見出し画像

「イノベーション創造戦略」を読んで

知りあいの勧めで読んでみたが、なかなかの良書。
私の勤めているようなJTCでイノベーションが起こりにくい要因が非常に分かりやすく解説されている。

本著で解説されている通り、大企業になるほど現業の成功体験から抜け出せず、イノベーションを生み出す分野をないがしろにしがち。
いかに過去の成功体験を忘れ、新たな種を育てるか、という観点は非常に面白かった。

以下読書メモである。

第1章 イノベーションに導く「三つの箱」

• 両利きの経営にもイノベーションにあたっては足りない概念がある。それは、組織を過去に縛り付けている、それまでの価値観や信念を手放すこと。
• そこで必要なのは三つの箱。これらのバランスを取ることが大事。
BOX1:現在を運営する。既存事業を最大限に活用する。
 成功の定義:コアビジネスを最大効率で運営し、線形イノベーションを実行する

BOX2:過去を忘れる。既存事業には役に立ったが、新規事業には役に立たない価値観、実務などを手放す。

 成功の定義:BOX1の習慣、アイデア、姿勢を放棄することで、過去を選択的に忘れる

BOX3:未来をつくる。新たなビジネスモデルを考案する。

 成功の定義:非線形アイデアを創出し、実験を重ねることで、そのアイデアを新たな製品やビジネスモデルに変身させる

• ハズブロのイノベーションストーリーは、

現在のコアビジネスを最高の効率と利益率で運営しながら(BOX1)、

油断ならない過去の罠に陥ることなく(BOX2)、

非線形型の未来を作り出すか(BOX3)、

という流れになっている。

• 多くの企業は、実績のあるBOX 1に注力しすぎて、大事なリソーセスをBOX3に投じられず、BOX2の存在感が薄い状態。

• BOX1はいわばコンフォートゾーンで安全牌。BOX2の考え方は歓迎できないものとしてみなされがち。

• 三つの箱は切り離されているのではなく、互いに関係している。互いに意図した動きをあらゆる角度から探ることで、最良の解決法が浮き出てくる。

• 常に新しいことを学習しないと組織は滅ぶ。それが成功の罠。過去の活動の延長線上である線形アイデアは採用されやすいが、非線形アイデアは簡単に企業で採用されない。

• BOX 2や3に資源を集中するためには、マインドセットを「いまこそが、未来である」と変えなければならない。今日やったことは、昨日やったことの上に積み重なっていく。

• 予測できない未来への備えをすることは難しい。将来の健康のために今運動するのが難しいことと一緒。

• 不確実な環境下では、低コストの実験をやってみることが必要。調査と学習。非線形のアイデアが全てその組織にとって適したビジネスとはなり得ない。健全なヘッジ戦略は、既存のビジネスモデルと社内のスキルをどこまで広げられるかを考える必要がある。

• BOX 2の「忘れる」プロセスでは、時に組織ごと大変革する必要がある。成功している企業ほど、この忘れるプロセスが最も難しい。

• 三つの箱の解決法は、終わりのないサイクルであり、BOX3で生まれた事業も、いつかBOX1に移動することになる。
• 三つの箱の解決法は、リーダーに謙虚になることを強いる。

ここから先は

4,211字

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?