見出し画像

【即興詩】おはようおやすみさよならじゃあね。

会えないなら何も言わないでいい。
謝りもしなくていいよ。
なかったことにして欲しい。
理由なんてどうでもいい。
ごめん、僕が悪かった。


980円のベットライトの中、
僕はスマートフォンを抱いて、
君の形見なんて何一つ無いから、
君が遺した文字を抱いて、
眠る。


頼れるのは向精神薬でも、
頼れるのは人間不信の心でも、
何にも頼れず全部見失うほうが怖いね。
おやすみなさい。
おやすみなさい。
何も言えないまま、おやすみなさい。
朝が来ればまた、
僕は気を取り乱す。
ほら、ねえ。
冬の空の青さを、
また無視して、
ほんとは心が、ちょっと痛い。


僕と君は似ているけれど、
僕は君じゃないし、
君は僕じゃない。
僕にとっての君も、
君にとっての僕も、
そこは居場所でも何でもない。
僕ら、ずっとここにはいられない。
ふたりだけでいられない。
同じ言葉で話をしていても、
その言葉は、ふたりにしか通じない。
そんな言葉、そんな言葉は、
衰退する、誰が伝承する?
駆逐される、弱い、弱い言葉。
ここにいても、
僕も、君も、
個々に生き永らえる為の、
なんの意味にも特にもならないってこと。


わかってる。
それとこれと。


ねえ、ふと君に会いたくなるよ。
僕は君を思う。いつなんどきも。
ずっと一緒にいたいと、
口にした途端、
僕は天使に命を食われる気がする。
だから、ねえ、
なかったことにして。
僕の痛みも、寂しさも、愚痴も弱音も、
君を思うきもちも、
なかったことにして。
なかったことにしよう。


全部、なかったことにして。
一度手を繋いだ記憶を切り離して、


JRの秋葉原駅でさ、
君は池袋方面の山手線に飛び込んで、
僕は両国方面の総武線に飛び込んで、
終わりにしよう、
世の中に恨まれながら、
全部ぜんぶ、終わりにして、
また、明日を生きていこう。

milk takanashi.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?