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人型AI:ヒューマギアとは何なのか?

仮面ライダーゼロワンでは、「ヒューマギア」と呼ばれる人型ロボが多数登場します。AI企業である飛電インテリジェンスが開発した「人工知能搭載型人型ロボ」が総称してヒューマギアと呼ばれ、番組ではシーズンを通して様々なタイプのヒューマギアが登場します。

「人工知能」(AI: Artificial Intelligence)という言葉は一般的に使われていますよね。しかし、この「ヒューマギア」という名称は一般的に使えるものなのか検証したいと思います。

ヒューマギアは人間を意味するヒューマン(Human)と道具を意味するギア(Gear)を組み合わせた造語だと考えられます。「道具としての人間」みたいな意味だと考えられるでしょう。元々「ヒューマギア」という名称は飛電インテリジェンスが開発した商品名であったとと考えられます。しかし、そのゼロワンの世界では、ヒューマギアという呼称は人型ロボを代表して指す一般的な呼称になっています。

商品名が一般的な製品全体を代表する一般的な呼称となってしまうケースは世の中にも多々あります。例えば「サランラップ」と言えば何を指すか誰でもすぐにわかりますね。

サランラップはアメリカのダウ・ケミカル社が開発した「プラスチックを薄く伸ばしたシート状の製品」であり、食品向けに利用されるものに対してつけられた商品名です。実は、工業用だったこの製品を食品用に利用すること思いついたのがサラとアンという二人の女性だったのです。のちにこの二人の名前を合成してサランラップという名称が登場しました。そしてダウ社の上手な宣伝により「サランラップといえば同様の商品をひっくるめて総称してしまう呼称」になって行ったのです。うまいですね~。

同じくダウ・ケミカルが開発したジップロックなども同じです。皆さん誰かにお買い物を頼むとき、「ジップロック買ってきて!」といえばだれも間違えることはないでしょう。でも、「ファスナー付きプラスチックバッグ買ってきて!」と言われても誰もピンとこないでしょう。それと同じです。(ちなみにサランラップもジップロックも日本では旭化成が販売権を引き継ぎました。)

例は他にもあります。例えば、アメリカではティッシュペーパーを総称してクリネックスと表現します。日本でも乳酸菌飲料をカルピスと総称したり、ラベルプリンターをテプラと言ってしまったり、ホッチキスだって商品名なんですよ。これらみんな同様です。一般消費者が特定の商品名で探してくれるので、マーケティングとしては大成功と言えるでしょう。

話を戻しますと、「ヒューマギア」という名称が人型ロボ全体を指すものとして飛電インテリジェンスが作り出したものであり、これが人型ロボ全体を指す一般名詞になっているのだとすると、飛電インテリジェンスはマーケティング的にも大成功を収めている会社と言えるでしょうね。

というのも、現実世界での人型ロボは一般的に「ヒューマノイド」とか「アンドロイド」と呼ばれてます。しかし、番組中では一貫して、「ヒューマギア」という言葉が使われています。ライバルが同様の商品を出してもヒューマギアと呼ばれてしまう。これこそ飛電インテリジェンスの優秀なマーケティング部隊が考えた戦略に違いありません。

日本にはJ-Plat(※)というとても便利な特許情報の検索ツールがあります。そこで確認してみたのですが、「ヒューマギア」が商標登録されていることは確認できませんでした。

現実世界でも商品名「ヒューマギア」に飛電インテリジェンスが特別の権利を持っているということはなさそうですし、仮面ライダーゼロワンの権利を持つテレビ朝日やバンダイなども商標を独占する事には興味がなかったのかもしれませんね。

現実世界でもヒューマギアという言葉は一般的に使えるし、今後も使ってよいのです。バンバン使っていきましょうw。

番組中ではヒューマギアを説明する際に、わざわざ「人工知能搭載型」と表現しています。これを検証しようとするとちょっと難しいのです。というのも、世の中では、何を指して人工知能(AI)と言っているかというのが人によって違うからです。

AIを研究している学者さんのところに行けばその先生が信じているAIの定義を説明してくれるでしょう。ですが、AIという言葉は世の中で独り歩きしすぎていますので、学者さんの定義するAIと一般で使われているAIとは違う意味だったりするのですね。AIというのは明確な定義が無く使われている言葉なのです。

ヒューマギアのように人型ロボがあれほどスムーズに動くにあたって「AI的なモノ」が搭載されていないということはあり得ないと考えられます。例えばヒューマギアは直立二足歩行をするために絶妙のバランスをとっています。これはAIがないとできない。画像から人を判別して自然な発話をしていますが、これも高度なAIの部類に入ります。ましてやシンギュラリティなど・・・まぁこれはまた後で。

ということで、ヒューマギアはAIを搭載しているというよりAIの進化によって生まれたAIそのもの形の一つであるということもできるでしょう。実際、番組の中では「ヒューマギアはAIそのものである」というニュアンスでも使われています。



※J-Platは、独立行政法人 工業所有権情報・研修館によって運営される特許情報プラットフォーム。登録されている特許や意匠、商標等の簡易的な検索ができます。競合の抑えている商標や特許情報などを確認したいスタートアップはこちらを積極的に利用するようにしましょう。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/


通信衛星ゼアによってコントロールされるヒューマギア


物体認識の技術によって誰であるかを認識して

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