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「就職人気ランキング」はなくなるべきか?

当記事では「就職人気ランキング」たるものについての私見を述べたいと思います。あくまでも個人的な見解のため、理解の齟齬等あったらご容赦ください。

1.就職人気ランキングとは?

ご存知の方も多いと思いますが、就職人気ランキングとは様々な媒体が定期的に発表している、就活生が「入社したい」や「良い会社だ」と思う企業のランキングです。
主に就職ナビ会社が主催するイベント会場やナビサイト内で投票を受け付け、その得票数等で順位付けされ、雑誌や新聞、WEB等で広く公開されるものです。
今回はこのランキングについて、様々な角度から解説しつつ、私の見解をお伝えしたいと思います。

2.23卒就職人気ランキング結果

就職人気ランキングは、様々な媒体で発表されているので、いくつか見てみようと思います。(適当にググって出てきた23卒向けのランキング結果です)

<マイナビ>

<キャリタス>

<ブンナビ>(発表:東洋経済)

<あさがくナビ>

<楽天みん就>

こうして並べてみると分かる通り、媒体によって業界も企業もバラバラですよね。
すべてのランキングでトップ10入りしているのは、伊藤忠商事、くらいでしょうか。

3.なぜこのような結果になるのか?

あくまでも私見ですが、このようにランキング媒体ごとにバラバラな結果になるのは、「各媒体における各社の露出度に差があるから」です。
各社が力を入れる(時間と予算をかける)媒体が異なるため、●●社はマイナビのランキングが高い、△△社はキャリタスのランキングが高い、ということが容易に起こりうるのです。

「知名度の高い会社であれば、力を入れていない媒体でも高いランキングになるのでは?」と思われる方もいるかもしれません。確かに知名度の高い会社であれば、何もしなくてもある程度の得票数はいくかもしれません。ただ、ここのミソは「投票行動の流れ」にあります。

就活生であればご存知かもしれませんが、こうした投票は主に、合同企業説明会などのセミナー会場や、WEB説明会で大々的に告知されています。
時に、「投票してくれた人の中で、抽選でアマゾンギフト券をプレゼント!」などと宣伝して、参加した学生に投票を促しているのではないでしょうか。
イベント時に投票する学生の立場で見ると、その日その場で投票しようと思う企業は、その日説明を聞いたところになる可能性が高いです。

そのため、各企業は必死になって就職ナビ会社にお金を払い、説明会に出展し、少しでも露出を高めようとするのです。ただ、時間も予算も限りがあるため、力を入れる媒体を絞らざるを得ない企業が多いのが実態です。
(正直、儲かっているのはランキングを発行している就職ナビ会社だけです)

4.ランキングって意味があるのか?

正直な私見を述べると、こうしたランキングはあまり本質的ではなく、ランキング外の会社にも良い会社はごまんとあります
というかそもそも、「企業をランク付けすること」自体に意味はないと思っています。
例えば皆さんにとっての「良い会社」とは何でしょうか?
「成長できる会社」「給料の良い会社」「ワークライフバランスの取れる会社」「優しい人が多い会社」「社長がカリスマ」etc.
挙げればきりがありません。

従業員数や売上など数値化できるものならまだしも、十人十色の「好み」をランク付けすることに無理があるのです。ある意味、異性の好みが人によって異なるのと一緒です。

5.じゃあなぜ企業はランキング媒体に力を入れるのか?

これは企業によってスタンスは異なると思いますが、企業がランキングに力を入れる理由は必ずしも採用が目的だけではないと思っています。
確かに就職人気ランキングで上位を取れば、就活生の目に触れることも増えると思いますので、採用活動の一環として力を入れている企業はあると思います。
ただこうした目的に加えて、企業が気にするのは「社会からの見え方」です。
ここで言う「社会」とは、「就活生ではない一般人やお客様」だけではなく、「従業員やその家族」も含めます。

つまり、こうした就職人気ランキングが一種企業ブランドの一環になっているわけです。お客様から「やっぱり●●社はすごい会社なんだな」と思ってもらうと、商売にもいい影響があるかもしれません。
さらに、日々頑張っている従業員からすると「うちの会社って就活生に人気なんだな」と思ったり、子供から「パパ・ママの会社ってすごい人気の会社なんだね」と言われたりすれば、モチベーションが上がるかもしれませんね。
こうした理由があるからこそ、一部の企業は必死になってランキング上位を目指すのです。

6.さいごに

個人的にはこうしたランキングはなくなったほうがより良い就職活動ができるのでは、と思っています。
また、もしランキングがなくならないのであれば、せめて「選挙」くらいはフェアなものにした方がいいのではないかと思っています。

例えば、
①選挙のように、企業は立候補制にする
「我々の会社はランキングには参加しない」と内外にはっきりと公表することで、ランキング外となっても影響は最小限

②投票日を予め定める
特定のイベント会場やナビサイト内というように、日時・場所を限定させるのではなく、全就活生が特定の日に一斉に投票する。

③PRはいつでもどこでも
選挙の立候補者が街頭演説をするだけでなく、TwitterをはじめとしたSNSを活用するように、企業のPR方法はある程度自由にするべきかと思います。少なくとも●●ナビのイベントやサイト内でのみ宣伝可能、というアンフェアな状況は避けるべきです。

思い付きでつらつらと書いてみましたが、最後の最後に。
就活生にはこうしたランキングに振り回されてほしくないと思っています。就職活動において一番大事なのは、「自分の好み」です。ぜひ就職活動を通して自分だけのランキングをつくってください。

また企業側もこうしたランキングを「無視する」勇気を持ってほしいと思っています。企業ブランドを形成する場所は、何も就職人気ランキングだけではないはずです。もっと本質的な場所でブランディングすべきなのではないでしょうか。

以上

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