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学び多き二軍球場

 先週、よみうりランドにある「ジャイアンツ球場」に観戦に行った。推しの選手が登録抹消になってしまったことはこのnoteで重ねて書いているのだが、練習や、もしかしたら二軍戦に出場するかもと思いチケットを取っていた。前日までスポーツ新聞社のツイートなどでは、個人的にコーチから指導を受けたり、朝早くから一人でランニングをしているとのことだったので、試合には出ないのかと思っていたが、ゲームのチームに捕手の正装で合流してきてスタメンマスク。やはり捕手姿はいい。職人のようだ。課題と言われている下半身の弱りも、素人目には全く感じなかった。写真のようにこんな中腰、専門職じゃないとできない。
 普段、一軍では何万人もの観客の中での試合なので、よほど呻吟しながら投げるピッチャーでもなければ選手の声が聞こえてくることはない。まして捕手はブロックサインなどすべて身振り手振りで、用があればタイムをかけてピッチャーに近寄って話しているので声を出しているイメージが少なかったが、この日、ジャイアンツ球場の観客数は約530人、私の座席はネット裏2列目。「この人こんなに大きな声を出していたのか」と思うくらい声を聞くことができた。この日、二軍の先発予定だった選手が一軍の先発投手が発熱したため急遽ベルーナドームに派遣されたので急ごしらえのバッテリーだったが、配球だけでなくピンチになると制球が乱れるピッチャーに「頑張れ!」「あとひとつだよ!行こう行こう!」と気持ちも上げようとしていたのが大変印象的だった。他のポジションの選手もそうだ。また、二軍戦は選手層が比較的若く、ひとつひとつの行動が首脳陣にいい印象につながれば一軍に推薦される材料の一つになることもあってか、ポジションに着くとき、ベンチに戻る時の全力疾走は見ていて気持ちが良かった。試合は負けてしまったが、推しの元気な姿も、若々しいチームも見ることができ、こちらが元気をもらったような清々しさだった。
 
 ところで私がこのジャイアンツ球場に初めて行ったのは2017年の6月だった。その時、軽い気持ちで受けた自治体のがん検診に引っかかってしまい、大学病院で生検を受け、結果が出るまで2週間という中で「今まで行ったことのなかったところに行こう。結果が悪性でもああ、行っておけば良かったと思わないように」と思い足を運んだのが一番初めだった。幸い、生検の結果は良性腫瘍だったが、その時、若手に混ざって現在西武ライオンズの投手兼任コーチの内海選手が腐らず汗を流していたのを見て、感銘を受け、涙を流したのを覚えている。あの時もジャイアンツ球場で力をもらった。

 華やかな一軍の舞台にいる推しがいいのはもちろんであるが、いつ行っても何かしらの学びや力をもらえるのがジャイアンツ球場である。この日も復帰が待たれる中川投手が黙々と走っていた。
 野球を見て、勝った負けた、選手の良し悪しだけでなく何かしらの学びと力をいただいて帰路につく、そういう観戦は負けたとしても清々しさがあると、久しぶりのジャイアンツ球場で思ったのである。