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「三井物産が変える人材採用」を読んで

書店で目についたので、衝動的に購入。

就活生であれば誰しもが夢見るトップ総合商社の一角、三井物産が採用変革について書かれている。

 ポイントは彼らの見ている世界の大きさ。

彼らにとって喉から手が出るほど欲しい人材であっても、志向や価値観が違えば他社を勧める、

不合格となる学生であっても合否理由を明確に説明する、

といった、「個社の利益<社会の利益」という考え方をベースにした取り組みは非常に興味深いし、尊敬に値する。

日本独特の新卒一括採用・終身雇用といった習慣に対して一石を投じることに共感するし、こうした取り組みがもっと広がるようになったらいいな、と率直に思う。

 

また、個人的には採用チームでMVVを設定し、それを徹底したところが一番のハイライト。

全ての仕掛けはこのMVVに基づいており、組織としてのパワーの強さの源と言えるだろう。 

以下、読書メモである。

 

序章 採用における挑戦と創造

  • 採用における2つのミスは選ぶ方のミスである「採用ミス」と、選ばれる方のミスである「ミスマッチ」。表面の華々しさばかりに心を奪われてしまうことで発生する。

  • そのために互いの本音を明らかにする。学生側も鎧を捨て、企業側も化粧を落とす感覚。

  • インターンシップからの思いつきで、合宿選考を実施。隠れたリーダーシップや責任感などが浮き彫りになり、落ちた学生の納得感も高い。

  • 加えて面接官トレーニングを再構築し、結果の数値化と分析も実施。

 

第1章 日本の採用を変える

  • 採用チームの理念(MVV)

Mission:「人の三井」の復活、日本の新卒一括採用を変えていく

Vision:常に新しい分野に挑戦し、時代の先駆けとなる手法・企画を提案し続け、内外から「三井物産の採用・育成チームはすごい!」と注目されるプロ集団になること

Value:①Is that good for MITSUI’s future?

    ②Take a position(本質を考えて、考えて、考えて、自分の考えを持って臨む)

    ③上司を疑え、偉い人のTweetに右往左往しない(Tweetの本質を見極め、①で判断)

    ④No change No gain

※採用メンバーはたとえ上司であっても「それは私たちのMVVとは違います」と言える状態をつくる

  • トレーディングのビジネスをしていた際は、「顧客に好かれる人柄」「溢れる情熱」「真面目で誠実」が重要視されていた。一方、事業投資や運営をするようになった現在は、プラスアルファで課題形成・課題解決・やり切る力といった真の挑戦者たる人材が必要。

  • 面接ではコミュ力や論理的思考は測れても、課題形成・課題解決・やり切る力や価値観の合致までは見抜きにくい。そこで出たのが合宿選考。

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