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AIは対人コミュニケーションの代わりにはなり得ない。

中国では故人をAIでよみがえらせるサービスが成長している。

故人でなくても、AIを使って誰かのアバターを制作して、会話させるサービスが流行している。

AIは対人コミュニケーションの代わりになり得るか?




我々人間はなにか。
もっと言えば外から観測可能な人間の言動とはなにか。

これは僕の解釈だが

内部状態と外部入力の相互作用的に
タンパク質で出来たハードウエア上で
演算された結果である。

外部入力とは身体の様々なセンサーが受け取る情報である。人間には五感があると言われている。

  • 触覚

  • 聴覚

  • 味覚

  • 視覚

  • 嗅覚

内部状態とは

おなかが空いているか、疲れているか、楽しい気分か、怒っているか、
大雑把に言えばこういったものだが、本当はとてもとても複雑なもので、突き詰めていけば、ホルモンやニューロンの状態、腸内細菌の状態、細胞の状態になるだろう。

さてAIも構造的には似ている。
ニューラルネットワークによる内部状態を持つし、外部入力はテキスト、カメラ画像などを与える。そして演算はnVIDIAのGPUをはじめシリコンのハードウエア上で行われる。

しかし、それは似ているだけで異なるものである。内部状態の仕組みも、外部入力を受け取るセンサー、演算をするハードウエアも違う。ならばその結果としての言動も似て非なるものだ。



あなたの目の前にいる、その瞬間の生身の人間はその場所、その時刻にしか存在しない。
過去の脈々とした外部入力との相互作用で決定された、その瞬間の内部状態と、その場所その瞬間の外部入力の相互作用によって、その人はそこに存在している。
次の瞬間にはまた変わっている。
ましてや、いくら過去のその人の情報をデータとしてAIに入力したところで、内部状態も外部入力との相互作用も計算されるハードウエアも、その人ではない。その人ではない何かである。

AIを相手に会話をするのは著書を読むのに近いかもしれない。
その人が、その瞬間に残したものかもしれないが、その人そのものではない。
その人本人は、生身のハードウエア上で内部状態と外部入力の相互作用で刻一刻と変わっていくものだから。

AIで大切な誰かのアバターを作ったとしても、その人には会えない。
しかしこう考えることはできる。

自分の内部状態もまた、過去の脈々とした全ての外部入力によってできているなら、大切なその人とした会話、触れ合った時の感覚、匂い、眺めた時間、全てが情報として自分自身に内包されている。
今この瞬間の自分自身は、それが過去のものであったとしても、その人から受け取った入力によって形成されている。

たとえ会えなくなったとしても、その人はあなたの中に生きている。

このように言ったりするのは、つまりはそういうことだと考えている。

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