現代における人気とお金と時間

はじめに

昨日は大きなランキングの結果が各所で出た(ひとつは厳密に言うと今日になって出たのだが、割愛)

まずは人気ソシャゲの『アイドルマスターシンデレラガールズ』の総選挙。割と初期───それこそ、ガラケーでポチポチ時代から活躍していた雪美ちゃんやナターリアにもようやくボイス実装されることや、所謂主人公ポジションでありながら唯一シンデレラガールになれていなかった未央ちゃんがついに1位を取れたこと。それを喜ぶ多数の声。

そして───実装からわずか3ヶ月、四半期である。それにも関わらず、総合3位に食い込むという快挙(ある意味当人にとっては重い重い枷になるのかもしれないが)を、夢見りあむが成し遂げてしまったこと。

昨日のツイッターはとにかくその関連のツイートが多かった。

(それはそうと、まゆが今もなお総合10位以内にに食い込むの凄いですね…流石まゆ…と思う元まゆPですが、話が逸れるので割愛)

そしてもうひとつ。

こちらは舞台をSHOWROOM…かつてバーチャル蠱毒が行われたあの場に移す。昨日まで、こちらのバーチャルカテゴリーでも奇しくもガチイベが行われていた。

内容を要約すると『1位になれば日本コロムビアバックアップの下、アイドルマスターシリーズにも携わっていた作曲家さんからオリジナル楽曲提供を提供してもらえる』というものである。シンデレラガール総選挙の結果発表とイベント終了日が同じなことに若干の因縁めいたものを感じなくはないが、所詮はオカルトなので私の胸の内に留めておく。

さて。

ここから先は私の超個人的な雑感と、トンチンカンな考察のようなポエム故に長くなるため、目次をつけていこう。


夢見りあむというアイドル

先にも触れた『夢見りあむ』。

私は某グッズショップの店員故に、彼女を見た瞬間、「ああ、この子は売れるな、早くグッズが出ないかな。出来ればスケールフィギュアがいい」と思ってしまった。可愛くキャッチーな見た目、メリハリのある身体、ザコメンタルなのに構ってちゃんでプレイヤーを「Pサマ」と呼ぶ…何て商品向きの子なのだ、と本気で思った。

ゲスい考えはなの自覚している。が、現在は既に引退したPなのでどうか許して欲しい。私は今、彼女達のグッズを売って食い扶持を稼いでいる身なのだ。

それはさておき、あのちひろさんにすら『ザコメンタル』と言われた、アイドルオタクで承認欲求の塊で、炎上してでもいいから知名度を上げたいと宣った彼女───そんな彼女が、まさか総選挙で総合3位に食い込むとは思いもしなかった。

私は前述の通り残念ながらデレステもモバマスももうやっていないため選挙結果は直には見ておらず、ツイッターで流れてきた選挙速報を見た身だ。そして、その内容に驚いたクチである。

実装されてまだ日も浅い、こう言ってはアレだが決してアンチも少なくないだろう彼女がここまでの高順位に入ったことに驚きを隠せなかった。

モバマス黎明期からいるナターリアや雪美ちゃん(特に後者は根強いファンが大変多く、私はてっきりもうボイスが付いているものだとばかり思っていた)にやっとボイスがつくことや、万年2位と言われてきた未央ちゃんがシンデレラガールの座を手に入れたことよりも、夢見りあむが総合3位ということに驚きを隠せなかったのだ。

デレステでは少し前、新キャラクター関連で大炎上が起きていた。詳細は下記のまとめに譲ろう。

そんなことがあったばかりのシンデレラガールズで、言ってしまえば未だ新規のアイドルに───高レアリティのカードがない状態のアイドルに(厳密に言うとこれは二例目らしいが)、総合3位、である。しかも夢見りあむのあの口調、態度。決して万人受けするものでは無い(好きな人は大好きだろうが)。

アイドルオタクである夢見りあむ自身も、そして今後彼女の声を担当する声優さんも、相当緊張するだろう。一歩間違えば、反感を買う位置にいるのだから。

炎上してでもいいから知名度を上げたい───そんな夢見りあむは現代のネット社会を体現しているように見える。

先日、渋谷のスクランブル交差点にベッドを置いて寝てみるという行為を行った非常識なYouTuberに処分が下った。かの有名なスケート選手ですら、インスタに自ら上げた動画のせいで法令違反でバッシングされている。出演者のツイートひとつで金と時間をかけて作ったであろうプロモーション映像を一日で取り下げた企業もある。ある女性声優にリプを送り続け、本人からも事務所からも出禁を言い渡された挙句ツイッターアカウントが凍結されたユーザーもいる。

このご時世、炎上なんてすぐ出来る。

有名になればなるほど、ファンもつけばアンチも増える。それはある意味、嫉妬心というものを生まれながらにして持っている人間同士のやり取り故に仕方の無いことなのかもしれない。

そんなご時世に、ザコメンタルを自他称する夢見りあむは声を貰ってしまった。恐らく、彼女の中で輝く数多の『努力しているアイドル』を数段飛ばしにして、己は何の努力もしていないのに、同じ土俵に立ってしまったのだ。

それがどれだけの恐怖か、私には計り知れない。

それ以上に、今は話題性が尽きない彼女であるが、今後は?と考えると恐ろしいものがある。

強烈なキャラクター、話題性で注目されている夢見りあむ。しかし彼女が来年の総選挙でランクイン出来る可能性は、どこにもないのだ。それは、過去に10位以内やシンデレラガールになったアイドル達が今回10位に落ちていることからも容易に察せよう。

刺激は強ければ強いほど、慣れられるのも早い。

ここから先は、私の飯の種云々は抜いた純粋な願いであるが───どうか彼女が、真の意味で幸せになれること、即ち、ステージの下から見ていたキラキラしたアイドル達と同じ土俵に自分が立ってもいいと思える日が来ることを願うばかりである。


九条林檎というバーチャルSHOWROOMER

さて。

SHOWROOMにて昨日まで開催されていたあるイベント───詳細は前述の通りなので割愛する───の結果が、先程出た。

私が応援する九条林檎嬢は、残念ながら2位という結果に───即ち、1位以外全部負けの勝負で、敗北を喫した。

正直に言おう。私は正式なディナーでないにしろ、悔しい。

昨日日間総合ランキング1位を取ってなお、このイベントランキング1位には届かなかったのだ。それでもなお、林檎嬢はこう述べてくれている。

『貴様らが我を1番にしたんだ  誇るといい、心より礼を言おう』

悔しさを一切見せず、自分のリスナーに対して礼を言う彼女の姿勢には、毎度脱帽を禁じ得ない。

しかも彼女は今朝、noteにてこのような記事を書いている。

九条林檎嬢はこの中で、リスナーへの礼のみならず、謝辞、そして、他配信者への心配まで書いている。まったく、どこまで出来た主様なのだ、と、半人前のディナーなりに感服するばかりである。

そして泣き言ではなく、次への希望を綴っているのも、九条林檎を九条林檎たらしめている要因の一つだと思っている。

彼女は強い。それだけでなく、リスナーを信じており、かつ、自分のやりたいことを納得するまでやっているのだ。薄い話はしたくない、リスナーを楽しませたい。そんな思いがひしひしと伝わってくる文面であった。

微々たるものでありながらも、貢献させて頂けて光栄の極みである(この金が一体何のための課金だったのかは、私の過去記事を読んで頂ければ分かるのだが、敢えて突っ込まないで欲しい。メンヘラには、依存先が必要なのだ)。​


金とモノと時間

私はかつて、とあるゲーム会社の末端の末端の末端のバイトとして働いていた。その時にはもう、市場はモノ売りからコト売りに変化していっていた。

今でこそ普通に売られている、体験型の福袋が売り出されることになった時のニュースは、鮮烈に覚えている。ショッピングモールの中でVR体験が出来るようになったのも、よくよく覚えている。

モノよりコトに重きを置く人が多くなっているのは、事実である。

それは、先述したシンデレラガール総選挙やSHOWROOMでのイベントにも通ずるものがある。

───対象が非現実であれど、応援したいヒトがいる。そのヒトと同じ時間を過ごすことが楽しい。だから投資(早い話が課金である)をする───

推しにもっと良い待遇を、と思うのはオタクの常である。現に私もかつてソシャゲで、1秒で30万が溶けるイベントで推しをランキング1位にしたことがある。推しのイベントがあらば金に糸目をつけずに参戦し、ランキング1位をほぼ死守していた(なお現在はそのゲームに関しても引退済みである)。課金を続けた結果、推しの待遇は格段に良くなった。アンチも多かったが、それでも私はそのキャラクターが好きだった。

これもモノ消費からコト消費へのシフトである。推しの命を延ばすため、少しでも良い待遇を与えるため、そして何より、推しの喜ぶ顔が見たいが故の行動だ。

しかしこれには重大なリスクもある。

例えばソシャゲであれば、幾ら金を注ぎ込んだ所でサービス終了となればそこでオシマイである。いくら推しに貢いだとしても、睡眠時間を削ってイベントを走っても、サービス終了日にはサヨナラなのだ。

この喪失感は恐ろしく大きいものだ。

また、バーチャルSHOWROOMERに関しては、所謂『鬼タイテ』によって、配信者も視聴者も疲弊する。というか、私はした。

九条林檎嬢のそこまで辛くないタイテですら疲弊したのだ。というか、仕事もありついていけなかった。恐らく、雨ヶ崎笑虹嬢が今回のイベントで行った鬼タイテについて行こうとしたら次の日に灰になれる自信がある。

しかしそれをやりきった笑虹嬢は素直に称えるべきであるし、それについていったリスナーも同様だ。ただ、どうか身体にだけは気をつけて頂きたいものである。

漫画家のやしろあずき氏が、こんなブログ記事を書いている。

『命を燃やせ!LPナブラ戦法』的なやり方を否定するつもりはないが、どうか身体を酷使し過ぎないで欲しいというのが本音である。

確かに、コト消費に傾いている現在、他人とは違うことをしないと目立てない───それこそ、夢見りあむが拗らせている承認欲求が満たせない、どんなにガワが可愛くても埋もれてしまう、ということと同義だということは分かっている。だがどうか、心身共に適度に休息をして欲しい、というのが一個人のささやかな願いである。

※上記の、『命を燃やせ!LPナブラ戦法』に関しては下の動画を参考にされたし。


終わりに

現代社会に於いて、人気というのは金で買える。ツイッターのフォロワー買いやpixivでのブクマ買い、言ってしまえば私のやった、推しへの課金も『人気を金で買う』の一つである。

それでも、そんな現代社会を懸命に生き抜いている、スマホ越しのアイドルやタレントさん達には、どうか自分の身体を大切にして頂きながら、楽しませて頂きたい。

テレビ番組より、彼女らの持つ世界の方が、よっぽど面白いことも往々にしてあるのだから。

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