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はなり亭の料理から1「自家製豆腐の冷ややっこ」

このコラムは読酌文庫が執筆・発表している小説「はなり亭で会いましょう」に登場する料理を取り上げたコラムです。本編未読でも問題なくお楽しみいただけますし、ネタバレにならないよう配慮した書き方を心がけております。

自家製豆腐の冷ややっこ

小説「はなり亭で会いましょう」は、そのタイトル通り「はなり亭」というお店が舞台となっている。もちろん、お店の外での展開もあるのだが、キーとなる交流は基本的に「はなり亭」で起こる。

「はなり亭」は料理人・御厨嘉孝が京都で営む、気さくな感じの居酒屋だ。自家製豆腐と鶏料理がメインとなっており、地酒にも力を入れている。あ、もちろんこれは、架空の店である。

そんなわけで、まずは「はなり亭」の料理風景を語るうえで外せない、「自家製豆腐の冷ややっこ」を取り上げよう。

これは、1巻収録の涼花編エピソード「お試しバイトとお客様」はもちろん、同じく1巻収録の絢子編エピソード「深呼吸と溜息」でも登場する。

また、そのほか作中に登場する「はなり亭」の豆腐料理は、基本的に冷やっこと同じ自家製豆腐を使っていると考えて良い。2巻ではあんかけ豆腐、3巻では揚げ出し豆腐や水切りした豆腐を塩で味付けて、チーズ風にアレンジしたものも登場している。

毎日手作りされる豆腐は、余ればアルバイトの子がお持ち帰りさせてもらうこともあるらしい。

冷ややっこというと、醤油をかけて薬味と共に食べるのが一般的だろう。あるいはだし醤油やめんつゆ、ポン酢などををかける場合もある。

だが、はなり亭の自家製豆腐は、豆腐のシンプルな味を引き立たせるよう、味付けに塩をすすめており、天然塩を添えて出している。とはいえ、味の好みは人それぞれなので、テーブルには客の好みに合わせて使えるよう、醤油さしも置いている。

はなり亭の豆腐は毎日お店で御厨が手作りしているらしく、スーパーなどで買えるものとは食感も味わいも違う。(中略)醤油が欲しい人は好みでかければよいが、絢子はこの店で冷ややっこを食べるときは塩を付けることにしている。その方がより、豆腐の繊細な味が活きるように感じるのだ。

はなり亭で会いましょう1「深呼吸と溜息」

はなり亭の冷ややっこに使っている自家製豆腐は、文字通り御厨が毎日手作りしているもので、涼花も何度か食べたことがあった。スーパーなどで買う豆腐とは違う、しっかりとした食感で味わいが深く、料理してももちろん美味しいのだが、作られたその日に、シンプルに冷ややっことして食べると格別だ。

はなり亭で会いましょう1「淡い気持ちと憧れの人」

ちなみに私はというと、冷ややっこを自宅で用意して食べるなら、ポン酢を使うことが多い。サッパリするし。でも、最悪何もかけない素豆腐でも、それはそれでイケると思っている。

委託先情報

「はなり亭で会いましょう」1巻は、委託先「ぽんつく堂」「犬と街灯」「架空ストア」の通販でもお買い求めいただけます。はなり亭での飲み食いを通して、ちょっとだけ交流する関係を主軸に、2人の主人公の視点で物語が展開します。

※委託先により、販売価格・送料等が異なります。また、現在ぽんつく堂さんでお取り扱いいただいているのは、旧装丁版となります。ぽんつく堂さん取り扱い分も新装版となりました。

そのほか、大阪・文の里にある「みつばち古書部」の読酌文庫棚や、奈良・ならまちの無人書店「ふうせんかずら」(有人営業日もあり)の虎月堂さんの棚でも販売しています。お近くの方は是非どうぞ。

果てしない自由の代償として、全て自己責任となる道を選んだ、哀れな化け狸。人里の暮らしは性に合わなかったのだ…。