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【入りにくいけど、美味しい店】  日本酒酒場「さん七」「さくら」へ

「入りにくいけどうまいお店」
かつて、そんなタイトルの企画に携わっていました。

むろん、好きです。
見つけづらい、わかりにくい、ハードルが高そう。
勇気を持って扉を開ければ、その扉を出るまで、さらには帰り道まで、幸せな時間を体験させてくれるお店があります。相性も含めて自分に「合う」お店に出会えるのは、外飲みの醍醐味だと思います。

最近、そんなお店に続けて出合ったので紹介します。お店の情報は載せません。迷って探して「入りにくい!」「でもいい!」をぜひ楽しんでください。

その1 「さん七」(阿佐ヶ谷エリア)

場所はとあるビルの2階、いわゆる「飲食店街」の一角。

艶歌の花あかり、ピーナッツ、茶色の小瓶…
濃醇な店名の間に「さん七」が紛れています。
…本当に大丈夫なのか。

重い重い扉(物理的にも心理的にも)を開けて、やっと入店。
すると、カウンター6席、テーブル2程度の店内はほぼ満席。

「さん七」は、日本酒と馬肉をはじめとする和の料理を楽しむ飲み屋さんです。
いろいろ説明するよりも、まずはお酒のメニューを。

すごいです。
日本酒が好きでいろいろ飲んでいると、お店にいってもなんとなく知っているお酒(もちろんその時々で味は違いますが)と合うことが増えてくるのですが、初対面たちばかり。

お話を聞くと、「そこでしか扱っていないような個性的なお酒」を得意とする酒販店さんから仕入れているそうです。また、そんな中に突如「月桂冠」がいるのも素晴らしい。

仕入先のひとつが小岩の革命君でした!

革命君の紹介はこちら
https://note.mu/00kub0/n/n6a236b4a557e?creator_urlname=00kub0

料理はその日のおまかせコース(事前予約推奨)。

名物の馬肉(レバ刺しにステーキ、そして肉寿司)を中心とした8品ほどが、嘘みたいな金額(2800円!)でいただけます。

※この日は贅沢verでした。でも、他の日のコースも魅力的です。

馬のレバ刺し!とろとろです。

馬肉のにぎり、うにのせ!

赤身の旨味がすごい、馬肉のヒレステーキ。

お客さんは常連さんが中心。ほとんどが「Twitterで知る」のだそうです。僕も、そして隣のお客さんもそうでした。
「だって、普通には絶対にこないでしょう(笑)。Twitterがなければ成り立っていないと思います」と店主。

お酒は冷酒から入り、常温、そしてお燗へ。
さん七のお酒は「華やかなスター」ではなく「いぶし銀な脇役」。いい意味で洒落ていない、ゴツゴツとした個性が、馬肉によく合います。

少し甘めの「おでん」と、その出汁でいただく〆の雑炊をいただくことには、
「絶対にまた行きます」と決意していました。

そして、お店の方がSNS発信されているというのもありますが、とにかく人に教えたい! おすすめです。


その2「さくら」

平日、仕事帰りに訪れたお店。
別段「わかりにくい」というわけではないのですが、建物自体が古く、照明も暗いため「やってるのかな?」と疑問になります。
近隣にはカジュアルなカフェバーのようなお店が多く、ここだけ異質な雰囲気を醸しています。大人のためのレトロ酒場、といった趣です。

お店は、ご高齢の女将がひとりでやっていました。

暗い照明の下にピンク電話、そこだけ新しいテレビに映るNHKが眩しいほど。木のカウンターの上には料理を持った大皿がいくつか並びます。40年ほど前からここで(移転したそうで、お店自体はもっと前)商売をしているそうで、その分の時間の堆積が確かに感じられます。

実は、このお店は、東京ではじめて「吟醸酒」を揃えていたという、知る人ぞ知る日本酒の聖地。冷蔵庫には、十四代や飛露喜といった銘柄が並びます。

「前もっとたくさんあったんだけどね、壁にこうさ(手振り)、ずらっと並んでいたんだよ。扱う量は減ったけど、昔のつきあいがあるから今もお酒をわけてくれる」と女将。

カウンターに並ぶ大皿からいくつかの料理を選び、それをあてにちびちびいただきます。お酒は注文もできますが、女将に決めてもらうのもいいです。「おまかせ」にしたら十四代出てひるみました。

と、洗い物などひと仕事終えた女将、「あー疲れた」とカウンターの中のイスに腰をおろし「やっと私の番だよ」と、ビールでひと息(ハートランドと糖質オフの発泡酒を大きなグラスに半分ずついれたものがお好きだそう)。

そして「おいしいトマトもらったんだけど、食べるかい?」と。

こういうのが、いい。

この女将が、お酒以上に素敵です。
「このミョウガはね、黒酢でつけたんだ。ちがうでしょう?」
「三浦の、海辺で乾燥させた大根。これはおいしいよ、あなたも食べる?」
「そら豆はね、一度茹でたあとに醤油で炒めるのがコツ」
といった料理の話から
「この酒蔵の社長はね、学生のときにきていたんだよ、先生につれられてね。もう何十年前だろうねぇ」
日本酒業界の生き字引のような話題、
「うちの孫ももう20歳。お酒? 絶対ダメ。もし飲んでも瓶ビールだけ、それも目の前で注いだものでないとダメ」
「明日は休みだから、朝から歩いて銭湯にいくよ。そのあとのビールと餃子がおいしい」
のような会話まで。

決して騒々しい感じではありません。女将はもちろん、お客さんも普通のトーンでポツリポツリと会話を楽しむ。

「普通の音量」「普通の声色」で会話をするのが、なぜこんなに居心地がいいんだろうと、不思議になります。

締めは「手作りカレー」。これがまた、しっかり辛くてお酒がすすみます。

このお店は、あまり広めたいとは思いません。女将さんがSNSなどに疎いのはもろんですが(「食べログ?なんだいそれ? 」)、長年の常連さんが多いので、むしろ邪魔になるかもしれないと心配になります。あくまでも女将と常連客の空間に「少しお邪魔した」といった感じです。

だけど、入ってみてよかった。

そうしみじみ感じられるお店です。また、ふらりとおうかがいしますね。

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もちろん、お酒を飲みます。

ありがとうございます。お酒がさらにすすみます。
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クリーミー大久保(日本酒)

酒を愛するクリーミー大久保です。10数年間、お酒に寄りがちな編集・ライターとして活動してきました。ブログというコミュニケーションの勉強、そして日本酒メディアの立ち上げを目指して、美味しいお話を綴っていきます。

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