ELLEGARDEN SUMMER PARTY 2023 ZOZOマリンスタジアム公演

2023.08.17 ELLEGARDEN
Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023 in ZOZOマリンスタジアム

「俺達はロックスターじゃないからスタジアム規模のライブはこれが最初で最後」と言っていたのを、5年前のZOZOマリンを外して音漏れ参戦していた時に会場の外から聞いていた。たまらなく悔しくなった。でも、またやってくれた。5年越しのリベンジを果たした奇跡みたいな1日。

会場外に設置された、無料で使える何台ものウォーターサーバー。開演前にアリーナの前の方からどんどん送られてくる未開封の水が入ったペットボトル。開演前に前説で出てくる細美武士。ああ、私がELLEGARDENを好きなのは音楽だけじゃなくて、絶対に熱中症にさせない、絶対に怪我させないってその強い意思、1人残らず笑顔にさせるってその固い決意なんだなって改めて認識させられた。細美さんが前説で言っていた「3万人5000人のうち3万人4999人が良くても1人が怪我したら俺たちの負け」っていう言葉は実に細美さんらしくて、ライブがより楽しくなるにはどうしたら良いかって開演前にモニターに映し出されたGENちゃんとTOSHI-LOWさんのインタビューも、細美さんへの、ELLEGARDENへの、愛を感じられた。
FM802の大抜さんのオープニングMCの中のELLEGARDENを見たくても長年見れなかった人に対する言葉で「5年前、チケットが外れて会場の外で聴いていた君も」というところでライブ開演前から大泣きしちゃった笑

ライブの1曲目は予想通り、アラバキやフジロック、ビバラでも1曲目として歌われていたBreathing。
そこからSpace Sonic、Supernovaと5年前の復活ライブでも聴いていたキラーチューンの連続。中でもSupernovaはやっぱり特別で、ELLEGARDENの未来を感じる曲だし、何より復活ライブの1曲目。ELLEGARDENの中にある光みたいなものをこの曲の時により一層感じる。
このツアーのタイトルにもなっている、『Get it Get it Go!』の歌詞が含まれているチーズケーキ・ファクトリーはライブ序盤で意外に早くてびっくり。本編最後、もしくはアンコールでやると思ってた。細美さんのマイクパスから幕張のみんなで歌う『ティダ・ラ・バダ』という魔法の呪文の大熱唱。この曲について細美さんは以前ラジオで「ありふれた日常の中にいつも俺の好きなものがあるんだなと思わされる曲」と語っていたけれど、『俺の好きなもの』がこのライブという空間であったら良いなという想い。新譜の曲だからまだ初披露(去年のレディクレ)から1年も経っていないんだけどこれだけみんなに愛される曲になっている。新譜なんて前回のアルバムから16年も経っているのにこんなに昔の曲と並んでも馴染んでいるなんて。サラッと凄いことしてますからね。
Mountain Topもすごい良かった。オープニングMCで大抜さんが「細美さんはこの曲を初めに皆さんに聴かせたかった」と、去年の9月9日に行われた四節棍(これもまた全ての先行で外れたので行けなかったけど)で初披露された事を振り返っていて、この曲に対する細美さんやメンバーの想いがラジオで沢山語られていたのを思い出してこみ上げてくるものがあった。

その後にMC。新譜を発表した1年半前から「ELLEGARDENは現役バンドになった」といった趣旨の話をよくメンバーはしていたんだけれど、ZOZOマリンスタジアムではその言葉の意味がようやくわかった気がした。というのも、なんだか今まではエルレを見る度に光の周りのふわふわしていた部分を見ていた気がして、でも今は核の部分をしっかり見れている気がする。
そしてやっぱり印象的なのはギターのウブさんの「ELLEGARDENはもう誰にも負けない」という言葉。前述した『現役バンド』という言葉に加え、私はエルレは現実的なバンドになっているんじゃないかと思う。どこかに行ってしまうような儚さみたいなのは良い意味で無くて、安心できる。いつも傍にいてくれる。だからELLEGARDENは誰にも負けない。
勝手ながらそう自分なりに解釈をしている中で次は細美さんの言葉。
「5年前にやった時はZOZOマリンスタジアムすげえでかいと思ってたけれど意外とそんな事ない。いや、そんな事はどうだっていい。みんなででかい花火を打ち上げよう」

MCが終わって間髪入れずにFire Crackerのイントロ。フェスで1曲目に歌われる事が多いこの曲。かっこよさに更に磨きがかかっていて、ライブで育てられたんだなと思った。
続くStereomanのイントロではかなり叫んだ。ファン人気の高い曲なんじゃないかな?後ろのスクリーンに映る、ステレオの映像と共に特徴的なギターのリフが鳴り響く。エルレは現実的なバンドになったって書いたけど、でもやっぱり夢みたいだった。
風の日はCMソングになってから広くみんなに知られ渡る曲になったんじゃないかと思う。だから盛り上がりが凄まじい。ギターソロの前に細美さんがウブさんに「いってこい!」と、かける言葉がいつも好き。
ライブ特有のアレンジを加えたイントロですぐに次に何の曲が来るかわかってしまう、The Autumn Song。
毎年9月9日になる度に聴き、冒頭の歌詞を思い浮かべてしまうNo.13。5年前の復活ライブ、新木場公演では台風13号が来てたんだよな、と5年前を懐かしく思う。後ろのスクリーンで、エルレのマークであるスカルのロゴの旗を持つ船が海を泳ぐ映像。エルレが率いる船で航海している気分になった。
再びエルレのキラーチューン、Missingを経て細美さんのラジオ、Hedgehog Diariesで流れる率の高いPerfect Summer。あくまで予想だけどメンバーもかなり好きな曲なんじゃないかな。ドラムを叩いている時の高橋さんのニッコニコな笑顔が印象的。涼しげな色をした照明と共に暑苦しいアリーナに涼しい風が吹き込んできた気分。いや、実際めちゃくちゃ暑いけど。今頬を伝うのは自分の汗なのか隣の人の汗なのかわからないほど暑いけど。それでも心には涼しい風が舞い込んできた。

「死ぬまでに全員と会っておきたかった」と、細美さんが楽しそうに話すMC。「俺達4人がELLEGARDENです。以後お見知りおきを。」と丁寧に挨拶をした後に、「せっかく会えたのに手ぶらなのもなんだから。今日はくそ暑いんだけどプレゼントを持ってきた。」と、この辺で次の曲を察して頭がパニックになった。「1000個のプレゼントを」と細美さんが言ってから何度聴いたかわからない、そして何度このZOZOマリンスタジアムで、真夏にこの曲を聴きたいと願ったかわからない、本当に本当に本当に聴きたかった曲のイントロが聴こえてきた。涙が溢れて止まらなかった。サンタクロース。やっぱりELLEGARDENには敵わない。
サンタクロースの余韻も冷めやらぬ間にSliding Doorの歌い出し。細美さんが以前ラジオで話していた、「SUMMER PARTYはELLEGARDENのこの2年前くらい続いた新しいアルバムの発売の旅のゴールであり、ELLEGARDENの25周年のお祝いだからLost Songsもやろうと思っている」といった趣旨の話を思い出した。これが細美さんの選んだLost Songか。曲の終盤のウブさんの長いギターソロも何度イヤホンの中で聴いたかわからない。その音楽を目の当たりにしている事実を受け入れるのに少し時間がかかった。
続いてのLost Songsは何が来るのか、心待ちにしていると聴き馴染みのあるギターリフの音。Salamander。Lost Songsでなかったけれどフロアの盛り上がりが凄まじかった。私が初めてELLEGARDENを生で見た時、そのライブの1曲目がSalamanderだったなぁとぼんやり思い出した。実はこれより強烈な思い出なのが5年前に音漏れ参戦をした時、隣にいた3~4歳くらいの男の子がライブ中にSalamanderと連呼していたこと。お父さんに抱っこされてELLEGARDENを聴いていた少年は今は小学生くらいになってるのかな、なんて思いながら。

細美さんのMC。「台風が2個来てるみたいだけど…昨日まで雨が降っていたのに今日は東京は32℃の晴れ。カミさんに昨日言われたんだ。"あんた達は神様に守られてるんだね"って。でも寝る前に考えたんだけど…守られてるのは俺達じゃなくてお前達なんだよな。だからここから先は自分の信じた道を真っ直ぐ大股で石橋を踏み抜いて歩いて行ってくれ。」
細美さんの言葉に湧き上がるフロア。あ、次の曲、あれが来るかもしれない。なぜか空気感でそう悟った。ELLEGARDENを好きになったきっかけの大事な大事な1曲。やっぱり来た。ジターバグ。

『いつだって君の声がこの暗闇を切り裂いてくれてる』

何度生で聴いてもこの曲の時にはもう気が付いたら体が動いていて、飛び出してしまう。揉みくちゃになるモッシュピットに飛び出してサビのタイミングで思いっきりジャンプして。これだ。5年前めちゃくちゃやりたかったやつ。
ジターバグが終わってヘトヘトになった体を休ませてくれない。思い出を記憶に変えられる曲、虹。この汗も、涙も、上から降ってくる水も、全部を記憶する。
ジターバグ→虹 と来て、ELLEGARDENの中でおそらく1番のキラーチューン、スターフィッシュ。ELLEGARDENを見るのは4回目だけど、実は生で聴けるのはこの日が初。細かい話、サビの『何を話そうとか』の"おー"って伸ばす部分、みんなわかって歌っていてとても楽しかった。さすが聴き込んでいるなと思った。

新譜から、瓶に入れた手紙。新譜の完成度って本当に高くて、細美さんは以前「暇が出来たらすぐにThe End of Yesterdayのアルバムを聴いている。40分で全部聴ける。」とラジオで言っていたんだけど私も同じで。だけど、英詞が好きだから実は日本詞の曲はあまり好んで聴いていなくて、瓶に入れた手紙も他の曲と比べたら聴いた回数は少ないかもしれない。だけど生で聴いたらあまりにも良すぎて、そんな過去を後悔した。この曲についてウブさんはラジオで「エルレの中でも特にすごくシンプルな曲」と語っていて、シンプルの中にあるかっこよさに心を奪われた。また、細美さんは「過去の自分と今の自分を両面から書いた曲。1番は今の自分、2番は16の頃にガレージでバイクをいじっていた自分」と語っていて、そんな制作過程も思い浮かべながら聴いていた。

細美さんのパスから細美さんと雄一さんの掛け合いのMC。
「雄一、お前はこれからどうしたいんだ?」
「僕は皆さんの決定に従うだけです」
「うるせえお前がどうしたいのか訊いてんだよ」「じゃあ、またやりましょう」
「よし、またやろう。死ぬまでにあと1回、ZOZOマリンスタジアムでやろう。」
細美さんと雄一さんだからこそ出来る微笑ましい掛け合い。どうやらまたZOZOマリンでやってくれるらしい。涙が出るほど嬉しい。

「その時までまた俺達ライブハウスでばっかりやるから会えなくなるやつもいると思う。だからその時まで自分の持ち場で頑張って。戦って勝っても負けても構わない。その先でまた会おう。それが今の…願い。」

細美さんの願いを聞いた後、何度YouTubeでそのライブ映像を見たかわからない、あの曲。Make A Wish。隣の男の人が持ち上げてくれって前の男の人に頼んでリフトしてもらっていて、ああ、ずっと見ていた映像だなんて思わず微笑んでしまって。いや、笑いながら泣いていたのかもしれない。細美さんが下のパートをハモってくれてそれにちょっと釣られながらみんなで大熱唱。ウブさん、高橋さんの泣きそうな顔がよく見えた。そしてサビ前の細美さんの満面の笑み。からのグッチャグチャになるモッシュ。いる。私は本当にこの中にいる。映像じゃなくて本当に中にいるんだって感慨深くなっちゃった。

「SUMMER PARTY、これにて終演です!」
細美さんのその眩しい笑顔、言葉から間髪入れずに入ってくるのはStrawberry Margaritaのイントロ。去年の10月30日、バイト終わりにふと開いたスマホの画面に突然新曲の発表としてイントロのみ公開された日の事をよく覚えてる。イントロだけであんなに心を動かされる瞬間はこれまで無かった。あれからずっとずっと大好きな曲。
Strawberry Margaritaを歌い上げ、ニコニコでステージから去る4人。決して冷める事の無い会場の熱気。それからしばらくして再びステージに立つ4人。

「ロスのレコーディングの時にお世話になった人が今日来ていて、その感謝を込めて歌う」
Goodbye Los Angels。アルバムをフラゲしてこの曲を初めて聴いた時、歌詞カードを見ながら家のCDプレイヤーで聴いていて歌い出しの『Well,I was drunk』で好みの曲すぎて思わずガッツポーズした事を未だに鮮明に覚えている。だからこの時もまたガッツポーズをしてしまった。でかいモニターを見ながら4人が演奏している姿をひたすら目に焼き付けていた。

「この曲を歌いたい気分」と、細美さんの前置きにより演奏されたのは高架線。めちゃくちゃ好きな曲。静かなAメロ、Bメロから爆発するサビ。ずっとずっと優しい歌詞。ほんの少し前に手に入れた未来は、手離したくなんてないけれど。
「もう1曲だけ歌っていい?」と、これまたずっとイヤホンの中で聴いていた、キャッチーなメロディが聴こえてくる。ダニエルを探す。Pizza man。勝手にチーズケーキ・ファクトリーと似ているものを感じていてPizza manはもうやらないんじゃないかと思っていたからすごい嬉しかった。『tu turu…』と、みんなで大合唱。2番では『Pepperoni Quattro!』とおそらくこの日1番の声で叫んでいた。
Pizza manを演奏し終えた4人は再びステージから去る。アンコールが終わっているのに拍手と歓声と、メンバーを呼ぶ声が止まらないフロア。メンバー4人が3度目の登場。

「俺たち活動休止して、まあ今はすげえ仲良いんだけど。学んだこと、特に俺にとっての学びが1つあった。人は変われる。」
「いつかこんな歌を歌わなくてもいい日が来るように戦おう」

金星。やっぱりこの曲で〆だよなぁなんて思いながら、細美さんがMCで言ったその言葉にボロボロに泣きながら、噛み締めるように聴いていた。
音が鳴り止んで、止まらぬ拍手と歓声。マイク越しではなく肉声で「ありがとうございました!」と笑顔で叫ぶ細美さん。私はただずっとありがとうと叫んでいた。もちろん今日の事もそうだし、これまでELLEGARDENに救われた全ての過去に対して。

メンバーがステージから去った後、Mountain Topが流れてスクリーンには映画のエンドロールのようにELLEGARDENに関わった人の名前が全て流れていた。(北海道の振替公演はまだ残っているんだけれど)本当にこの長い旅が終わっちゃったんだなぁと寂しくなる。
寂しくなるし、まだまだ聴きたい曲は沢山あるし、足りなかったけれどその続きはまたきっとある。だからその未来に向けて生きていられる。
生きてて良かった、なんてそんなに何度も言う言葉ではないと思うけれどそれでも何度でも言いたい、生きてて本当に良かった。


6年前、CDショップでたまたま流れていた事を機に知って頭を殴られたかのような衝撃になった音楽は、どうやらまだ鳴り止まない。

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