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旅と日本酒。「地酒」という言葉は、ずるくて 美味しい

旅行の楽しみのひとつに「食」があります。
その土地のおいしい料理を食べて、その土地のおいしい酒を飲む。
おいしい思い出というのは強く、そして長く残ります。

(先日四国あたりにいってきました。美味かった…松茸とハモ、多分東京でも食べられるけど、絶対美味かった)

それと同じくらい好きなのが「その土地の地酒」を買うことです。

それも、あまり知らない方がいい。都会向けの上品なお酒よりも地元のおっさんが飲むような日常酒を知りたいと感じます。

香川・金比羅山のふもとにある「金陵」の蔵。まあまあ観光地化していましたが、吸い寄せられて買いました。

(でかい酒モニュメント。撮らずにはいれらません)

そんなわけで、旅行にいくと
できるだけ地元のスーパー・コンビニに立ち寄るようにしています。
酒売り場を見ると、さすが「地酒」という言葉があるだけあって、東京とははっきりと趣が異なるのです。

(丸亀市の普通のスーパーに、三越伊勢丹が猛プッシュしている「讃岐くらうでぃ」があったり)

(徳島・歩危にある歩危マート。観光客もいますが、地元のおじいさんおばあさんが食材と酒を買いにきます。ずっといられる)

そういうところで、見たことないようなお酒を買って帰るのが好きなのです。

旅先の「地酒」は、旅情をもう一度味わえる

四国旅行の戦利品がこれらです。「金陵」のほか、すだち酎やカップ酒も買いました。

個人的には「つたはーんの酒」に気分が上がります。
「攻めダルマ」の愛称で知られる元・野球選手・蔦文也さんをモチーフにしたゆるキャラ「つたはーん」のお酒。キャラクター酒ですがつたはーんだからよい。

おつまみは、同じく旅先で買った食材で。これは歩危マートで買った乾燥山菜をただ煮たもの。

なんてことない組み合わせですし、決して高くない(むしろ安い)のですが、こういうのがしみじみとおいしい。「地酒」を飲むことで旅行の「楽しい記憶の味」みたいなものがもう一度楽しめるのです。

「地」酒って、何だ?

(すだち酎は炭酸で)

日本酒は、その土地で醸すお酒なのですべて「地酒」のはずです。しかし、「地酒」の呼び名は、いろいろな考えやこだわりがあるようです。

本当に土地のお米を使っているか、地元の酵母なのか、などなど。そういう本質的なことを考えると、地酒とはテロワール的な「意識高い日本酒」のほうが正しいのかもしれません。

でも、僕はどちらかというと「その土地のおじいさんが普通に飲んでいる酒」のほうに「地酒」としての魅力を感じます。
たとえお米が兵庫県産でも、きょうかい酵母を使っていても、醸造アルコールを足しまくっていても、です。

「土地の味」って言葉はかなり強く、ややずるいようにも感じます。

たとえば写真の油揚げは「歩危揚げ」という、歩危マートの名物。もちろん、すごくおいしい。

でも、この「歩危揚げ」ができたのは10年くらい前だそう。全然伝統とかじゃないのです。さらに、歩危揚げ自体はわりと普通なでかい油揚げ。多分東京で食べても「ふーん」というくらいの味なのです。でも、おいしい。

日本酒も同じような感じ。都内の地酒専門店に行って、なかなか「普通酒」はあまり買いません。ほかにおいしいお酒はたくさんあるから。それこそテロワール系とかを飲みます。

しかし、これと「旅」がひもづくと、とたんに輝いて見える。

それは結局、旅の延長であって、訪れた土地の人が感じている空気感とか、そういう非日常さを求めているのだと思います。
ここまで書いてみて、飽食の時代を超え、さらに一周した現代人の贅沢さ加減をかんじました。消費者のわがままって怖い。

決して都会的ではないし、これからも流行らなそうな地方ごりごりの地酒。
そういうわけで結構好きです。言った分の責任をもって、これからもいろいろ飲みます。


※念のためですが、今回のお酒どれもおいしかったです。「普通酒」「日常酒」をわざわざ選ぶ例として出させていただきました。まあでも見事なおじさん酒でした。落ち着きます。

もちろん、お酒を飲みます。