如月新一のしょうせつ道6(裏道)

表では語れなかった物語。
誰も知らなかった物語。
その神秘のベールが剥がれたとき、慌てふためく僕がいる。

僕の才能を誰よりも早く見出した男。
みんなお待ちかねの陸矢くん編です。

陸矢くんとの出会いは、高校一年のときでした。誰も面倒臭がらなくてやらないなら俺がやるわ、とノリで委員長になってくれた全然委員長じゃないタイプの、新世代委員長でした。担任も困惑していました。

陸矢くんは音楽部で、バンドを組んでいて、美声でギターも弾けて、ウルトラ格好いいやつでした。俺もノリで副委員になりました。土方歳三も副長だし、俺は新撰組が好きなんです。

陸矢くんはノートにRADWIMPSの歌詞を書きまくっていました。
誰よりも早くRADWIMPSに気づいていた男です。
やっと時代が陸矢くんに追いつきました。

少し話がずれますが、高校に入ると敵が増えました。
僕は友達が多いので、どのクラスにも顔パスで入れました。でも、それを気に入らない奴もいたのです。前にも書いたけど、男子校は「暴力禁止即退学」なので、お互いが「お前のことを大嫌いだぜ」オーラ全開で威圧します。
なので、クラスの行き来はシビアで、常に微妙な均衡で保たれていました。

話を戻します。
陸矢くんとは2年でクラスが別れてしまったのですが、親交は続きました。
敵も多かったのですが僕は味方も多く、陸矢くんは他所のクラスなのに空気を読まずにうちの教室に来て、「ハッピーバースデー」を弾き語り、レッドツェッペリンのTシャツを僕にくれたりしました。僕はレッドツェッペリンが大好きなのです。

ある日、陸矢くんと放課後の教室でだらだらしていたら、「曲作ったんだけど、歌詞が思い浮かばない。如月さん書いてよ」と言われました。携帯電話で録音し、電車で家でずっと聴き、次の日に歌詞を渡しました。

「ぱない。如月さん、才能あるわ」

陸矢くんのバンドの代表曲、「キサセンス」の誕生です。(曲名の意味は、「如月のセンスだから」だそうです。)

俺は陸矢くんに「才能あるわ」と言われて、あっ俺って言葉の才能があるんだな、と自信を持ちました。今も揺らいでいません。誰がなんと言おうと、陸矢くんが「才能あるわ」と言ってくれたんだから、俺には言葉の才能があるんです。

最後に、高校の卒業文集を大公開しようと思います。
小説家の卒業文集なんて激レアでは!? 内容は当然、陸矢くんとの思い出です。

『余談ではあるが、「国際通りで一番安い店」という看板の店を三軒は見た』

 思い出と言えば沖縄修学旅行の国際通りだ。国際通りで私は偶然出会った他クラスの友と行動を共にした。彼は私の心許せる数少ない友だ。確認はしていないが、 ツーと言えばカーと返って来る筈だ。
 土産物屋を見て回り、色々と買い込み、その度に試食のちんすこうを食い歩き、 彼の巧みな話術によって紅芋タルトの試食もできた。
  昼時になり、試食だけでは足りずに腹を空かした我々は、沖縄料理の店を探すことにした。が、すぐに自分達で探すことを諦め、近くの酒屋の店員に「美味しくて安い店 はないですか?」と訊ねた。
 店員は怠慢で強欲な我々に優しく対応して下さり、沖縄そばの店を教えてくれた。
 感謝の気持ちを胸に、意気揚々と教わった店に向かう。
 が、道中でお姉さんからラーメン屋の割引クーポン付きティッシュを受け取った。
  我々は足を止めて苦悩した。
 沖縄で沖縄そばよりラーメンを食べるのは 愚の骨頂ではないか? と。
 しかし、思い出した。我々は沖縄そばを何日目かの昼食で既に食べていたのだ。

「あれって美味かったか?」 の一言で協議は終了した。

 記憶の中のそれは、ぼそぼそしていたのだ。

 あの時食べたラーメンは今まで食べた中で一番美味かった。
 きっと友と 食べているから美味かったのだろう。ラーメンだけではない。彼と一緒に 回っていなければ楽しくなかった筈だ。私は一日の感謝の気持ちを告げる 代わりに、既に食べ終わって待っている彼の為に速く麺をすすった。
  先日、成人の日に沖縄の新成人が国際通りで騒いでいるのをテレビで見た。きっとこれからも成人の日の中継で国際通りが映し出される度に、私はあの日の友とラーメンを思い出すのだろう。 いつかまた、友と沖縄に行き、ラーメンを食べよう。二十歳を超えてい れば泡盛も飲もう。
 不謹慎にも、沖縄の新成人が毎年騒ぐことを期待している自分がいる。

(了)

次の裏道では僕の人生で出会った最強のクレイジーフレンズ、斎藤くん編を書き、高校生活を〆たいと思います。
遊びに行こうぜ、と電話をしたら、サバゲー用の迷彩服で現れる男です。
なぜか? ウケると思ったから。彼はそういう男です。

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ではではまたまた

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如月新一

如月新一のしょうせつ道

小説家如月新一が、小説家になるまでのエッセイです。 脇道多め! ワイルドサイドを行け!
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