たりなのだろうか。どの辺がお客さんが来やすいか全く想像がつかない。強いて言えば、「入り口からそんなに遠くはない」ことが特徴かもしれない。あと移動が激しそうなところではないので、来てくれた方とゆっくりしゃべれるかも?
何はともあれ、これで場所を覚えよう!
「よさくはV-09」
なんだかすごく売れそうだね。
4月20日(土)
親友のミネくんと遊ぶことに。合流の前に大井町でソロランチ。気になっていたとんかつ屋へ。
店内はカウンターのみで、夫婦が切り盛りをしていた。ぼくが好きな飲食店の条件を次々に満たしていく。
ご主人はおしゃべり好きで、いろいろな話をしてくれた。息子が南極観測隊として活動していて、数か月の訓練を経て南極へ繰り出していたらしい。店内には宇宙飛行士の毛利さんのサインもあった(「南極は宇宙よりも遠い」と言っていたことから)。
午後にミネくんと東京駅で合流。皇居を散歩する。しばらく歩いた後は芝生に寝っ転がり、GWをどう過ごすか話した。今さら遠出の計画も立てにくいので、近所の図書館でお互いに自己分析に打ち込むことになった(謎の休暇)。
夜には前の会社の同期と神保町で合流。ずっと行きたかった「ボンディ」へ。定期的に食べたい欲に襲われることが確信されたカレーだった。
食後は喫茶店の「神田伯剌西爾」へ。カップを片手に、話し足りない気持ちをぶつけ合う。みんな転職や結婚という人生の分岐点を踏んでいて、悩みは人それぞれだった。
新入社員の頃は「目の前の仕事がしんどい」という同じ苦しみを分かち合っていたけど、今はちょっと違う。共感できるところもあれば、共感できない(しようがない)ことも増えた。
いつまでこうして同期で集まって話せるんだろう。人生の決断を繰り返した未来の自分の隣に、どんな人がいるのか想像ができない。
4月21日(日)
会社の人とテニスの試合。別部署の先輩とダブルスを組み、なんとか勝つことができた。タイブレークまで持ち込んだので、2時間近く試合をしていた。
帽子を忘れてしまったので、かなり陽にさらされた。とはいえ(4月だしそんなに焼けないだろ)とたかを括ってた。
洗面所の鏡を見て、たまげた。めちゃめちゃに日焼けしとるやんけ…!会社の人たちに「海にでも行ったんか?」と思われるかもしれない。
4月22日(月)
会社。同僚たちに「週末に何があったんですか…?」と恐る恐る尋ねられる。テニスである。「それにしても焼けすぎだろ」と思われているだろう。ぼくもそう思う。
すると、隣の部署に浅黒く焼けた先輩が登場した。「サーフィン行ってて」とにこやかに白い歯を見せる先輩。ぼくもあんな風に爽やかに出勤したかった。
4月23日(火)
仕事終わりにスーパーへ。レジでTポイントカードを提示しようとスマホを取り出す。店員に「Tポイントカードお願いします」と声を出そうとした、そのとき。レジ台の張り紙が目に入った。
「Vポイントカード 貯まります」
そうだった。彼は知らぬうちに変貌を遂げていたのであった。ここは「Vポイントカードお願いします」と言った方がいいのだろうか。
いや、でももう「THI」の口になってる。今まで何千回も口に出してきた「Tポイントカード」はプロ野球選手のスイングみたいに体に馴染んでる。
でも「Tポイント」って言ったら「この人、時代に追いついていないのかな」と思われるかもしれない。恥ずかしい。でも「Vポイント」と言うのも「私はVポイントに変更した事象をキチンと把握していますよ」と自慢するみたいで恥ずかしい。
ど、ど、どうすればいいんだ?袋小路だぁ〜!
絶望の最中、大学生と思われる若い店員くんがそっけなく口に出す。
「Tポイントカードはお持ちですか?」
そっちでいいんかい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?