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超電子バイオマン ♯10 さよならイエロー

本日4月7日は第10話の放送日です。

小泉ミカを演じた矢島由紀さんの降板が正式決定し今後の登場が不可能になったことから、急遽作られたお話です。
降板に至った経緯は当時のプロデューサー、鈴木武幸さんのご著書に詳しく綴られています。
その本のリンクを7話の感想記事(https://note.com/01279/n/nac4e2f1759a0)に載せていますのでご参照ください。
この記事では制作上の諸々は語らず、小泉ミカの最期の戦いと彼女を想う4人の想いを丁寧に追っていきたいと思います。

では、行ってみましょう。


あらすじ

ネオグラードにたどり着いたひとつの衛星。それを見たドクターマンが不敵な笑みを浮かべる。搭載されていたのは反バイオ粒子エネルギー。バイオ粒子を打ち消すそれを使って作った「バイオキラーガン」でバイオマンを一網打尽にしようというのだ。彼らに迫る究極の危機。その前にひとり立ちはだかったのは、イエローフォー・小泉ミカだった……。

感想ツイートその他雑感

恐るべきドクターマンの執念

数々の作戦をバイオマンに邪魔されたドクターマン。彼の怒りと科学者としての執念が、とんでもないものを宇宙からかき集めることになりました。
その名は

反バイオ粒子エネルギー

バイオマンの能力を打ち消す力を得た彼は、ある武器を作りました。それが「バイオキラーガン」。それを託されたメイスンによって、5人は最大のピンチに陥るのです。

さよなら、ミカ

そのバイオキラーガンによりバイオロボを戦闘不能に陥らせたメイスンの攻撃の手が、今度は5人に襲いかかりました。4人の盾になったのはミカ。
彼女は、自分が反バイオ粒子を浴び続けることでみんなを救う決断をするのです。
最初は戦いを拒み、郷さんにすら抗うことがあったミカさん。彼女が心の中で仲間を大切に想うがゆえの悲しい決断だったんだな……と思うのです。

4人の怒りとミカへの想い

ミカさんが仲間を想うのと同じように、4人もミカさんのことを想っていました。それは彼女を探せない焦りからも分かりますね。迫るタイムリミット。その中でもミカさんはバイオキラーガンの秘密を自ら探り皆に知らせ、それに対して責任を背負うひかるちゃんの横顔は何とも言えないほどの悲しみを湛えていました。
そして、サイゴーンの爆撃により戦闘不能に陥ったミカさんに「見ていてくれ」と宣言して戦う4人からは怒りが、最期の場面はそれぞれの悲しみが描かれており、ひかるちゃんを演じた牧野美千子さんの演技が物凄く胸に迫ってきます。

ミカさんがみんなを愛したように
みんなもミカさんを愛していた。
仲間として。

それをぜひ、感じ取っていただけたらと思います。

今週の出撃当番by新帝国ギア

は、ある意味最強コンビなんじゃないだろうか。
ビッグスリーの筆頭格・メイスン。
そしてジューノイド五獣士の中で多彩な技を持つサイゴーン。
このふたりの攻撃の残忍さは今後も出てきますのでぜひ注目してもらえたらと思います。

この話の思ひ出

はねぇ……。本当につらかったの。
中学2年生の再放送で見始めた頃は本っ当にジュンちゃんに早く出てきて欲しくってすごく1ヶ月が長く感じたんだけど、そんな中でもミカさんは私の心に爪痕を残してたんですよねぇ……( ˇωˇ )
本編全部見終わった余韻を噛み締めたかったのに、当時いきなりぶっ込まれた焼肉のタレのCMだったかな? そのコミカルさにマジで怒髪天衝きましてね。その後しばらく本編の後に流れてたんだけど、CMに出ている俳優さん嫌いになったくらいムカつきましたから。(当然今は何も感じてないしその俳優さん好きですよ😌)

その時思ったんですよね……。

「あぁ、私ミカのこと大好きになってたんだな」

って。
次週から大好きなジュンちゃん登場だったのに、テンション上がりきらなかったのを今でも覚えてますね。(もちろん日が経つにつれ上がってったけど☺️)

今週のベストなやり取り

どうにかピンチを乗り切った4人。しかしミカさんだけはどうしても見つけられません。みんなの焦りと何としても彼女を見つけようとするみんなの気持ちが強く出ていたここ!

郷「鳩連絡員002号、002号。ミカはどこだ?」
(郷の声が届かずキョロキョロする002号)
郷「! わからないのか俺の声が───」
(そのまま飛び立っていく)
ひかる「郷さーん!」
南原「郷さーん!」
高杉「郷!!」
郷「いたか?」
ひかる「(首を振って)駄目よ、全然連絡が取れないわ」
郷「俺もだ。鳩連絡員を使ってイエローフォーの行方を探そうとしたんだが……動物と言葉を会話する能力が消えてしまった」
高杉・南原「え?!」(ここで顔を見合わせる) 
南原「もしかしたらもうミカは……」
高杉「ピーボのやつめ。バイオ粒子の力を最も色濃く引く者なんて調子のいい事ばかりいいやがって! 何がバイオだ!」
郷「もうよせ! 俺たちはバイオの力を誇りに思っていたじゃないか」
(視線を逸らす高杉に微笑みすら見せて)
郷「みんなで手分けして探そう。新帝国ギアの目が光っている。十分注意してな」

自分たちを引っ張ってくれているバイオの力。しかし、バイオキラーガンによってミカは大ダメージを負い行方不明、そして郷のバイオの力も消えてしまう非常事態。
ミカさんの安否不明に不安を隠さない南原くん。
そして、バイオの力への疑念を顕にする高杉くん。
そんな彼らを引きあげるのはやはり郷さんでした。
郷さんだって不安だったはず。でも彼はきっと信じているんだと思います。
あのミカが死ぬはずがない、と。
郷さんの思いの強さが再び皆を引っ張るこの場面は必見です。

今週の名ゼリフ

は、ミカさんの遺言とも呼べるここ!
サイゴーンの爆撃により戦闘不能に陥ったイエローフォー。最早ひとりで起き上がることもできません。それでも彼女はレッドワンの手を強く握り、言葉を紡ぎます。

「バイオの力は、まだまだ身体の奥深く眠ってるわ。みんな……バイオに授かった力を信じて」

この言葉……本当に深いんですよ。今後の展開に対することもさることながら、高杉くんが持った疑念への答えにすらもなっている。身体からバイオ粒子を奪われたミカさんが言うからこそ、すごい説得力を持っている───そう、私は感じてやまないのです。

🏅今週のMVP🏅

はもう、ね。全員です。
みんなの互いを助けたい、護りたいという想い。
それがとても切なく悲しいけれど、でも、その絆がまた遺された4人を強くしてくれる。そんな気がしてならないのです。
次回から新戦士である二代目イエローフォー・矢吹ジュンが登場しますけど、彼女を迎え入れるまでの彼らの心の動きにもぜひ注目してもらえたらなぁ、って感じずにはいられないのです。

Another Story

「………やっちゃった、な」
自分が埋葬される様子を見ながら、私はため息をついた。

でも、不思議と後悔していない自分がいる。

みんなを護り切れた。
それだけで、もういいや。
そんな気がしてならない。

でも、たったひとつ心配なこと。
それは─────。

✼••┈┈┈••✼••┈┈┈••✼••┈┈┈••✼••┈┈┈••✼

バイオベースの裏に建てられた真新しいお墓。
もう、どのくらいここにいるのだろう。
それでも私は立つことが出来ずにいた。

バイオマンとして選ばれてからずっと、守られてばかりだった。
最期の最期まで。貴女は私を守り抜いてくれた。
自分の弱さを、こんなにも惨めに感じるなんて。

護りたかった。
反バイオ粒子を一身に浴び、倒れていた貴女を。
メイスンが向けてきた銃口から、助けてあげたかった。
それなのに……。

ミカが撃たれた瞬間を思い出し、とっさに目を閉じる。

ごめんなさい。ミカ。
守られてばかりで。
弱い私で。 
それでも明るく優しかった貴女に、何も返せなくて。
ごめんね─────。

✼••┈┈┈••✼••┈┈┈••✼••┈┈┈••✼••┈┈┈••✼

「ひかる」
泣きじゃくる彼女に声をかけたところで、もう、届くことは無い。
それでもこれだけは伝えたくて、そっと彼女の身体を包み込む。

(気づいて、ひかる)

後悔なんてしてない。
みんなを、そして何より貴女を護れて本当に良かったと思ってる。 
だから前を向いて。
大丈夫。貴女たちの身体に眠るバイオ粒子がきっと助けてくれる。

そして。

必ず見つかるわ。
私の遺志を継いでくれる新しい戦士が。

だからもう私のことで後悔しないで。
そして、泣かないで。
約束よ。

✼••┈┈┈••✼••┈┈┈••✼••┈┈┈••✼••┈┈┈••✼

「─────ミカ?!」
ふわっと包まれた感覚に、私は振り返る。
でも、そこに呼んだ名前の主はいない。
だけど、確かに感じた。
ミカの気配を。
そして、「前を向いて」って言葉も。

(来てくれたのね、ミカ)

悲しいのに、何故かあたたかい気持ちが心を満たす。

もう、心配かけてなんかいられない。
戦わなくちゃ。ミカのためにも。
そしていつか、またここに来てミカに伝えるんだ。

地球の平和を守り抜いたよ、って。

星空を見上げて、私は立ち上がる。
そんな私のことを、ミカが微笑んで見つめてくれている。

何故か、そんな気がした─────。

つづく

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