選挙ツーリズム-Vol.1 投票棄権率からみる〝憂いと希望〟 ①
ツーリズムプランナーとして、あらゆる分野のツーリズム企画に携わっていますが、今年度最大のチャレンジは〝選挙ツーリズム〟
きっかけは、今年行われた統一地方選挙において、30年ぶりに選挙に関わったこと。
これまで投票は欠かしたことはありませんが、選挙運動や選挙活動に関わることは一切避けてきました。(理由は後述)
しかしながら、10年以上住まうこの千葉県流山市で子ども3人が育ち、それなりに地元コミュニティーに参加する中、信頼できる市議会議員さんに出会うことに。
選挙や政治とは関わりたくないという呪縛にひと区切りをつけ、選挙用リーフレットの構成をはじめ、家族ぐるみでポスターを貼ったりと久々に選挙活動に関わらせていただきました。
投票日当日には開票所まで出向き、開票作業を初体感。
投票用紙の束が積み重なる様を眺めながら、高揚感とともに、膨大な人員が開票作業に関わるアナログ行程を冷静に俯瞰する時間となりました。
日をまたいだ頃、応援した候補者のトップ当選が確定。
開票所ということもあってか、派手に歓喜するというよりも、「民意を預かった」という言葉とともに引き締まった表情が印象に残っています。
高投票率への幻想は儚くも…
さて、当選結果とともに気になったのは、今回の投票率。
選挙準備期間、選挙期間を通じて、〝選挙〟そのものにも興味・愛着を抱いたのでしょう。いつもとは比べものにならないくらいその行方が気になっていました。
そして 数日後
公表された投票率データをみて、強烈な憂いを感じることに….
なんと、流山市議会議員選挙の平均投票率は「46.26%」
ちなみに、同じく2023年4月23日の投票となった全国280の市議会議員選挙の平均投票率は「44.26%」
〝人口増加率6年連続全国一位〟であり、特に30代40代の増加率が高いといわれることから、「働く世代・子育て世代が選ぶ街=投票行動に積極的」「全国平均よりもぶっち切りで高投票率」と勝手にイメージしていたのですが、30代40代の投票率にいたっては「40.83%」という結果に、私の幻想は儚くも崩れ去ったのでした…^^;
「まぁ、子育て、仕事に忙しい世代なのかな...」
「ただ、駅近の会場で期日前投票もできるし…」
「期日前投票も時間制限あるからやっぱりムリなのかな…」
様々な想いを巡らしながら、悶々と過ごす日々…
勝手なもんです。今まで自分自身も投票に行きこそすれ、投票率に拘るということなんてなかったのに^^;
その悶々とした想いは 台湾に目を向けたことで希望へと変わる
私は仕事で台湾と強い関わりがあり、1、2ヶ月に一度の頻度で台湾渡航するのですが、今回の悶々を台湾の様々な世代にぶつけ、選挙にまつわる数字や状況を探ってみました。
え、20代の投票率 9割?!
これまでは朧げに〝台湾は選挙にアツい〟と思っていたものが、次々に明確になってきます。
選挙システムや規模は違えど、20代の投票率が9割ってどういうこと?
流山市の市議会議員選挙では20代の投票率は「24.97%」
その差はどこに? と気になり、知り合いの20代をはじめ、20代の子どもがいる親御さん、大学の先生などあらゆる立場になぜ若者が選挙に行くのかを尋ねまくりました。
貴重な意思表示の機会を棄権(放棄)するなんてとんでもない
その中で22歳の学生が口にした〝棄権〟という想いがとても胸にささりました。
確かに記事にもある通り、台湾では
・期日前投票がない 当日(土曜日)のみ
・投票は戸籍地で
という日本では考えられない制約があるにもかかわらず、世界中から帰郷して、当日は新幹線で移動する人たちで溢れるとのこと。
実際に現在選挙ツーリズムで関わる現地スタッフも、来年1月13日の総統選挙当日は選挙に行って駆けつけますという人ばかりです。
なるほど、「選挙に行かない」「投票しない」というよりも〝棄権〟という視点で捉えてみると、その深刻さも変わってきます。
ということで、試しに上記の「年齢別投票者数」を「年齢別投票棄権者数」視点で作り変えてみました。
「投票率が低い」と「棄権率が高い」は同義ですが、個人的には「棄権率が高い」の方がストレートに危機感として伝わってきます。
投票棄権率にみる〝憂い〟
この投票棄権率を作成してみて、感じたのは大きな憂いです。
今年2月、地元流山で開催された熊谷知事と井崎市長による対談イベント「未来を拓く自治体経営」に、当時小学6年生だった長男と一緒に足を運んでみました。
土曜日15時からのリアル集会ということもあり、子育てや働き盛りの世代には難しい時間帯だったこともあってか、集いし世代はかなりベテラン世代に偏り。
テーマでもある「未来を拓く」、市のイメージである「子育ての流山」とは ほど遠い会場の雰囲気の中、座席では眠る方々 多数…
その際のアーカイブ映像「熊谷俊人千葉県知事×井崎義治流山市長 」
投票を棄権するということは、その世代の意見や意思表明も放棄するということ。
首長や議員の方々も選挙で選ばれる以上、権利を行使する世代にとって有益となる施策を重視しなけばいけない事情も重々理解できますが、なんとも憂いある状況です。
ただし、台湾も昔から投票率が高かったワケではないようで、その部分を掘り下げていくと、大きな希望に変わってきそうだという予感も…
ということで、次回「投票棄権率からみる〝憂いと希望〟 ②」では、希望について触れていきたいと思います。
拙い文章を最後までお読みいただきありがとうございました。
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