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推しが結婚したオタクの話。

Twitterの通知が20件を超えていた。

仕事の休憩に入った昼過ぎのことだった。描いたイラストを載せたわけでもないし、朝もおはにょろくらいしか呟いていない。(おはにょろとはTwitterのフォロワーが考えて使い始めた言葉で、今では私の朝の挨拶として定着している)

通知欄を開くと、1週間以上前に呟いた「水樹奈々最近同棲してる人いるよな」という旨のツイートに対して今更RTやいいねが伸びている。

どうして10日前のツイートが今になって拡散されているんだろう、と考え終わる前に気が付いてしまった。あぁ、そういうことかと。

即座に水樹奈々公式のツイッターアカウントを検索にかける。1時間以内に新しいツイートがありますの表示。あぁ、ついにきたか。

水樹奈々公式のツイートには公式ブログの更新が記されていた。タイトルは何度目にしたことがあるのかわからない、「いつも応援してくださる皆様へ」

なんということだ。

私は水樹奈々公式の発表を見るよりも先に、自分のしょうもないツイートの拡散の通知で「それ」を知ってしまったのだ。



水樹奈々が結婚した。



水樹奈々はよく料理の写真をブログに載せるのだが、その時に写真に写る食器やランチマットに、過去の勤務先で販売していた物が時々あった。

そのため料理の写真が載ると、料理そのものより食器やランチマットなどの小物を見てしまう。職業病ってやつだと思う。

以前から水樹奈々は食事の時にランチマットを2枚敷いていた。だが2枚は違う柄のもので、そのうち1枚は食事以外の写真の時も映り込んでいたので、恐らくインテリアとして敷いていたんだと思う。

それがここ最近になって同じ柄のランチマットが2枚食卓に敷かれるようになった。これは間違いない。

更に1ヶ月ほど前から猫を飼い始めたという話を水樹奈々がしていた。あれだけ多忙な水樹奈々が1人で犬と猫の世話をしているとは思えない。きっと誰かと同棲している。


という旨のツイートがなんと100RTを超えてしまった。描いたイラストでもなかなか100RTは超えないのでなんとも複雑な心情だった。



というわけで、推しの水樹奈々が結婚したわけなのだが。


水樹奈々が結婚したという報告を聞いて素直に喜んだし、心から祝福出来たことに自分ですごく驚いた。

実のところ、人の結婚が素直に喜べない。他人の結婚式や披露宴に出席するのがとてつもなくしんどいし、精神的につらい。

私自身、何を隠そう4年前に水樹奈々がきっかけで知り合った夫がいる。

入籍当時私が10代だったことや、水樹奈々のライブツアーで遠征することを反対されたり、自由な時間がとれなかったりしたことから同棲生活は上手くいかず、今では私が家を出て2年間の別居生活をしている。

ただ、私が我がままだったためにこうなっているのだけれど、結婚して幸せな生活を送っている他人が羨ましかった。そんな人を妬んでしまう自分が大嫌いだった。


今まで、誰かが結婚して素直に喜べたことがなかった。そんな私が、推しである水樹奈々が結婚したことを素直に心から祝福出来たのだ。


考えたら当たり前だ。

私の人生を変えた水樹奈々が、たくさんの人を幸せにしてきた水樹奈々が、幸せにならないはずがない。

結婚したから、必ずしも幸せだとは限らない。少なくとも私自身がそうだから。

けれど、水樹奈々には誰よりも幸せになって欲しいと思う。あぁ、また私は水樹奈々に変えられてしまった。

幸せになって欲しいと、素直に思えるようになってしまった。



やっぱり水樹奈々なんだよなぁ。



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