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世の中に「子供を持つことの喜び」がたくさん溢れるように

僕が、不妊治療支援をする理由を書きました。

約4年前、P&Gを退職し、人材領域のベンチャーに3人目の社員として入社しました。その後は、会社の執行役員として、ひたむきに会社の事業を伸ばすことに邁進してきました。

この経験は、僕にとって、とても貴重な経験でした。「人材」という領域での仕事を通じて、「日本の未来」について、そして「世の中をより良くすること」について考える機会と、たくさんのチャレンジングな仕事に恵まれました。支えてくださった方々には、本当に、感謝しかありません。

そのような環境ではありましたが、新たな挑戦をしたくて、昨年末に独立しました。

今は「子供が欲しいけど、なかなか妊娠できない」と悩む方々を支援する事業を立ち上げています。

具体的には、「不妊治療に取り組む方々」を対象に、
「治療当事者たちが知識を持ったうえで、納得して意思決定できるようにする」ことを目標にしたサービスを創っています。

ありがたいことに色々と質問をもらうことが増えてきたので、今回のnoteでは、以下3点について書きたいと思います。

・なぜ、不妊治療の領域で事業をやろうと思ったのか
・治療当事者は、どんなことに困っているのか
・なにを、したいのか

■ なぜ、不妊治療の領域で事業をやろうと思ったのか

僕は3人兄妹です。5歳離れた妹と9歳離れた妹がいます。
小さな頃は、年が離れていることなんて全然気にもしていませんでしたが、
大人になって親から「あなた達が産まれるまでに、実はたくさん努力したのよ」と話を聞きました。

母は毎日、養命酒を飲んで体を温めたり、ヨガに通ったり、高価な漢方を煎じて飲み続けたりして、子供を授かれる日を待ち望んでいたそうです。そして、子供を授かりやすい体質に改善するための病院通いそれも、何年も、何年も。

両親が結婚した当時はまだ、日本では「体外受精」などの治療法もそこまで広がってはおらず、時代も時代ですから、なかなか人には相談できない状況だったのではないでしょうか。

いろいろ辛いことがあったと思います。
正月には親族から何か言われたかもしれない薬の副作用で体調が悪いなか仕事をしていたのかもしれない言葉にできない悲しみや不安を、父と共に味わった日があったかもしれない

「どれだけ、お父さんとお母さんが、お前が生まれた日に喜んだことか!泣いたことか!それだけお前のことを大事だと思ってるんやぞ!」

僕が高校生のとき、悪さをして父に怒られたときに、そう言われたのを今でも覚えています。

そのときは「そんなん知らんがな(心では感謝)」ぐらいにしか反応できなかったんですが、
その背景にあった"事情"を知った今は、「ごめんなさい、本当にありがとう」という気持ちがこみ上げてきます。恥ずかしくて、本人には言えないんですけどね。

辛く、不安な日々を乗り越え、子供を授かったとき、僕の両親はどんな気持ちで、どんな顔で、僕を抱き上げ、喜び、泣いてくれのだろうと、想像します。


いま、日本は世界一の不妊大国です。

こうして僕がこのnoteを書いている間にも、何人もの「体外受精による妊娠」で子供が産まれています。日本初の体外受精による子供は、1983年のことでした。当時は「試験管ベイビー」などと言われていました。そんな体外受精で生まれる子供も、今や日本では年間5万人を超えました。つまり、1年間に出生した子供の20人に1人は体外受精で生まれており、決して珍しいことではなくなりました。

それでも、

「私は、この治療を続ければ、いつか子供を授かれるのだろうか。それとも、いつかは諦めなければいけない日が来るのだろうか。」

そんな不安を抱えながらも、今も多くの人が、心をなんとか強く保ち、前向きに不妊治療に取り組めるよう努力しています。

僕の両親のように、世の中に「子供を持つことの喜び」がたくさん溢れるように、そして少しでも治療に取り組む方々の支えになれるように、僕は頑張りたいと思っています。


■  治療当事者は、どんなことに困っているのか

時代は変わり、「不妊治療」についても認知が広がり、それなりに治療をしやすい環境にはなりました。

とは言え、課題は山積みです。

【課題】 正解のない「治療法」

不妊治療を経て子供を授かった方に、「どうして妊娠できたのですか?」「なにをしたら妊娠したのですか?」と伺うと、
みなさん口を揃えて「こればっかしは分からない」とお答えになります。

日本の不妊治療施設の「治療方針」もバラバラで、
かつ治療当事者も「自分が、どういう治療方針の中で、どの治療方針を選択しているのかも分からない」という方もいらっしゃいます。

また、病院、クリニックでの治療のほかにも、私生活改善やサプリメント、漢方やヨガなどの代替医療も活用して「妊活」を進める場合が多く、
「妊娠できた理由」を判断するのは自分でも難しいんです。

そんな中でも、治療をしている人が気になるのは、「どうしたら妊娠できるのだろうか?」であり、たくさんの時間を使ってネットで検索します。

Yahoo!知恵袋も見た、ジネコやママリなどの掲示板サービスも見た、記事も読んだ、ブログも読んだ。そして、もう疲れた。。。。

氾濫する情報の中で、自分が気になる情報を探すだけで、時間を浪費し疲れてしまいます。ただでさえ、薬の副作用で体は辛いのに。

「正解のない情報が氾濫する中で、検索の海に溺れてしまうこと」

それは課題の一つです。


【課題】 誰にも言えない「不妊のこと」

不妊治療の大変さを共感し合うことはできます。

治療中の人と知り合えば、「お互い頑張ろう!」と仲良くなるかもしれません。

しかし、仲良くなればなるほど、そのうちどちらかが妊娠したとき「自分は素直に喜べるだろうか?」という感情、心の葛藤が生まれます

妊娠するまでの早さを競っているわけではないのに、いつのまにか「取り残されたくない」という思いが強まります。

なので、「妊活友達ができてしまうのも怖い」というのが本音のところにあります。

そして、不妊治療をしている多くの人は、身の回りの先に妊娠した人に劣等感を持ち、いつの間にか孤独になっていきます。

そして、「誰にも言えない」という状況になっていきます。

不妊治療は「孤独な戦い」であり、「孤独との戦い」なんです。


上記に書いた2点、

「正解のない情報が氾濫する中で、検索の海に溺れてしまうこと」
「孤独との戦いの中で、心を前向きに保ちながら進まないといけないこと」

そのような課題を、僕は少しでも解決して、支えになりたいと考えています。

■  なにを、やろうとしているのか

「自分の治療法やカラダの状態、治療費などの記録を簡単に残すことができて、振り返ることができるサービス」を作っています。

治療法も様々であり、難しい用語が飛び交う不妊治療。だからこそ、「妊娠するために、次は何をしようか」という意思決定が困難なのが現状です。

治療記録を残しながら、次の妊娠までのステップをサポートできる「治療当事者に寄り添うサービス」を実現したいです。

これは、治療当事者や治療経験者述べ100名以上にヒアリングをして設計したサービスです。必ず、少しの支えにはなれる自信があります。

「早く、このサービスを作ってください。わたしは絶対使います。」

そう言ってくださるモニターの方々のお言葉が、僕の心の支えにもなっています。
※会社を辞めて事業を立ち上げ、黙々と仕事をすることも、ある意味「孤独との戦い」なので・・・

【最後に】  なぜ、noteを書いたのか

前職から独立して半年が経ちました。「日本の不妊治療の課題を解決する」という想いを、何とか形にしようと、この半年間は様々な方にお会いし、また、自分自身で勉強し、多くの学びを蓄積できました。
世の中に少しでも、僕が勉強する中で得た、まだまだ浅くもリアルな経験と知識を共有し、「世の中をより良くする力」が働けば良いと思い、noteを書きはじめました。これからも、書き溜めたnoteや、新たに学んだこと、経験したことを共有していきたいと思います。

この度は、このnoteを読んでくださり、ありがとうございました。

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