九条林檎という女

九条林檎というバーチャルSHOWROOMERがいる。

彼女の存在はよく知らなくても、バーチャルYouTuberを追っている人や、Twitterのトレンドをマメにチェックした人であれば『バーチャル蠱毒』という言葉を目にしたことはあるだろう。

彼女は、その企画から生まれたバーチャルSHOWROOMERである。

私は恥ずかしながら、彼女の配信を見るようになったのはつい最近である。

もっとも、名前自体はTwitterで件の『バーチャル蠱毒』が話題になった時から知っていた。

『バーチャル蠱毒』の概要に関しては、話が脱線するので割愛する。興味のある方は是非調べて欲しい。

その企画では、5つの魂がバーチャルでの肉体を得た。今SHOWROOMを中心に活動をしている九条林檎も、その1人である。


さて。

その九条林檎であるが、本日親戚が3人受肉したようである。

先程そのPVを見、改めて今の九条林檎という女の強さを感じた。

恐らく九条林檎の『魂』(所謂中の人のことではあるが、敢えて魂という表記で統一させて頂く)が今のそれでなければ、きっとこの3人の親戚は生まれなかっただろうと私は思っている。

というのも『バーチャル蠱毒』のごくごく最初期しか見ておらず、完全に蚊帳の外にいた私が知っている九条林檎という女は、今の魂を宿したそれでしかないからだ。

自らの名や『バーチャル蠱毒』という単語をツイートした人間を次々と当事者として引き摺り込んだ彼女は、泥臭いなりに領主としての素質を持っていた。しかも、あのアクの強いキャラクターを一切崩さずにそれをやってのけたのだ。

お世辞にも九条林檎の魂は他のバーチャルYouTuberやSHOWROOMERと比べて滑舌が良いわけでもなく、声が通るということもない(それも含めて私は九条林檎が好きではあるのだが)

恐らく『バーチャル蠱毒』という形でなく運営企業のオーディションで九条林檎の魂が選ばれたとしたら、今の彼女の魂は別の人間だったであろう。

しかし今の九条林檎の魂はその強烈な個性と、確固たるキャラクター像を確立したことによりその肉体を手にしたのだ。

そして、彼女の世界を拡げ始めた。

かつて一世を風靡したギャル雑誌『小悪魔ageha』の紙面に彼女が掲載されたのは記憶に新しい。

そして本日、親戚という存在を得たことで、九条林檎の世界は更に拡がった。


九条林檎という女は、不思議な存在である。

Twitterや配信を見ていれば、魂は決して金銭的に恵まれているとは言えない。

しかし自己研鑽の為に色々なガジェットを自費で購入し、日々新しいことをその血肉としていっている。

そんな泥臭さがあるのに、彼女は確かに領主であり支配者なのだ。

これから先、九条林檎という女がどうなるのか、否、彼女はどんな世界を切り開いていくのか、それは私には分からない。

だが、彼女がこれで終わる女でないということだけは分かる。いや、そう期待せざるを得ないのだ。

『バーチャル蠱毒』の黎明期から、その代名詞の如く活動し成長し続ける彼女が今のままで終わるわけがないのだ。

何故なら九条林檎という女は、泥臭いことも厭わず行える、賢く強い女なのだから。

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