編集・ライター養成講座とやらに冷やかし半分で顔を出してみた日の話。(だらだら書いてみたシリーズ)

「習い事をしよう」

と思った。

以前も書いたが、折角暦通りの生活を手に入れて5か月が経とうとしている。好きな物を買うとか、好きな物を食べるとか、そういう消費活動もちょっと落ち着いてきたし、そればかりでは飽きてきた。だから、習い事をしようと思った。

まず習い事を決めるにあたって大事な軸は

1.半年ほどの期間があり、週に1度のペースで通うもの。

2.個人競技ではないもの(外国人教師とのマンツーマン英会話などは除外すると言う事)

3.多くの人と、いや、特に男性と出会えるもの。

4.お金をかけてまで、自分がやりたいと思えて、今後の生活にも生かせるもの。

この4点。出会いが無いと嘆く女性が持つ軸としては頷けるものではないかと思う。自分の中でブラッシュアップした結果、やりたいものは料理教室、英会話、ヨガ、ベース、ギター、自転車、ボルタリング、とあげればいくらでも出てくるが、どうしてもそこから「文字」と言う選択肢を外すことが出来なかった。

「百聞は一見にしかず」かと思い、昨日私は、南青山の宣伝会議のオフィスで首記の講座の、修了生セミナーを受けてきたわけだが、はっきり言うと別にこれと言って目新しい発見は無かった。目新しい発見はなかったが、「意外とみんなそんなもんかもしれない」とちょっと思ったりもした。

以下、簡単に話にあった内容に突っ込みを入れて行く。お話されていた内容や基本情報は「○」私の突っ込み箇所は「●」で表記していく。

まず、登壇者の方2名。

○ミネシンゴさん(美容師から美容関係専門誌を扱う編集社に転職。その間に当セミナーを受講していたそうだ。その後また美容師を経て、リクルートのホットペッパービューティーの編集の仕事に。その傍ら美容文芸誌を創刊し、今年の3月にリクルートを卒業予定。そこから先は、フリーランスの編集・ライターとして活動していく、とおっしゃっていたはず)

○鈴木絵美里さん(東京外大卒業後、広告代理店に勤務。その後編集の仕事へ転職し、実業の傍ら、アジカン後藤さんが創刊した『THE FUTURE TIMES』の編集にも参加。現在は1月に独立し、イベント企画・雑誌やWebの編集・執筆の仕事をされているとのこと)

●この時点でまず、「フリーランスの編集・ライターの為には、何処かの会社でその職を経験する事が前提」と言うハードルがよく見える。後で御二方も仰っていた事だが、実際問題ある程度の技術を知るためにも、まずはその手の会社で働く事も視野に入れても良いとのことだった。

○ライターとして必要なこと3要素

・「なに」を強みにして/「なに」なら寝る間も惜しめて/「なに」をしている時にアドレナリンが出るか。→「なに」に当たる部分が明確にあなたにはありますか?

●寝る間は確保したい。もうこの時点でダメなんじゃないのか。初めからこんな話が出てくる事は予測して私はここに来たが、案の定そうなんだと思って話を聞く耳も持ちたくなくなってきた。「なに」に当たる部分がどうも自分の中には見当たらない。それは今に始まった事では当然ない。それでも何か書きたいとか、何か主張したいとか、そういう傲慢な気持ちでいる自分が、やはり許せなかった。周りの人には「なに」が見えていないなりに見えているんだろうか。やはり此処に来た場違いである気持ちは拭えない。

然し、これに関して、その後会場から質問が出た。

○質問者、20代前半ほどの女性:「企画を立てる事に自信が無い。なにに当たる部分が見つからない。」

○ミネさんの回答:「なにに当たる部分は、好きにとどまらなくて、普段から自分がもやもや考えている事から始まるんじゃないかな。就活をする意味がわからなくて、なんかもやもやしているから、自分がかっこいいと思う女性にインタビューをたくさんして、本を作っちゃった人もいるんだよ。そこから始まる企画だっていい。」

●これに関しては、嗚呼みんなそんなものかとちょっと胸をなでおろす。私も企画書ける自信が無い。そもそも自分の考えていることとか、自分の文章なんて、自分の事以外何も無い。そんな私が企画を立てようと言ったって、自分本位になってしまう。が、最後それを何処まで突き詰められるかが問題か。恐らく、「余りに出会いが無いし、消費にも飽きた20代後半OLに向いた、『半年以上継続して、個人競技じゃなくて、男性と出会えて、お金を出してまでやりたい習い事を探せ』」もうこれで企画案として1本あげられるだろう。(問題はそれをやり遂げられる力にある)

○質問者、20代半ばほどの女性:「リトルプレスやZINEみたいなものを作りたい。書きたいこととか企画とか、ちょっと見えてきたし、デザインも自分で少し勉強した。だけれどカメラマンがいないし、デザインだってもっとちゃんとしたい。でもどうやって人を巻き込めばいいかわからない」

○ミネさんの回答:「デザインも自分で出来るなら全部自分でやるのがかっこいい。仲間を募るのであればSNSを使えばいいんじゃない?僕ならまず、芸大、タマビ、ムサビ、女子美あたりの子狙って声かけると思います。彼らは少なからずそういう場所を探しているから。」

●これはまさにミネさんのおっしゃる通りだと思う。人はそのへんにたくさん落っこちています。それを拾う勇気、ないしは「はい」と手を挙げる勇気それだけ。逆を返せば、私の周りにはそういう人がたくさんいるのだ、というよりも、半分くらいはそういう人がいる環境を自分で作ってきたのだ。環境があるなら後は動くだけだけれども、「動き方がわからない」とか「怖い」とか、そういう気持ちは常に抱えている。

 参加者は30名ほどいて、大体が女性だった。「文学部の授業の教室ってきっとこんな感じなんだろうな」と言う雰囲気をしていた。もっとばっちりお洒落な女性が多いのかなぁと思っていたけれども、さほどそういう感じでもなかった。男性もいるにはいたけれども、如何せん「文学部の授業の教室」みたいな雰囲気だから、なんか期待していたのと違う「これじゃない感」に苛まれた。

 セミナーに出た感想としては「果たして文章で食って行く気もないのに、16万円と課題に掛ける時間を費やす意味はあるのか。」という冷静沈着な疑問と「書く事に対してのコンプレックスを自分ひとりパソコンの前で自問自答してていいのか?悩んで後悔するぐらいなら、やって後悔してみなよ」と言う突飛な浮ついた考えが入り混じっていた。ライターなんて華やかな仕事の訳が無いことを私は一応知ったわけだ。それでもなお、この肩書に憧れるのは、誰のせいなのかわからなくなってきた。表現者として自分が選びたいものなのか、はたまた奴に対する報復か怨念か憧れか。そのどっちも何だと思う、それが正解なんだと思う。でも、それはあまりきれいな理由じゃないなって思って頷けない。

 何が余計に僕の心をまた悩みの海に崖から突き落としたかって、このあと僕は2カ月ぶりくらいに奴に会ったことだった。そもそも昨日は奴が突飛な仕事ふっ掛かってきて無理だ。と言っていて気も抜いていたが、今日は今日で別件取材が入って動けないと言う。だったら「頑張って21時までに仕事終わらせるから」と言って、21時上野集合で時間を作ったにもかかわらず、私がセミナー会場を出た時刻は20時50分で、「ほんとすみません…。」と言いながら銀座線に乗り込んだ。遅刻の理由が「講座が伸びたから」というのも、本業の人の前にして、なんかなあ。と思ったけれど、話をして見た。奴の見解はこうだった。

「書く技術に関しては、お金かければ伸びるものでもないし、同じ畑の人といっしょにいてもたかなしさんの視野は狭まるだけだよ。だったらそのお金で英会話やったほうがいいし、料理教室通ったほうがいい。凝り固まった視野の中で生きていちゃだめだよ。」

 非常にむかつくが、これに関してはぐうの音も出なかった。奴にしか言えない意見だと思う。ちゃんと私の為を思って言ってくれた言葉だなって思った。書く事の現実の中で生きていて、尚且つ私の事を大体全部知っている奴だから言えた反論なんだろうなぁと思う。でも超むかつく。そう考えたら確かに料理教室通っておいしい焼き菓子焼けるようになったほうが、出会いは無くてもポイントは高い。結構この言葉には影響を受けてしまっている。然し、然しだな…。やっぱり僕の中に根差している気持ちが、中々どいてくれない。

「もっとちゃんと人に伝えられる文章を書きたい。」

 なにを伝えたいか模索しているなりにも、人に読んでもらえる文章を書きたい。いつかちゃんと奴にも読んでもらえる文章を書きたい。めっちゃダメだしされたい。余りこんなこと思いたくもなかった。だから文字に起こしたくもなかった。

 多分僕はライターに向かない。売れる文章を書けない。かといって、小説家にもなりたくない。本なんか好きじゃないし。そうだな、もう少しお金に近いところに居たい。文学部には行きたくない、かといって、商学経済学政治学の専門分野で学びたいわけじゃない、じゃあ中庸とって社会科学だなんでもあるところとして学部選びをした高校時代と、なんだか似ている。

 でも結局「ひととひとをつなげるひと」になれたらいい。塾講師をやっていた頃の根底の気持ちはまだ捨て切れていない。

講座に参加するかしないかの選択は、まだ猶予があるからちょっと一回置いておく。他に自分に適した習い事もあるかもしれないし。

 しかし、自分と書く事と、そして君を介在した中で、僕は僕以外の誰かの為に、ものを書く事が出来るのだろうか。自己救済に終わらない文章を書く事が出来るのだろうか。自己救済に終わるぐらいの文章なら書かない方が世の為自分の為人の為か、然し自己救済に終わる文章さえ書く気もしない人間に、他人の為に文章を書く事なんて果たして出来るのだろうか。

こんなつまらない自問自答で、精神をすり減らす自分も馬鹿みたいだなぁと思いながら、じゃあ次は料理教室の体験レッスンを探してみるかと、いうことにしよう。

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