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推し活とコーピング行動

 推しの野球選手が登録抹消になった話は前回の投稿の通りである。耐性のない私は相変わらず心の奥で動揺しているのが現状ではあるが、先だってトレーニングの様子を動画サイトで見ることができ、つい数日前まで主戦捕手だった人が炎天下で非常に地道な練習から取り組んでいることに、本当にこれが報われて早く戻ってこられますようにと祈るばかりである。
 さて、何かと厳しい意見をくらいがちな私の推しだが、色々原因はあるらしい。彼のプレースタイルが気に入らないという人もいるようだし、「やる気がなさそう」なんて「あなたエスパーかなんかですか?」みたいなこと言う人もいるし、先輩捕手が大変人気と実力のある方なので…などまあ様々だ。その都度つらいなあと思う反面、戯言だと思ってはきたが、先日もう我慢できなくなり、ネットニュースのコメント欄に意見を書いた。内容としては「怪我をしていることをなぜ考慮に入れたり抹消の理由に入れていないのか」と言うことを書いたのだが、そこに書かれた返信に、

「そうだよ。怪我してるんだよ。だからさ、けが人は迷惑なんだよね」

と言うものがあった。
 私は看護師なので余計に怪我や病気の人に対して「迷惑」と言う表現をされることがとても不快で許しがたい。チームとして、万全ではない人がいるのは戦力ダウンということなんだろうが、なぜこの国の人は思いやりがあって優しいと言われてきたのに活字で平気で「けが人は迷惑」なんて言えるようになったのだろう。少し前なら「心配ですね」「早くよくなりますように」「試合に出ていても調子が悪いの我慢していたんでしょうかね」だったと思う。
 様々な災害や困難な状況を乗り越えてきたわが国の人々。譲り合い、支え合い、思い合ってきた。なのに、怪我のアスリートを迷惑といい、ベビーカーで電車に乗る人に厳しい目を向け、今や軽い咳をしただけでマスクをしていてもすっと避けられてしまう。そんな世の中。
 
 これは見ている私の心も疲弊してしまう。
私は、ネットニュースアプリを削除した。もう見なきゃいい。アプリがあれば他のニュースを見るつもりでも指一本でうっかり開いてしまう。ニュースが見たいならNHKで見ればいい。解説のない、アナウンサーが淡々と伝えるニュースでいいのだ。それでも、ITの発展はすごいので、検索サイトのトップページがわざわざ頼んでもないのに表示するし、ネットニュースはセンセーショナルな見出しでPVにつなげようとするので過激なタイトルのことがある。
 もし、そうやって目にしてしまったら、すぐに閉じ、空を眺めたり、出先なら今の時期のアジサイなどを目にして浄化することにした。これはある種の訓練だ。溢れる情報社会において、自分の精神を守るための情報の取捨選択や活用に対する訓練である。そして、自分が壊れないようにするためのコーピング行動なのである。

 今日もアジサイは綺麗だ。空は晴れたり雲が広がったり。
頑張る推しは、生きるお手本にさせていただき、楽な方に流れがちな自分の生活を律する教科書にしよう。