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【前編】『六道闘争紀』3巻発売記念!小田世里奈先生がオンライントーク会で明かした作品誕生秘話

講談社「good!アフタヌーン」で大人気連載中の『六道闘争紀』。2月7日に最新刊となる3巻が発売されたことを記念して、作者・小田世里奈先生がオンライントーク&サイン会を実施されました。

挑戦者は戦い合い、殺し合う、「最強」を決める六道トーナメント。チャンピオンは、富、名声、力、この世の全てを手に入れ、まさに世界の王様になる。この世の金と熱狂の全てが集まる、世界唯一にして最高の娯楽だ。そんな世界を支配する弱肉強食バトルに、ゴミ拾いをして生きのびる貧しい少年・縁が、「最底辺」から「最強」を賭けて挑む!ーー公式サイトより引用

普段からTwitterや作業配信でファンのみなさんと積極的にコミュニケーションを取られていることで有名な小田先生。当日は、その気さくな人柄とトークで大いに盛り上がりました。

本記事では、そんな「小田世里奈先生オンライントーク&サイン会」の様子を2回に分けてお届け!前半では、オンライントーク会で小田先生が明かした創作秘話や各登場人物たちへの思いについて振り返ります。

小田先生が喋って質問に答えている配信のアーカイブはこちら
後編はこちら

全ては“負けず嫌い”から始まった

ーー”成り上がりバトルファンタジー”と銘打たれている本作ですが、このテーマに込めた想い、本作を描きたいと思われたきっかけを教えてください

これ実は「成り上がりバトルファンタジーを描こう!」と思って描いたわけじゃないんですよね。これは、連載が始まる際に講談社さんが名付けてくれました(笑)

そもそも私自身がすごく負けず嫌いで、そう考えた時に「トーナメント」という方式がすごくしっくりきたんです。「トーナメント」にするなら主人公は一番から遠い場所にいないとなと思って......。そうしたら縁みたいに何もかもどん底なキャラクターが生まれて、まさに”成り上がりバトルファンタジー”になって行きました。

『六道闘争紀』1話より

ーー小田先生の”負けず嫌い”が本作誕生のきっかけなんですね!主人公・縁からも似たようなエッセンスを感じます。

前作の『童子軍鑑』では、主人公が軍師だったんですけど、自分は軍師をやれる人間ではないので、次回作の主人公は自分が一番描きやすいキャラクターにしようって思っていました。自分が描きやすい主人公って考えたら”負けず嫌い”っていうのが真っ先に浮かびましたね。

ーー縁と似ているなって思うことはありますか?

“負けず嫌い”っていうのは似ていると思うんですけど、もし私が縁みたいにあそこまで悲惨な環境で生まれ育ったらもっとひねくれていたと思います!

キャラクターへのこだわり

ーーキャラクター設定のこだわりや思い入れがありましたら、教えてください。

まず、縁は一番傷つくポジションになるように意識して描いています。人の本性ってどん底に落ちた時に見えると思うんですよね。縁は主人公なので、その部分を見せたくて、誰よりも嫌な思いをさせようって思いながら描いています(笑)

ーーなるほど。だから1話からあんな悲惨な目に...!

あと縁は髪色にもこだわっていて、グレー単色だと寂しいかなと思ってイエローを足しています。髪型は『ゼルダの伝説』のリンクと『らんま1/2』のらんまを足して2で割りました。

ーー縁以外のキャラクターではいかがですか?

実は、ジョーが一番思い入れがあるんですけど、ちょっと苦手意識もあるんです。

『六道闘争紀』4話より

大人になっても夢を追い続けている姿ってかっこいいけれど、どこか”痛い”みたいに感じることはありませんか?

彼は見た目がアフロですごくお祭り感のあるキャラクターなんですけど、それでいて自分の”痛い”みたいなところも俯瞰していて。無意識的にどこか理性を持っているキャラクターなのかなって思っています。そこが好きなんですけど、苦手な部分でもあり...。

ーーそこが人間らしくて、彼の魅力でもありますよね。

最強の男”弥勒”について語る

ーーキャラクターといえば、弥勒の人気ぶりが目立ちますが、彼を描く際に心掛けている点などあれば教えてください。

弥勒に関しては何も考えないって感じですね。他のキャラクターたちは動かす前に、まず考えるんですよ。これはこうだからこうしよう!みたいな。でも、弥勒は喜と楽しかないキャラクターなので、考えて描いてしまうと普通の人間になってしまうんです。人間ってどこか枷がある、だからその枷がないように本能のまま弥勒を描いています。

『六道闘争紀』2話より

ーー本能のままに描く...。そのお話を聞くと、弥勒って動かすのが一番難しいキャラクターなのかなと感じたのですが、いかがですか?

弥勒が楽しいって思うような状況を作れば、あとは勝手に動いてくれるんですよね。なので、それまでの状況を作るのが大変です。

ーー1〜3巻の中で、弥勒が一番上手く動いたなって思うシーンはどこでしょうか。

9話の”弥勒パレード”のシーンは「あぁ弥勒だな」って思います(笑)あと、まだ公開されていないんですけど、最新話の弥勒が上手く描けたので楽しみにしていてほしいですね!

『六道闘争紀』9話より

ーー各キャラクターたちの義鎧は本作の見どころの一つだと思うのですが、義鎧のデザインや技名の着想はどこから来ているのでしょうか。

技名は濁点などの”語感”を意識してます。あと、縁と弥勒は彼らを象徴するようなデザインにしていますね。

『六道闘争紀』2話より

注目株は敵キャラクター!?

ーー最新刊3巻で思い入れのあるシーン、お好きなシーンのご紹介をお願いします。

やっぱり9話の”弥勒パレード”です(笑)このシーンはネームも一発で通ったんですよ。多分、描いている私自身も楽しそうだなっていうのが編集さんに伝わったんだと思います。

あと、縁と是空が殴り合っているシーン。圧倒的な強さを持ち冷静な是空が感情を剥き出しにして殴りかかるところは、彼も人間なんだなって思いました。

『六道闘争紀』8話より

ーー今後本作のどんなところを楽しみにしていてほしいですか?

敵キャラクターを楽しみにしていてほしいです!実は、昔とある出版社の編集長から「敵キャラクターを描くのがうまい」って褒めていただいたことがあって、それが私の誇りなんです。あと、私自身、敵キャラクターを描くのが好きということもあり...。必ず主要キャラクターをどん底に叩き落とす敵キャラクターを用意するので(笑)期待して待っていてほしいですね。

▼ 気になるその他の回答はこちら

小田世里奈|漫画家。2019年「週刊ヤングジャンプ」で『童子軍鑑』(全4巻)を連載。2021年から「good!アフタヌーン」で『六道闘争紀』を連載中。

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