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制作日記「コスメ部第33話掲載」

現在発売中のゲッサン3月号にて「中高一貫!!笹塚高校コスメ部!!」第33話掲載されております。
どうぞよろしくお願いします。

今回の原稿は特別な思い出が残ってまして、何といっても1週間で32枚描くという私の画業史上最大の修羅場に襲われたことです。
大体いつもは2週間で30枚描いてるんですけど、その半分です。
本当に地獄でした。
いつ終わるかわからない。もしかして終わらないかもしれない。終わらなかったら一体どうなるんだろう。困る人が何人かいるのだろうか。誰かに怒られて失望されるんだろうか。次の月に原稿が上がってもそれはもう用無しかもしれない。それを機に緊張の糸がぷつりと切れて全てのやる気を失ってしまうかもしれない。
自分の生きる意味を見失い、安酒に溺れ、毎日を虚ろに過ごすことになるのかもしれない。
そんなこんなを考えながらも何とか出来上がりました。
勝った!!!!
いやいや!「勝った!!」じゃなくて。
2度としたくないです。
何でこうなったかと言いますともう一本連載しているエッセイを終わらせたいなと思って正月中ずっと描いてて、それが中々ゾーンに入ったというか、そのエッセイっていうのも父親についてのエッセイなんですけど、正月の間ずっと父親のことを描いてて、そんなこんなでいい正月だなーと日本酒飲みつつ、イカの酒盗つまみつつーのとしていたら、急にコスメの単行本を出しますってなって、カラーを描かなくちゃいけなくなって、カラーが全然うまく塗れないし、イライラしつつ納品しちゃったんですけど、こんなんだったらもう1ヶ月発売を遅らせればよかったなー。とか思って、やっぱ俺は急いじゃいけないタイプの人間だ。と今更反省したりしています。
というわけでコスメ部5巻出ました。
「村のかわいさ編」の途中まで収録されています。

年始のスケジュール管理がうまくいかなかったことと、ネームも今終盤に向かう結構難しいところで、色々時間がかかってしまったのが今回の修羅場の原因であります。
今回の原稿の終盤はほぼ1人で描いているのですが、今雑誌を確認してみますと、そんな殺伐さを一切感じさせないものとなっています。
不思議なものです。
丁寧に描いても漫画。気合いで乗り切っても漫画。
漫画とは一体何なんでしょうか。
どうぞご確認ください。

そしてサンデーうぇぶりさんでは第27話が無料公開されております。
こちらから是非お読み下さい!!!

この27話を描いた時の制作日記がこちらです。
(今読むと何言ってるのかほとんどわからない。。。)

そういえばそういえば。
今回の原稿でもう1点だけ思い出話がありまして、この33話の重要なところで「ナナハン」が出てくるのですが、ナナハンと言いますと750ccのバイクの通称「ナナハン」のことなのですが、そのナナハンの絵を描くために写真が欲しくて、街中を散策しました。
しかしですね、3、4時間歩いてもナナハンが見つからないのです。
家の敷地内に停めてあるバイクは大体カバーがしてますし、勝手にカバー外して「ちょっと一枚よろしいですか?」ってなわけにもなかなかいかないわけで、そう考えると野良でそこら辺に止まってるナナハンを探そうとするのですが、なかなかでかいバイクって歩いてて見つからないんですよね。不景気だからでしょうか。
結局2日くらい街をあてどなく彷徨ったのですが、いい感じのナナハンがどうしても見つからない。サービスエリアとかまで車で行くと見つかるのかなーと考えてたら、1人知り合いの顔が浮かびまして、「確かあの人バイク好きだったよなー。」と思って、連絡してみました。

「Aさんバイク好きでしたようね?ナナハンの写真が欲しいんですけど、ナナハン乗ってたりしませんか?」
「お疲れ様です。僕のは250ccの小さいやつですね。お役に立てずすみません。」
「お友達でだれかナナハン乗ってる人いないですかねー?」
「いやー、いないですねー。てかフリー素材とか使えばいいんじゃないですか?」
「フリー素材?はて?」

というやりとりがあり、著作権商用利用OKのフリー写真のサイトがあるということで、そこでいい感じの写真を見つけそれを使用しました。
いやー、便利です。
今ようやく令和に追いつきました。
んー、あの2日間は何だったんでしょうか。足がものすげーしんどいんですけど。と思いつつ、しかしフリー素材っていうのも何だかなーと思ったりも少しします。
例えばフリーなわけだから他の漫画家もこの素材を使っているかもしれないわけで、みんながフリー素材を使い出したら、どこが似たり寄ったりのものに集約していきはしまいか。
やはり漫画家が漫画を描くのって、多かれ少なかれ日記みたいな意味合いがあると思うんですけど、だから最近興味あるものが突然出てきたり、最近感動したこととかが作品内に捩じ込まれたりするのが、漫画の一つの持ち味といいますか、個人創作物の特徴といいますか、人間味といいますか、人間らしいバグといいますか、漫画家と読者のアンテナといいますか、感じ合う部分なのではないかと思ったりするのですが、だからこそ、この作家は「このナナハン」じゃなきゃダメだったんだな、あるいはこのナナハンに執着があるんだな、とかそういうのがあるべきなんじゃねーだろかと思ったりもするのですが、どうなんでしょうか。
読む側はそんなこと気にしないでしょうか。
自己満足か。
でもフリー素材ばっかりになってしまったらそれはそれでつまんないですよね。
まあ便利なので使いますけども。
なるべく写真は自分で撮りに行きたいなと思ったりします。
ではまた来月


単行本発売中!


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