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中断期間だからこそ…VOL3     新井一耀が目指す場所

新型コロナウイルスの感染が拡大し、現在中断している明治安田生命Jリーグは全てのカテゴリーの再開日を白紙に戻したことを発表している。さらに国は「緊急事態宣言」を7日に発令。感染が拡大している7都道府県で効力を発生させ、期間は約1カ月程度とする方針で国民に自粛を求めることとなった。これを受けジェフユナイテッド市原・千葉も当面の期間にわたってクラブ全体の活動を休止することを発表した。

私たちの日常からサッカーが消えているーーー。ただ、今、できることは、生活に関わる最低限の外出を除いて自宅で過ごすこと。つまり、自分たちが感染しない、他人にも感染させない行動を取ることだ。その中、このVOL3が家で過ごすための暇つぶしになればと思う。(*取材は非公開練習が続く中、3月後半、メディア公開日に行ったもの)


開幕戦となったFC琉球戦を1-0で勝った千葉。[4-4-2]の布陣でセンターバックとして先発した新井一耀は、アクシデントで交代する59分まで相手攻撃陣を止め、跳ね返し続けていた。「(現在のコンディションは)怪我は治りすぐ復帰できました。今は問題なくやれています」と笑顔で答えた。

新型コロナウイルスの影響でリーグ戦は延期となり、いつまでこの状況が続くのか誰も予想がつかない中、選手は心にモヤモヤを抱えていてもおかしくはない。新井は「全世界の選手がこれを実感していると思いますし、この期間をどれだけ有効に使えるか、リーグ優勝を目指すにあたってキーとなるでしょう。モチベーションを持って行くのに苦労する部分もありますが、チームのみんなで声を出して勝つために練習できているので良い雰囲気でやれています」と言う。

今シーズンの新井は前線にロングパスを供給するだけでなく、4枚の最終ラインをまとめるマネジメントも担っている。左にはチャン・ミンギュ、右にはゲリアと、それぞれ言葉の違いもあって意思疎通も難しい部分もあると思うのだが、コミュニケーションが深まっていることで問題はないようだ。「最初に比べれば喋れるようになってきていますし、お互いのスタイルや特長も理解できています。良い部分が増えている。細かいコーチングやポジショニングは映像を見て、ボランチともコミュニケーションを取りながらやっていけば全然問題ありません」

中断期間はトレーニングを積み上げたことで尹晶煥監督の目指すサッカーが浸透している。ディフェンス面では細部の細部までコーチングが行き届き、連動してボールを奪うことが出来れば問題はない。「まずはどこに戻るか、ポジションのカバーなどお互いが感覚的に分かるプレーが増えてきています」と自信を覗かせる。

琉球戦では、開始1分に先制点を取ってから守勢に回るシーンが増えた。新井が59分にピッチを退いてからは[5-4-1]のブロックを形成し虎の子の1点を守り切った。

新井は「尹監督的には4枚を崩して5枚にするのをあまり好んでいないというか、4枚で行ければそのまま4枚で。攻められる時間やアクシデントが起きれば5枚にせざる得ないので、その前に4枚でブロックを組んで失点をしなければ大きく布陣を変えることはないという考え。4枚でも5枚でもやることをやればもっと守備が固くなる。相手を抑えれば自信も付いてくるので無失点試合を増やしたいです」と語った。

また課題となったビルドアップでの修正についてはどう感じているのだろうか。守備側から見た手応えについてを訊いてみた。「(トレーニングの中で)ボールを保持する時間が増えています。奪って縦に蹴るのではなく、サポートをして”自分たちのボール”にしてからという時間も増え、高い位置で奪ってショートカウンターも増えています」

良いチーム、良い雰囲気になっているのはたしかだ。先の見えない状況に対して、新井は「早くサポーターの前でプレーしたい思いをみんな抱いていますし、再開した時にしっかりとやれるようにしたいです。再開した時にチームと個人が良いパフォーマンスを出せれば」と笑顔で話した。

大幅な日程変更がなされプレーオフ制度がなくなった場合、上位2チームのみの昇格となれば、チャンスの扉は1つ閉じられることになる。「例年から言えば難しい戦いなりますが、優勝に目標を置いているのでそこを目指し達成できれば自ずと昇格できると信じています」

どんなに苦しい状況でも、屈っすることはない。昇格に向けたベクトルを自分に向け、新井は今できる限りのことを尽くす。再開後のスタジアムでは、その雄姿を見せてくれるはずだ。


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