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おもいだせる/おもいだせない(だらだら書いてみたシリーズ)

断片的に思いだせる風景とか、街の色とか、明るさとか、があっても、どうしても思い出せない「ことば」ってのがあって、なんとなーく引っ掛かってる。

2009年の秋に、御茶ノ水橋口から秋葉原に向かって歩いた記憶がある。

それはまだ太陽が出ている時間だった。

私はむらさきいろのメンズもののロンTを着て、ショートパンツに、柄の着いたタイツをはいて、ブーツを履いていた。

ひどく機嫌が良かった。

ひとりで坂を下っていた記憶があると2分前まで思っていたけど、1人じゃなかった。

「俺、ここ(御茶ノ水橋)から見える風景が好きなんだ。」

ああ、そんな事を言われたんだった。だから1人じゃなかったなぁって思った。

そのまま、秋葉原のミスドに行った。私が喫煙者なので、2階の喫煙席に行った。

向かいの奴はオールドファッションを頼んでいた。当時、いや当時の2年前程に村上春樹に毒されていたので、多分、いや、きっと、オールドファッションを選んだに間違いないという私の判断。

私は多分、ゴールデンチョコレート。今でもあれが一番好き。

そこまで思いだせるのに、何について話をしていたのか、さっぱり記憶にない。

私を励ましてくれるための会だったことは覚えている。

でも、話の中身が思い出せない。

きっとすごくいい事を言われたんだと思う。

でも、思い出せない。

風景だけは浮かぶのに。

どうしてだろう。

自分にとって貴重な時間だった。今振り返っても宝物のような時間。

でも、何を話してくれたんだろう・・・。

おそらく当時のmixi日記でも見ればなんか書いてあるんだと思う。

でも、それはもう私の頭のなかの記録ではなく、サーバーにあるもの。


――しかし音声とは残らないものだな。


だからこそ、ひとは書いて、書いて、書き遺すんだね。

やっぱり思い出せない。



「君、まだ不調でしょ。お酒は飲まないで、帰ろう。」

「うん、お酒はまだ、飲めないから、飲めるようになったら、飲もう。」


此れは覚えてる。最初と最後の科白は覚えている。でも。中身がなあ。



案外みんな、そんなもんなのだろうか。

本題の中身なんてどうでもよくて、なんとない一言ほど、自分の印象に残るもんなのか。


溜息が出る。

あの秋の日の私の気持ちは、いまでもきゅうううとすっぱく思い出せるのに。きっと奴は忘れているさ。それかもしくは、私が覚えていないことを、覚えている可能性だって、あるかもしれないんだけど。



おわり。

PS きょうnanapi+に登録してみましたけどなんか書けるのかな私。

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