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コケ倒しオブ ザ イヤー 僕たちのM&A

コケ倒しオブ ザ イヤー
僕たちのM&A

プロローグ、目次、今回が本編第5話になり7回目のnote投稿になりますが前号から2か月も開いてしまいました。

これまでも赤裸々な僕の倒産1000本ノック「グエー」な経験を書いてきましたが今回の「僕たちのM&A」は、今まで思い出すことさえも意識的に  スルーしてたくらい「イヤーな経験」でした🥵

どうですか皆さん 脳によぎることも拒否したくなる経験ありますか?

約束の支払いができないとか、倒産しそうとか、債権者さん達に怒られるとか、来週も1200万円足りないとか 10年近くエンドレスに続くこの状況は 生気が奪われるほどシンドイ時もあるけど僕の場合は 大体よく寝たら忘れます🤪

んが、でもこれまでの27年間の起業人生の中で何が一番辛かったか?

間髪入れず6年前に行ったM&Aの事が頭によぎります。

これまでの倒産千本ノックのシンドイ気持ちを「グエエー」で表現してきましたがこの時の気持ちは本当に形容するのが難しいぐらいの気持ちでした。

なんて言ったらいいのか?
頭も心も灰色になってだんだん固まっていくような😱

基本 天然ポジティブで物事を「前向きにとらえる力 」師範代(自称)
な僕もこの時は相当やられました。

本当に辛いことって「信じられる人」が誰もいない状態ってことだって身に沁みてわかりました。

M&A直後の歓喜から一転 その後の、四面楚歌、智謀策謀、裏切り、反社会的、悪徳ファンド介入、命からがらの 売却劇

本当にノンフィクションのハゲタカ企業小説に出て来そうな面々が
現れました😎

チョッと長めな「僕たちのM&A」若干ややこしいので以下の会社間の流れの時系列を一旦頭で整理してから恐怖?の物語お楽しみください。――――――――――――――――――――――――――――――――――ハンジロウ(新品と古着ミックスのアパレルチェーン)↓ 売却大手縫製会社G社 HD(グループ会社H社がハンジロウ買収)   ↓ (売却)ドンドンアップ社(古着リサイクルチェーン 僕の会社)   ↓ (ハンジロウ買収 後 売却)長崎出版 (コビト図鑑で一時一世風靡 ハンジロウ買収後2か月で倒産)――――――――――――――――――――――――――――――――――

ここまでたった3年間の出来事

ハンジロウ、ドンドンダウンが一緒に共倒れする寸前にハンジロウ売却に成功

フーと一息ついたのもつかの間 その後 売却先が     1か月後には給料の遅配、3か月後に倒産 🥶

最悪の方向へ転がり続けていくシーンをイヤイヤ思い出しながら
重~い筆を 執ろうと思います😓

「カリスマ アパレル古着MIXチェーン ハンジローとの出会い」

当時 7年前 ドンドンダウンオンウエンズデイは、水曜日に値段が
ドンドンダウンするという「へんてこな古着屋」という事でたくさん
メディアにも取り上げて頂き、店舗数も70近くまで行きました。

ベンチャーキャピタルさん、事業会社さん、個人投資家さんからも10億円近くの投資も頂いていたし、同業他社の動きも気になるしとにかくスケール する事、店舗数を増やすことで知名度を上げてブランディングしていくことに全力を注いでいました。

正直、僕自身あせっていたことも否めません。
(そんなつもりは、なかったもののやっぱり今振り返るとチョッと調子に ノッテた感も。。。)

やっぱり店舗ビジネスは、地域ドミナントで出店しエリア、エリアでしっかりと認知をとりブランドを盤石なものにしていく、そしてもう一方でフラッグシップストアを都市部の一等地に構えチェーン全体の知名度を上げて行くというのが定石。

ユニクロなんかもそうだったけどフラッグショップ出店やその他の要因で
急にティップする場面が来る。

当時のドンドンダウンは、成長はしていたもの明確なティッピングポイントとの出会いが来ておらずモヤモヤしていました。

そんな時に一本の電話が来ました。
元お取引銀行でお世話になった融資渉外課(たしか)のSさんからでした。

当時Sさんは銀行を退職されハンジロウと言う一時はアパレル古着MIXの御三家と言われ若者に絶大な人気を誇ったアパレルチェーンの渉外担当役員をされていました。

Sさんから
「チョッとご相談したいことがあるんですが飲みませんか?」   
とのお誘い。

これまで一度も食事もご一緒したことがなかったので
「ん?なんだろう?」とも思いましたが元うちの会社の融資担当だし、  当然、興味のあるアパレル古着屋のハンジロウにいらっしゃるので
「ハイ是非!」と即答しました。

ここで「ハンジロー」の説明を少々
1990年初頭からアメリカのビンテージ古着が日本中で爆発的に流行し僕らも ハンジロウも そのブームに乗って成長した会社でした。

ビンテージブームが去った後も幸いなことに古着ではないもののアメカジ ブームが続き業態は若干変化して行きつつもそれこそドンドン出店を重ねて行きました。

「ハンジロー」なんとも個性的でファッションビジネスの店舗名としては だいぶ変わっていますが(うちのドンドンダウンも相当ですが)
2006年当時(だいたい)は全国に30店舗近くあり、200坪以上の大箱でその ほとんどを東京原宿を初め大阪心斎橋、京都、博多、札幌、仙台等の 一等地で  展開をしていました。

創業社長さんは卓越したセンスを持った方で各お店それぞれ素晴らしい内装で本当にカッコよかった。

昔の原宿のお店なんかは、ワンフロア200坪の二層を貸切店内にビオトープを思わせる自然の小川が流れていたりリスが飼われていて壁際にそうように 自然に仕切られたゲージの中を走り回っていました。

それだけ聞くと動物園のようですが天井にはたくさんのアンティークの  シャンデリアがハンギングしてあり店内には世界中から集められたビンテージの雑貨やアンティークが所狭しとセンス良く配置されていました。

そしてハンジロウのお店にはたくさんの個性的な若者達がお客さんに伝わるほどの誇りをもって頑張っていました。

僕の拙い文章力では中々この世界観を伝わるように表現することは難しいのですがとにかく店内に入ると必ずその世界観に驚かされ、忘れられない印象を 残す力のある素敵なお店でした。

2006年当時の僕らはというとまだドンドンダウンという業態は、始まっておらず「インディアンリバーロード」という新品と古着のミックスの業態を駅前中心型で20坪弱のお店を複数店経営しており「ハンジロー」とは、店舗面積も数もビジネスの規模もかけ離れた会社でした。

当然その頃の「ハンジロウ」は憧れの会社で、もちろん「そのうちもっと面白いことをしてやるぞ」って気持ちは秘めながらも当時その憧れの会社を僕らドンドンアップが6年後にM&Aすることになるとは夢にも思いませんでした😮

さて元うちの会社の取引先行の融資渉外担当で当時ハンジローの役員のSさんとの初めての会食ですが、岩手県盛岡市のある個室の懐石料理屋さんでした。

乾杯して少し世間話をして間もなくSさんが
「岡本さんハンジローの親会社が売却を検討してるんだけど興味ある? 今何社か検討しているところはあるんだけどどうですか?」っと

今でこそだいぶ注意しているもののとにかく興味があると「即決」をしてしまう癖のあった僕は、買収の額も聞かずに

「Sさん絶対に僕にやらせてください。ドンドンとハンジロウが組んだら最高です!」なんて言っていました🙏

この時点でビジネスマンとしては僕の負けですよね?

最初から「欲しいオーラ」満々😵

ただこの時僕は、ハンジロウの状況を全く知らずSさんからここ数年の中で ハンジロウに何があったか色々と教えてもらいました。

創業社長さんは、抜群のセンスと旺盛な拡大意欲があったものの2008年9月のリーマンショック以降、金融機関からの出店資金の調達がままならなくなり、 結果的に運転資金まで回らなくなりハンジロウを 大手の縫製メーカーG社に 売却されていました。

買収した大手縫製メーカーG社の意図としては、ハンジロウの立地とブランド力を引き継ぎ 自社の商品を店舗に直接納品すれば利幅も確保しやすいってところ

でも同じ洋服に携わる仕事でもメーカーと小売りは実は全く似て非なるもの 結果的に買収から2年余りでハンジロウを手放すこととなったようでした。

その日から僕はハンジロウのM&Aをいかに達成するかだけを考えて動きました。(この夢を膨らませてた時だけが絶頂期)😍

当初6億円やら5億円やらという買収金額がスタートでしたがそこはお互いにビジネスなのでブラフも正直あったと思います。
でも、当時売上高12億円程度の会社でなおかつ万年「グエエー」な会社の ドンドンアップに当然そんな資金はあるわけはなく
っと言うか6億円がたとえ1億円だったとしてもムリーって感じ
にも関わらず先方の縫製会社G社さんには
「絶対にお金用意するのでよそに売らないでください」
っと懇願する始末🙏

そっからたくさんの投資家さんを回って「いかにハンジロウのM&Aが今後のドンドンアップにとって大きなシナジーになるのか」を話しまくり結果 数人の方に出資を決めて頂きました。
(ありがとうございます。そして結果的に本当に申し訳ありません)

せっかちな僕にとってもこれは人生初の大きな買い物なので焦る気持ちを抑えて自分なりにはかなり慎重に1年間をかけて、先方の縫製会社G社さんと条件の 交渉と財務デューデリを行い万全な体制で臨んだはずが。。。。

この期間中もデューデリだけじゃなくM&Aの専門家に相談したりありとあらゆる関連書籍も手当り次第、実務書だけでなく企業買収の小説もたくさん読みました。

本来は、買収までの知識や買収後の会社運営のイロハを勉強していたつもりでしたが後々一番役に立ったのは、「ブラックな登場人物」の 生態を事前に知ることができた事でした😎

後記しますが関連する本をたくさん読んでいたことは、本当に
「気持ち的に」大きな味方になってくれました💪🏼

「タラレバ?ハンジロウとドンドンダウンの結婚で描いていた未来」

一時期は70億近くの売上高までいったハンジロウでしたが僕らのところに M&Aの話が来たころには22億円ほどの売上になっていました。

内部にいたわけではないので正確なことは、わかりませんが長年古着や  ファッションにどっぷり浸かってきた僕には売上低迷の原因が
見えていたつもりでした。

一番大きな原因はカリスマ創業社長がいなかったこと。

僕は一度しかお会いしたことがないので創業社長さんの人と也はあまりわからないのですがとにかく内装のセンスや世界観が素晴らしく、また自社ブランドのデザインを会社売却直前までやっていらしたという事だったので本当にファッションに心血を注ぎこんでいた方だと確信しています🤞🏾

ファッションビジネスにおいて当然 緻密な数値管理はマストなのですが 一方で理論よりも感性が優先される傾向が強いのも事実です。

決定的な事情は分かりませんが僕が聞いている範囲では、リーマンショック後に中々金融機関からの融資が取り付けることができず、またやはり創業 社長さんの想いが強すぎることもあって
(僕にもこの傾向は往々にしてありますが。。)

新店舗の内装の投資額が莫大でお店が軌道に乗り収益化して初期投資の回収にかかる期間が長すぎたことも仇になって結果的に地方の大手縫製メーカーに 売却せざるを得なくなったようでした。

僕自身は、ハンジロウ創業から成長そして売却後も一同業者として憧れだったハンジロウをずっとモニタリングしていましたがやはり創業社長さんがいなくなったハンジロウは見る見るうちに精彩を欠いていきました。

ハンジロウをM&Aした縫製メーカーG社さんは、非常に優良な大企業でしたが取扱い商材がやはりハンジロウのこれまで築いてきたブランドイメージとは若干のずれがあり、なおかつ店内の商材のバラエティーが確保できておらず失礼ながら個性的で宝箱のようなハンジロウのお店が量販店のような店舗にだんだん近づきつつありました😢

そして店舗のスタッフや昔からいる店長さん達はそれに気づいていました
っが そこは、親会社の意向なのでしょうがない。
(アッこれは批判ではなく親会社さんはもちろん自社の商品を優先的に入れる事を目的にM&Aを行ったのですから)

これが僕には大きなチャンスに見えたのです。

200坪以上ある大きな店舗は、バラエティーに富んだ商品がたくさんあるうちは本当に魅力的でした。

しかしM&A後は、ワンラックに同じ服が大量にかけてあり、商品の 型数ではなく数だけで売場を無理やり埋めている状態でした😢

もっとワンアイテムの陳列量を絞り込み、かつてのような より業態に即した商品を納品していき店頭面積は半分にしたほうが魅力が上がる。
  
そして空いた半分にドンドンダウンを別の店舗として併設すれば業態に  対する家賃比率も下がりお互いに収益化しやすいと確信していました。

要するに居ぬきでドンドンダウンオンウエンズデイをハンジロウ全店舗に 併設できると考えたのです。

ハンジロウとドンドンアップの一つの共通点でもありますが自社で全ての 店舗の内装工事を行っていて内装工事部を自社内に持っていたのでそこん所はお手の物。

前創業社長が潤沢な費用をかけて作った素敵な空間にアレンジを加えることによって通常出店する十分の一ぐらいの費用でいっぺんにドンドンダウンをたくさん出店できるってこんな素晴らしいことない。

ハンジロウを丸ごとM&Aすることによってドンドンダウンが十数店舗一気に大都市の一等地に保証金もなしに出店できる。

こんなこと中々ないですよね?

例え資金が潤沢にあったとしても都市部の一等地の物件を抑えるにはとてつもない時間も労力もかかる。不動産屋さんやディベロッパーさんとの長期にわたるやりとりや折衝、契約までたどり着くのは至難の業です。

そして大事なのはハンジロウとドンドンダウンの結婚の相性の良さ

売上に対しての家賃比率が高く赤字の店舗が多かったハンジロウも面積を 半分にして売上がさほど変わらなければ黒字化もしやすいし、本来の魅力のある店舗に戻せる。

また、ドンドンダウンは、平日の集客が圧倒的に強い。
毎週水曜日は「値段がドンドンダウン」で行列ができるし、実は火曜日、 木曜日は、「お洋服買取金額ドンドンアップ 買取金額1.5 倍デイ」で買取の行列ができるぐらい。

要するにもしお客さんが買ってくれなかったとしても「平日に常にお客さんがたくさん来る」仕組みがある。

しかも「買取査定」の待ち時間は、ハンジロウ、ドンドンダウンの店内を お客さんが回遊してくれるし、「買取査定」が終了してお客さんはお小遣いを手にするのだから買ってもらえるチャンスも増える。

さらには、ハンジロウの既存のお客さんのお洋服を買い取ることでお客さんのタンスが空になり さらなる購買につながるなんてホントに一石五鳥

ハンジロウM&Aのメリットを整理すると以下5つに集約されます。

*ドンドンダウン13億円の売上に22億円のハンジロウの売上を足すことによって上場のタイミングを加速させる。

*資産を合算させることでBSの見栄えが圧倒的によくなる

*保証金や内装費用をかけることなく大都市の一等地に大量出店

*潤沢な予算で作られた店舗内装をカスタマイズして流用できる

*ハンジロウとドンドンダウンの仕組みのシナジーでお互いの収益アップを図る。

メリット言い出せばここに書ききれない程あってこんな調子でズート妄想しまくりでした🤫

ハンジロウとドンドンダウンの結婚を夢見ていた時は本当にワクワクしてチョー明るい未来以外全く見えていませんでした🤩

だって話だけ聞くとチョーうまく行きそうな気がしませんか?

とっ ところが。。。

「ハンジロウとドンドンダウンのハネムーンからの成田離婚?」

2012年12月1日 ハンジロウとドンドンアップは、結婚しました。
プロポーズして1年をかけてお見合いをしてようやく結婚できた。

何度も何度もハンジローのオーナー会社G社に訪問して経営陣に僕の熱い思いを伝え、そしてもう一方で潤沢な資金が用意できないドンドンアップ社なのでそれはもう泣きつく勢いで必死に買収金額の交渉をしました。

オーナー会社の縫製メーカーG社さんは売上高●百億円で事実上債務無しの チョー優良企業さん。

よほどハンジローの売却を進めたかったのか結局最終的には当初オファーがあった株式譲渡代金の数分の一で譲って頂けることになりました。
しかも、ハンジロウの金融機関からの借入金も全て一括返済してもらえるとの破格の条件で

それでもなお予算に間に合わなかったので譲渡代金の分割に応じてもらったり(これが後々最悪な事態に発展するのですが。。。)

当時からカツカツだったドンドンアップは、売上対借入金比率もエグかったのである意味ハンジロウの純資産がくっつくとB/S上だけは、まあまあな 優良企業になりました(一瞬だけ。。。)

とは言えハンジロウのP/Lは、真っ赤っか、その上、ドンドンアップも買収後の店舗リノベーション程度の余剰資金しかなかったので一刻も早い再生計画の 実行が必要でした。(この一か八か感がハンパない)

でも一方でハンジロウのメンバーは、不安でたまらない気持を持っていることもよくわかっていました。

買収をする前から絶対に役員さんも含めて全員の雇用すると決めてましたしとにかくハンジロウのメンバー一人一人を最大限にリスペクトをしようと心に誓っていました🤞🏾

ドンドンアップのメンバー全員には、こんなメッセージを送った。

―――――――――――――――――――――――――――――――
一体になったわけじゃないんだよね
お互いに個性の強い業態だからね

あくまで違う人格どうしの結婚って感じがしっくりかな?

結婚の大事な事、無償の愛、尊敬、感謝、人格の尊重

なーんって難しい感じゃないけど

通常違う会社がくっつくって時は、スゲー揉めることが多い

大抵の人は、変化を嫌がるもんだからね

でもうちは、そこらの凡人会社では、ない
誇り高きスーパーにいい会社だ。

みんなにお願いがある

物事が正しいとか正しくないとかを超えたところで絶対
好きになるって決めてほしい

これからお互いにものすごい変化が始まる
仕事なんて100人百通りのやり方がある
でも、なにがあっても仲良くするって強く決意することが大事

特に諸先輩がたが身をもって見本を示してほしい
汝隣人を愛せよ
あってんのかなこの例え…

大きい愛がすべてだ わかるだろ?

これからハンジロウとドンドンで色々な取り組みをしていくけど
結婚してからの最初の共同作業を原宿ハンジロウ&ドンドンの
コラボレートオープンに

ワクワクする

1+1が2じゃ結婚する意味がナイからね

みんな考えてね
ハンジロウとドンドンの結婚でどんな新しいものが表現
できるのか、どんなシナジー効果がでるのか?

まず、12月23日に原宿店グランドオープン
このオープンによってドンドン全体がぶっ飛ぶぜ

長年組み立てていた構想がやっと実現化する

年末年始いそがしくなるけど今回は、そんなもんじゃないと思う

今までの延長線上で仕事できないぐらいの怒涛の変化だ

でもこれが、今回こそこれがロケット発車大気圏突入の
点火スイッチになるから

力かしてな

そして心かしてな

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こんな感じで自分自身はもちろんのことドンドンダウンのメンバーにもハンジローへのリスペクトを誓ってもらった。

初めて役員さんはじめハンジローの社員全員に集まってもらって今後の説明会を開かせてもらった時の事は、はっきりと覚えています。

ハンジローのメンバーは、やはり先立つ不安のせいか若干緊張気味で当然和気あいあいとしたムードではなかった😞

僕の中では、説明会と言うよりは、「告白」もしくは「無理やり交際を迫る人」

「とりあえず 付き合ってよ 付き合ってみないとわからないでしょ?」
「なんでもいいからワンチャン下さい」
みたいな😍

殺伐とした空気の中で無理やり下手くそなナンパ師のようなお願いをして、その後は、ドンドンダウンの事と言うよりは、ハンジロウのスタッフにハンジロウの事について繰り返し問いかけた

ハンジロウーてなんですか?ハンジローの存在意義って?ハンジローで何をめざすんだろう?ハンジローの大事にすること?

こんな感じでとにかくハンジローメンバーとドンドンダウンメンバーのベクトルが同じ方向に向いて一緒に最高の未来が勝ち取れるように頑張った。

そして 2006年12月1日のM&Aからわずか3週間後にツーフロアーあった 原宿ハンジロウのフラッグシップストアのワンフロアをドンドンダウンに 改装しグランドオープンした。

12月23日 大々的にメディアもお招きして「ハンジロウとドンドンダウンが結婚しました!」というタイトルで「猫ひろしさんの一日店長」や制限時間内に何枚服を重ねて着れるかを競い着れたお洋服は全てプレゼント   「福袋」ならぬ「服ぶくれ」というわけのわからないイベントをやったりして念願だった原宿店のグランドオープンは、テレビで全国方法してもらったことも手伝って大盛況に終わりました。

長年のドンドンダウンみんなの夢だったフラッグシップショップ原宿店がついにオープンし僕はもちろんドンドンダウンのスタッフもマックステンションの絶頂期を噛みしめていました。

しかし、至福の時もつかの間、ここからの1年間で一気に奈落の底まで転げ落ちるとはこの時は夢にも思いませんでした😱

ここからが本番 魑魅魍魎の出現、智謀策謀のオンパレード、四面楚歌、 裏切り、反社会的悪徳ファンド介入、命からがらの売却劇 🥵

今まで思い出すことさえも意識的にスルーしてたくらい
「グエエエエエエーな経験」の始まりです。

「ノンフィクション小説でもホントにこんなことあんの? ヤバい死ぬ― (株)ドンドンアップが乗っ取られそうになってドンドンダウン?」

正式にハンジロウとドンドンアップが結婚してまずは原宿店を併設でグランドオープンしたまでは、スゴイ希望に満ち溢れていたけれどやっぱり  「M&A」って心を一つにすることが一番難しい。

この時の一番のハードルは一刻も早くハンジロウの商品アイテム数に対してデカすぎる店舗を縮小して空いたスペースにドンドンダウンを併設グランドオープンすることでした。

当然、ハンジロウのM&Aの1年間にわたる交渉の中で親会社であるG社さんには、トコトン合併後の事業計画の説明をしてきたのである程度のコンセンサスを得てきたつもりだった。

ただここで一人だけどうしても快く賛成してくれない方がいた😓
親会社G社のグループ会社H社の社長さんだった。

厳密にいうと親会社G社は、ホールディング会社でその子会社であるH社がハンジロウの直接の管理会社だった。

ここで断っておきたいのですがこのnoteの中の特定の登場人物や法人に対して全く誹謗中傷するつもりはなくて独立した法人同士がお互いの利害を調整する中で立場の違いから意見が分かれるのは当然の事なので大人な目で見てくれたら幸いです🙇🏿‍♀️

H社の社長さんのハンジロウに対する愛は大きく、きっと親会社G社の方針の中でやむにやまれぬ事情があって売却せざるを得ないことになったけど本当はH社社長は、買収後、 収益化道半ばの悔しさやご本人の想い入れのある業績回復プランがあったようでどうしても最初から最後までハンジロウとドンドンダウンの店舗併設プランを認めて頂けませんでした😢

そんなこともありM&A後は当然H社社長以外の全ての役員さん管理職の方々をそのままのポジションで引き受けたのですがどーしてもそこは人間、最初から「元社長」の流れを継承しがちでした。
(でもしょうーがないですよね。自社ですら大きい方向転換って難しい)

あっ後もう一つお伝えしたいのは、たいていM&Aの失敗って後から簿外債務が出てきたとか、色々騙されたとか、色々あると思うんですがうちの場合は、全くそんなのではありません。

結局は、僕自身の脇の甘さと、事象の想定不足、一番は、潤沢な予算がないのに売上13億円の会社が22億円の会社を買ってなんとかしようという無謀さゆえってことで全くのノーサイド恨み辛みなしなのでそこんとこはご理解ください😅

ハンジロウの主な経営陣(全員仮名です)は、物流、渉外担当の柴田さん、店舗開発の米山さん、財務、法務の荒木さん、仕入部長の水野さん

資金余力もないしとにかくマックス早でハンジロウの店舗面積縮小とドンドンダウン併設店舗オープンをしないと赤字垂れ流しのハンジロウ店舗を抱え続ける余力はドンドンにはない

でも一方でとにかくハンジロウの経営陣含めメンバーの共感を得られように細心の注意を図って物事を進めようとしていました。

でも、経営会議で議案に出すとハンジロウ経営陣みんなが団結して賛成してくれない。
(っと言うか必死に抵抗してる感もあるぐらい)

僕: 「米山さん●●店を●月●日までに改装してドンドンオープンさせたいんですけどどうですか?」

米山さん: 「イヤ●●店はテナントとの契約が●●なんで実際難しいですね」

僕 「じゃあ●●店はどうですか?」

水野商品部長 「イヤあの店はあれが適正面積なので縮小したら売上が下がります」

僕 「でも一刻も早くしないとうちもそんな余力無いからなんとか●●店の改装しましょうよ」

柴田物流部長 「そんなに急に変えたら●●店のスタッフのモチベーションが下がって辞めてしまいます」

ってこんな感じでとにかくなにも進まない。

僕の心の声 : 「エ~そんなこと言ったって そもそも元から赤字で資金力のある親会社でさえも必死に売却したのに現状の維持じゃなにも変わらないじゃん」😤

イヤこの件に関わらず僕思うんですけど、正しい方法、成功するやり方なんて実はそんなになくて大体何やっても十中八九 いやユニクロの柳井社長ですら 成功するなんて100に一だって言ってるぐらいなんで僕が思いつこうが彼らの方法にしようが実はそんなに変わらないかもしれないけれど僕自身は会社の 存続かかってるからせめて最後の決断はさせてよってだけの事🙏

それでもなお 必死でメンバーを理解して共感してもらおうと思ってとにかくトコトンご飯に誘ったり、飲みに行ったりして距離が縮まるようにがんばっていたらそれなりに本音で話してくれる人も出てきた。

でも逆の立場からしたらまた必死ですよね? 

「こいつハンジロウの何がわかってんだ?」とか
「なんでこんなに金ないのにM&Aとかしてんだ?」とか

僕が同じ立場だったら絶対に「アチャー変なショウもない会社につかまっちゃったよ」って思うもんな。

でもとにかく誠実に誠実に夢を話し、ハンジロウの個々のメンバーにリスペクトを伝え共感してもらうしか方法がなかった。

とにかく相手を信じて、信じて でも一方で自己嫌悪になりつつもどうしても100%は信じきれないもどかしさは残ったけど。

ハンジロウも当時より5年くらい前は急激に拡大していってやっぱり組織体の強化が必要なタイミングで各部門部署のスペシャリストを外部招へいしてきたので実は経営陣も社歴に差があるしプロパーで上がってきた人は、いなかったから一人一人の温度間は当然違う。

うすうす気がついてはいたのだけどある日、経営陣の一人が「●●サンH社の 社長と飲んで仕入の事や店舗縮小について釘刺されてたみたいですよ」

僕 「アチャーやっぱり黒幕はハンジロウ ガチLOVEの元社長なのねー」
  「マー僕が逆でも同じかもしれないですけど。。」

本来は、株式を100%取得したのだから元の会社は全く関係ないってのは 当然なことなのですが前記したとおり実は、元の親会社の株式やら後で出てきた莫大な売掛金やらを分割で支払ったり、期限の延長を申し入れたりしていた関係もあってH社の社長の意見も無下にすることは出来ませんでした。

逆にH社の社長の機嫌を損ねると支払い条件を破棄して一括返済を求められる可能性大だったので中々思ったように僕の再生計画を進めることができませんでした😖

そうこうしているうちに元々再建計画でプールしていたお金もハンジロウの 赤字やチョッとここには書けない大人の事情やらによる月々のキャッシュアウトで底をつきドンドンアップで補てんをするのも限界を迎えようとしていました。

マーそもそもの僕の計画がポジティブすぎていて合併から再建まで3か月もたせるくらいの資金余力で勝負してるから計画が数か月ずれたらソリャーアウト
僕の脇の甘さが露呈した時でした。

この頃からハンジロウ社ではますます不穏な空気が漂ってきました。

M&Aからすでに3か月以上、焦りが募るばかりで全くの変化や成果を出せていません。

毎週の会議で僕が求めていたのは、たった三つの事、本社事務所と物流倉庫の統合、ハンジロウ店舗面積縮小とドンドンダウンの併設オープン、そして子会社化ではなく合併だけ。

この三つを行うだけで大きな経費削減が自動的にできるという事は外部から見ても想像に難くないと思いませんか?

ただ、とにかくハンジロウ経営陣はのらりくらりで全く前に進まない

しょうがないんですけどねー
「やっぱり人間は変化が嫌い」

しかも、実は経営陣だけでなく事務所のスタッフ、物流倉庫のスタッフもほとんどの人ができれば新しいとこに行きたくない。

慣れ親しんだ場所、居住地からの通勤経路の変更、ドンドンアップの本社 メンバーのところに後からジョインする事への心理的障壁、等々行きたくない理由は無数にある。

現場のメンバーからも

「●●部長 絶対にあそこの倉庫に行くの嫌ですからね。大体あの倉庫に行ったらオペレーションが3週間止まってしまいますよ。掻き入れ時に売上が下がっても僕は責任取れませんよ!」

なーんて言われようもんなら
「大丈夫だ●●君、俺が必ず阻止するからドンドンの奴らの勝手にはさせん」

なんて言ってることは普通に想像できますよね?

あちこちでそんな感じの状態で段々ピリピリムードになっていた時
「一つの事件」が起きた。

僕自身は、ハンジロウの経営陣に常に尊敬の念をもって接していたつもりではあったけどあまりに物事が進まないので内心はやっぱり焦りと若干の苛立ちが募っていた。

M&A後は、なるべく占領的な雰囲気にならないようにドンドンアップ側からは、現場も含めて2人の役員しか入れなかったけれど、やっぱりドンドンアップ側からの役員には気心知れているのもあって少し口調もきつくなって焦りからプレッシャーを与えていたかもしれません。

ある日、ドンドンアップの専務でハンジロウの役員も兼務していた石川から電話が来ました。

「岡本さんスゴイヤバいことになってるんですけど。蒲田さんが物流センターを強硬的に統合しようとしたらハンジロウの物流役員の柴田さんに胸倉つかまれて怒鳴り散らされたらしいんですよ。どうします?」

僕からしたら「エ~やっちゃたの~ついに エ~どうするって言われたってエッどうする?」みたいな感じでした😱

ハンジロウの物流担当役員の柴田さんとドンドンアップから役員としてハンジロウに入れた蒲田さん 二人ともおじさん(失礼)だけど能力も経験値も高い。だけどなにせバブリーな時にバリバリ働いていた人達は、意識もプライドも高い人が多い(偏見?)

そして、そもそも両社の中でも最も年上で以前は上場企業の役員も歴任していたドンドンアップ側の蒲田さん 実は人は悪くないんだけどドヤ顔感は昔からすごくて😅
(でも蒲田さんを昔から知ってる人たちの中ではすでにそれがウケるキャラになっていた)

本人を深く知らない人からしたら「イヤーこの人きついわー」って言われがちな蒲田さんが僕のプレッシャーを感じたせいか、さらなるドヤ顔でまたまた仕事人で熱い性格の柴田さんに対して能書きを垂れるもんだから 僕は「ソリャーそうなるよねー ウァーこれでまたハンジロウとドンドンアップの亀裂の溝が深くなったーどうしよ?」って感じで頭抱えていました。

リストラクチャリングも全く進まない上に資金も底をついてきてさらには人間関係の軋轢が生じていた頃 後に僕らの骨の髄までしゃぶろうとする 自称 株式会社BOSファンドマネージャー兼資金調達コンサルタントの福岡(仮名)という人物が現れました。

「地獄からの使者?」

このBOS代表 福岡(仮名)という男

基本愛想はないけれどたまに見せる笑顔も絶対に目が座っていて笑っていない😎
表現しずらいけど「ブラックな修羅場くぐってきた感満々」な男だった。

口癖は、「プロの仕事として」「大きな案件を抱えて」
でも、実際ネットでどんなに調べてもどこにも名前が出てこないし本社事務所と言うところも一見高級そうに見えるんだけど実態は、レンタルオフィス
見るからに 経済小説の悪役のフィクサーを思い出させるような人でした😎😎😎

初めてこの福岡と言う人物に会った時の事 ハンジロウ側の役員の一人が連れてきたのですがその方が言うに「福岡さんには以前からハンジロウの資金調達のコンサルティングをやって頂いていたので岡本さんに紹介させてください」とのこと。

その時点でM&A後すでに数か月が経過していたにも関わらずそんなことはこれまで一度も聞かされていなかったので僕はかなり怪しい目を向けていたのですがまだ、ハンジロウのマネジメントサイドには遠慮があり無下に断ったりするのもまた後の関係に響くなと思いその時は何も言いませんでした。

でもこの頃は、僕の中に確信はなかったもののハンジロウのマネジメントサイドの人達を何度も個別に飲みに誘って僕の人となりやハンジロウとドンドンが一緒になることで見えてくる未来を必死で説いたせいもあってマネジメントサイドの数人は、ある程度本音で話してくれるようになっていました。

そして若干心を開いてくれた数人に聞いたところ、やはりこの福岡という 自称コンサルが昔からいたのではないという事、しかも 前社長の知り合いとのこと
この時は、全くこの福岡という男の意図がわかりませんでしたが後々僕が想像もしていなかったとんでもない絵を福岡初め数人の人間が書いていたことが発覚します😱😱😱

毎週月曜日に行われていた「ハンジロウとドンドンアップの経営会議」に この福岡も参加するようになってから状況はさらに悪化。

自称プロコンサルというだけあって巧みな話術でとにかく「最悪の状況」を例に挙げつつメンバーを絶望的な気持ちまで貶めたのち最後は自説をやさしい口調で説きあたかも僕を想っての事と僕を持ち上げつつ結論に持って行くというヤクザの常とう手段のような手法を使う薄気味の悪さがあった😎😎😎

前記しましたが僕の主張はおおまかに言って三つ

本社事務所と物流倉庫の統合、ハンジロウ店舗面積縮小とドンドンダウンの併設オープン、そしてハンジロウの子会社化ではなくドンドンアップ社との合併

僕の中では合理性しかない主張だったのですが毎回の会議で必ず逆の解に導こうとする。

埒が明かないのである会議で僕は僕の三つの主張を細かくブレイクダウンしてその戦略の成否をメリットデメリットで問う図を作ってハンジロウ経営陣及び福岡に一つ一つそして一人一人に丁寧に成否を聞いた。

その時、全員が全員 一つの設問についても合理的な反対意見を唱えることができず渋々ながらに賛成をした。僕の中では久々の圧勝だった😁

しかし結局その後も福岡は、何かにつけ すでに破綻状態にあるハンジロウ、ドンドンアップ両社に 「資金調達の可能性」を示唆してきた。そして僕の三つの主張に対してそれをやることによって調達の可能性がなくなると囁くのだった。

福岡は、SPC(特別目的事業体)を設立し株式担保と口座管理、支払い優先順位の管理を条件に融資を行うという提案を度々してきた。

どう考えても破綻状態の両社にブリッジの融資をしてくれるおめでたい会社は存在しないと頭では解りつつも「明日の資金」が手当てできない僕は藁をもつかむような気持ちでその提案にすがりそうに何度もなった😱

でもこの時僕は、この福岡がハンジロウの前社長や経営陣が裏でやりとりをしていることを察知していたしこれまで相当の数の「事業再生、企業買収、乗っ取り屋、整理屋」の実務書や小説を読んでいたのが功を奏して福岡の意図や青写真が読めていたしここまで来ると若干ゲームを楽しんでいる感もあった😅

なにせ悪徳企業買収小説に出てくる登場人物が笑っちゃうほど物語の筋書きどおりに出てくるし登場人物の面々の心の移り変わりもまさしく同じだったから。

そしてひょんな人から決定的な情報が僕の耳に入った。

全然直接この話に関わりがある方ではなかったのですが仮にAさんとしましょう。

Aさん 「岡本さんなんか変な話を聞いたんだけどドンドンアップ売りに出してる?」

僕 「イエイエすごく苦労はしてますけど絶対に何とか再生させようと頑張ってますよ」

Aさん「なんかねチョッと聞いた話なんだけどドンドンアップをハンジロウから引き離して倒産に追い込んで負債なんかを整理してから●●社が買うって言ってるみたいだけど」

僕 「ゲーやっぱりー やっぱりー やっと腑に落ちた だからだー」

欠けていたパズルのピースが全部はまって福岡の狙いがはっきりと見えた。
これでなぜ、あれほど福岡が僕の三つの再生指針に反対してきたかの謎が解けた。

目的は、ドンドンアップを破たんさせたのち他社への売却をする為だった。
そしてハンジロウ幹部には単体での再生をほのめかしとにかく僕に抵抗するように仕向けた。

がしかし 今さら謎が解けたところで目先の資金が全く調達できない僕にはなす術がなく将棋で言えば完全に詰みの状態だった。

それからは完全に福岡の意のまま。
シナリオはわかってはいるものの資金手当てができなければ破産か民事再生、もしくは福岡の言うSPC(特別目的会社)の設立、株式担保のブリッジ融資 この三択以外に打ち手がない😱😱😱

結局のところ最悪 ドンドンダウンもハンジロウもつぶせないし、これまで 頑張ってくれた両社のスタッフにも迷惑をかける事だけは避けたかったので 福岡の株式担保融資に賭ける以外のチョイスは、なかった。

もしこれが実行されればどうなるかは目に見えていた😓😓😓

仮に融資が実行されたとしても(結局こういうケースでは融資は行われないことがほとんど)口座はSPCで管理しているので僕の裁量でお金が動かせるわけもなく。

すなわち事実上 僕の実権は剥奪され(っというかどうせ追い出されるんだろうけど)そしてドンドンアップは、他社に売られ、ハンジロウは、SPCの元、すなわち福岡の元 整理され現金化されるか奇跡的にスポンサーがつけばまた他社へ売却される😱😱😱

僕にとっては、完全にムリゲー

サブミッション(関節の寝技)のように色々なところに手足全身を巧みに絡めながら時にはフェイクを入れつつ最終的にはどっかの関節を決めてくる。

どんな形に着地しても福岡の一人勝ちなのだ😎😎😎

契約はドンドン進んで行く。膨大な資料にサインをし謎に立派なビルに入った外資系の弁護士事務所や会計事務所に連れて行かれ いよいよ最後の 「株式担保融資」の契約のところまで来た。

僕はこの時なんだかんだと理由をつけ最後の「融資」の捺印を伸ばし伸ばしにしていた。

本当に四六時中 考えに考え 弁護士や会計士、その道の専門家に相談しまくり そして限りなく不可能であろうスポンサー探しにドンドンアップ社の役員にも誰にも相談する事なくたった一人で戦っていた。

文字通りの苦しみまくりながらの孤軍奮闘でした💪🏼

その時僕は最後のチャンスに掛け あるアパレル企業S社に知り合いを介してアプローチしていた。

以前から僕が尊敬していたアパレルチェーンだ。

とにかくS社の社風が素晴らしく展開しているショップも魂が感じられ社風が芸術的に体現できていて尊敬の一方でジェラシーを感じざるを得ない素敵な会社だった😍😍😍🥳

S社の社長にはかつて一度もお会いもしたことがなかったものの出版されていた本は読んでいてうちの課題図書にしてたほどだ。

電話でアポイントを取りすぐにS社に向かった。
社長(現会長)と役員(現社長)の方が対応してくれた。

僕は、無我夢中でこれまであったこと、現在の壊滅的な状況を包み隠さず話した。

先方の二人は、初めて会ったにもかかわらず、いきなり訳の分からない重い話しを真剣にそして僕を労いながら聞いてくれた。

「すごいなー岡本さんは、俺だったら絶対耐えられんわ」
と笑いながら言ってくれた。

そして、僕は提案をした。

ハンジロウと親和性が高いS社は店舗立地も同様なことに目をつけ店舗売却や立地が被っているところは、受託運営、共同仕入などなど思いつく限りのあらゆる提案をした。

話した自分が何を言ったか覚えていないぐらい鬼気迫る勢いで話した🤯

S社の社長は

「なんかようわからんけど何ができるか前向きに考えるわー」と言ってくれた。

とは言えその時、僕にはデットラインまで数日の猶予しか残っていなかった。

福岡との「株式担保ブリッジ融資」の契約だ。

伸ばし伸ばしにしていたので福岡からの追及は激しく(緊急性を演出する事も彼らの手口の一つなのだが)毎日電話をかけてきて必要に僕に契約を迫った。

福岡 「岡本さんこれ以上延ばすと この話し流れますよ」
とか
「裏で動いてる人がたくさんいるのだから1日伸びるごとに●●万円払ってください」
とか
「後一日遅れると数百万円の違約金が発生しますよ」
とか 

もはや支離滅裂な理由で契約を迫ってきた。

そして契約待ったなしの当日 「奇跡」は起きた。

S社の役員さん(現社長)から連絡が来て
「岡本さんとりあえず8000万円振り込みます。それから具体的にどうするか詰めましょう」

僕はもうなんて言ったらいいかわかりませんでした😭
一途の期待はしていたもののこんな早く しかもまだ何の具体的な契約もまとまってもいない中で😭😭😭

あまりの嬉しさにドンドンの経営陣全員に電話してしまいました🎊🎉㊗️

そして福岡に連絡

僕 「奇跡的に資金調達のめどが立ったので今回の話はなかったことにして下さい。福岡さんには色々動いてもらって申し訳ないけど福岡さんはうちの再生を望んでくれてるんだから結果オーライですよね?」

いつもは、めったに表情を崩したり、声を荒げたりせず 忍び寄る蛇のように 不気味に淡々と話す福岡がこの時初めて声を荒げました。

福岡 「ふざけないでくれ。何人裏で動いてると思ってるんだ。絶対に今日中に捺印してくれ」

僕 「いや 資金調達できたのだからその必要はないですよね」

これの繰り返しの押し問答😖😖😖

終盤少し落ち着きを取り戻した福岡が言ったこと。

「岡本さん通常こんなことは許されることではないんだが私の顔でなんとか関係者を説得してみるのでとりあえず今日中に500万円下さい。ホントはそんな額で済むことではないんだけど」

モチロン断固として断りましたが😤😤😤

「結局あんたはどうやってお金絞りとるかだけやー」

一瞬ではありますが一旦なんとかドンドンアップの敵対的買収から逃れることができた瞬間でした㊗️

S社の会長、社長にはその後も事業提携やらでもお世話になりお互いのスタッフも仲良くさせてもらい陳腐な感謝の言葉では表現できない程感謝してます🙇‍♂️🙇‍♂️

でも実は結局お借りした8000万円の見返りは、結果的に色々な状況からS社さんにお返しすることができませんでした😥😥😥
要するにS社さんは、形としては何もないとこに8000万円を出してもらう結果になったのでした。(今 必死に返済中)

今も会長や社長にお会いするたびに感謝の言葉を述べると
「イヤーそんなんで恐縮してもらわんでもええわー 対等にビジネス一緒にやってこう」
なんて感じで神様みたいなことを言ってくれますがもう一方で
「あん時なんで岡本さんにお金出したんか未だにわからん。なんや岡本マジックやな」
っと言われて いじられます。

僕がこんなことを言うのも本当におこがましいしS社さんには失礼極まりないのですがやっぱり自分の「小さな常識」で物事判断したり、無理だろって絶対に思ったらダメで
最後まであきらめないであがき続けるってのが本当に大事だって心に刻まれる出来事でした。

だからこれを読んでる皆さんにも伝えたい。

「だって本当に神様みたいな人いるんだから」

「命からがら? ハンジロウの売却」

これでハッピーエンドならいいんですけど息をついたのは一瞬、ほんの一瞬です。

「ドンドンアップを破産させての買収」の計画を阻止しただけであって経営再建は待ったなしの状況は全く変わらず。

悪徳ハゲタカ福岡は、一旦ここで少し消えます。

最後までお金をよこせとしつこく要求してきましたが一蹴して契約解除しました。

ところが今度は、別のグエエーな案件が。

とにかくハンジロウ店舗とドンドンダウン店舗の併設オープンに反対だった
元ハンジロウの親会社G社のグループ会社H社の社長さんから連絡があった。

お会いして話を聞いたところハンジロウを買いたいという会社があると言う。

これまでG社の社長は非常に僕に当たりが強く僕がハンジロウとドンドンの店舗併設オープンを言うたびに買掛金の全額一括返済を求められてたけどこの時はなぜか妙にやさしくハンジロウの売却を勧めてこられました。

この頃は、本当はあきらめたくはなかったしハンジロウのスタッフさんにも申し訳ない気持ちでいっぱいだったけどもうすでに限界を通り過ぎていた。

ハンジロウの50件近くあるメーカーさんやお取引企業さんに買掛金のお支払いができないのでハンジロウの主な経営陣(全員仮名です)
物流、渉外担当の柴田さん、店舗開発の米山さん、財務、法務の荒木さん、仕入部長の水野さん 
のいずれかと一緒に毎日債権者さんをまわり謝罪と事業計画を説明しながらなんとか再建の協力を募る日々が続いていました。

この頃は、相変わらず僕は空元気でみんなには軽口を叩いて元気を装っていましたが実際は、なんとも表現しがたいけど心も頭も灰色になっていきました。

でも、なんだかんだ言って元々苦労ばっかりしてきてるから僕のストレス耐性は以上に高いので僕のそれとは比較できない程 ハンジロウの経営陣にとっては本当に耐えられない日々だったに違いありません。

色々なことに反対してたけどその頃にはもうそんな元気もなくてなんか一刻も早く楽になりたいって感じでした。

大赤字のハンジロウに資金を補填する余力はドンドンアップには一切ないし、これまでの損失でドンドンアップも倒産寸前だったので今度はハンジロウを売却する事だけが生き残りの唯一の策になっていたしみんなもそれを望んでいた。

そんな時この奇跡的な話が舞い込んできました。

「長崎出版」という会社がハンジロウを買いたいらしい。

みなさん「こびと図鑑」ってご存知でしょうか?

キモカワイイ(どっちかって言うとキモい強め)な27種類の小人が本当に自然界に存在するっていう設定でキャラクターも本も一時爆発的なブームになったアレです。
たぶん思い出せなくても実際のコビトを見れば「アー」っとなるぐらい衝撃的なキャラクターです。

作家さんは別にいらっしゃるのですが当時のライセンスの運営会社が 「長崎出版」という会社でした。

「コビトズカン」以外はあまり実態のわからない会社でしたが調べて見るとヒットもあって一気に17億円ほどの売上になった会社でした。

しかしどうも腑に落ちない。
「なぜコビトの絵本の会社が古着チェーンを買いたがるのか?」

紹介してくれた元の親会社H社の社長に聞いてもわかりません。
っというか実際にH社の社長も長崎出版の社長に会ったこともない。

「ンーんなんか怪しい」

一刻もドンドンアップからハンジロウを切り離さないと倒産まっしぐらなので背に腹は代えられない事情はありつつも何度もH社の社長を通して長崎出版の社長に面会を求めました。

何度頼んでも断られる。
さすがにどんなに切羽詰っていたって先方の社長にも会えないなんてありえないのでH社の社長には「いくらなんでも直接話もできないんじゃ契約は進められない」と言ったところようやく長崎出版の社長と面談できることになった。

オフィスに通されそこで長崎出版の社長と同社の顧問だと名乗る人物と会った。

社長の印象は、17億の会社をやっている割にはあまり覇気のない感じで僕が何を質問してもなんかアヤフヤな印象を受けた。

僕 「社長 古着チェーンのどこにシナジーを感じているのですか? 買収後はどんな取り組みをされるのですが?」

と質問すると 本当になんかムニャムニャ
「古着とコビトのコラボがなんとか」

ってなんじゃそのコラボ?

でも本業のコビトについて質問すると若干テンションが上がる。

社長が口ごもると顧問と名乗る男がなんかうまいこと話そうとする。

「ウーンなんかこの人匂うなー なんかこんな人種 過去にいた気がする」

そう、なんか福岡と似た怪しいファンドとかの匂い

とにかくなんか腑に落ちなかったものの切羽詰まった僕らに別のチョイスはなくとんとん拍子に契約は進んでいった。

大赤字だから当然株式は、限りなく無償に近い感じで譲渡

それで当時あった未払い買掛金などの4億円近くの借金を半分ずつを折半する事で2013年6月に契約を締結した。

「フー やっとこれで倒産だけは回避できた~ 」
っと思っていたのもつかの間

なんと一か月後には、ハンジロウのスタッフから給与遅延の報告が

「エ~なんで????? だって17億円でイケイケの会社じゃないの?」

そうこうしているうちに2013年8月には社長は雲隠れのまま長崎出版は破産

「グエエー」

こっからがまた恐怖のどん底です。

ハンジロウの長崎出版への譲渡契約を結ぶ際、当然 何度も顧問弁護士に相談してチェックしてもらいもちろん譲渡後は、代表者の僕とドンドンアップの保障も外してもらうという条項も入れてもらいました。

ところが2か月も立たないうちに倒産してしまい挙句の果てに債権者さんに対して僕らの保障解除も通達していないということ。

そしてここでまた登場するのが ハゲタカ悪徳ファンドの福岡😎😎😎

なんと長崎出版倒産後すぐにハンジロウの管理会社ファンドの社長になっていたのです。

ここでまたつながった。

何らかの理由でこの福岡はハンジロウをどうしても手に入れなければならない理由があった。

そこで一旦、僕らの前から姿を消した後、誰かをけしかけてドンドンアップへ長崎出版に売却をせざるを得ないストーリーを書いた。

ここからは、憶測になるのですがたぶん長崎出版の社長もこの福岡初め周りのよからぬ連中に利用されていたと思わざるを得ません。

だってそもそも倒産しそうな会社が全くシナジーのない古着チェーンを買うはずないですから。

この当時すでに大手書籍チェーンなどでは噂になっていたようですが長崎出版は、「コビト図鑑」のライセンス契約を作者から打ち切られ資金繰りに窮していたそうです。(ちなみにコビト図鑑は、今は、別の会社でしっかりと運営されて子供達に人気みたいです)

たぶん長崎出版の社長は、切羽詰まっている中で福岡ら悪徳ファンドに翻弄されトンネル会社に使われたに違いありません。

僕がそうであったように切羽詰っていると冷静な判断も難しいしどっちにしても多くの選択肢がないので目の前で融資の可能性をちらつかされるとやらざるを得ない状況だったのでしょう。

なーんて長崎出版の社長に同情している余裕は僕にはナイ!

この後とんでもないことが起こりました。
夜逃げをして破産した長崎出版は追っかけようがない
でも僕らの債務保証の解除も履行されていない。

さらにはハンジロウを手中に収めた悪徳ファンド福岡は、その後、滞納している買掛金を払わないどころか運営店舗の家賃さえも払わない始末。

そして結果的に店舗物件の保障も買掛金の保障も外れていないドンドンアップに請求が来るという信じられない事態に

ただ当然、元のお取引先様や物件オーナー様は、何度も謝りに行ったり  これまでの状況説明もしているので当初は、ドンドンアップに請求が来ることはなく2年間ぐらいはハンジローに対して訴訟を起こしていた。

ここからが悪徳ブローカー福岡の真骨頂、裏稼業のプロとしての本領発揮

裁判所から差し押さえ命令が出てもすばやく察知して銀行口座は常に空に。

さらには本店登記地や代表者をコロコロ変える始末でどれだけ裁判をやっても誰も回収できない。

そして当然、悪知恵はプロフェッショナルでもアパレル素人の福岡にハンジロウを再生できる訳もなく自然消滅的に全店舗閉鎖されました。

ついには、債務保証をしていることになっているドンドンアップにハンジローの債務が戻って来ることに

ギョエー

数年たった後、結局最後の裁判では、ハンジロウが支払いをしない場合ドンドンアップが支払うという判決

そしてその判決後、初回の支払いから福岡 率いるハンジロウは一度も支払う事はなく

以後ズート ドンドンアップが支払う事に

そして6年たった今でも死にもの狂いで払い続けています
(一本テナントさん終わったフー)

どうでしたか? この身の毛もよだつ僕らのM&A体験記

資金繰りが辛いってのは本当に辛くて そして6年間 毎月数千万から1億円の資金ショート 当然銀行借り入れもできず、全くアクセルが踏めないまま 相変わらずの倒産寸前でギリギリ助けてくれる神様のおかげで今もなんとか生きています。

資金繰り辛い 6年間毎日資金繰りとの戦いだから 勝負パンツは、赤なんですけど毎日赤パンツをはき続けなければならないこの辛さ まさに
グエエーです。

でも僕の起業27年間の中でも一番辛かったこと

元々よく言えばイージーゴーイングで性善説、悪く言えば脇が甘い(ってかアマアマ)な 僕にとって一番不得意かつ嫌いなこと 

「人を疑う事」

「人を信じきれなかった事」

これが一番辛かった

四面楚歌、疑心暗鬼、智謀策謀、裏切り 今まで持ったことのない感情に向き合う事が本当に耐えがたかった。

ドンだけの苦しみと悲しさを超えたら信じきれる強さを持てるんだろう?

ここに出てきた登場人物 色々とあったものの実は本当に悪い人はいなくって自分達の立場や関係性からその人たちなりの判断や行動をせざるを得なかったんだろうし、結局は、僕も含めて全員が結果的に魑魅魍魎 反社会的悪徳ファンドに翻弄されただけかもしれない。

盗人にも三分の理って諺があるぐらいだから実は福岡も悪徳ファンドを真面目にやってただけかもしれない(なーんて悟り?)

経営陣みんなハンジロウが長崎出版に行った途端に全員何も言わないで蜘蛛の子を散らすように僕の前からいなくなっちゃったから今となっては誰が味方で誰が敵だったのか、だれが正直で誰がうそつきだったのか 知りえる術もないけれど。

今となっては、もうどうでもよくて一度集まって飲みたいんだけどなー🍻

コケ倒しオブザイヤー 僕らのM&Aで学んだこと

ネガティブサイドに視線が流れただけでその方向に行ってしまうってこと
だから無理やり視線も決断もポジティブサイドにブン投げること。

不安、動揺、焦り はどんな状況でもそんな感情を持つことそのものが無駄ってこと これらの感情は絶対に判断を狂わせるから 感じた瞬間にオールスルーする事。

危機回避に一番大事なこと 人を信じて皆が仲良くすること。
それだけで救われることがある。

これらが本当に腹落ちして自分の中に真理になったことは財産だな

高い授業料だったけど😭😭😭

でも。。。
未だにハンジロウのような素敵な店やりたいんだけど(懲りない)

感謝

さあ、来週の資金繰りどうすっかな〜?

☆☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆

プロローグ、目次に続き今回が本編第5話になり7回目のnote投稿になります!

これからも読者の方にハラハラドキドキ綱渡り経営のリアルを

テクニックも心持もチョーリアルな僕の実体験をとうしてお伝えできれば幸いです。ラッキーにもカンボジアで行われた「ホリエモン祭」で登壇させてもらい幻冬舎の伝説の編集者の箕輪厚介さんと対談する機会がありました。

その後、出版の相談をさせてもらったところ「面白いっすね!とりあえずnoteに書いてみて」って言われた事をまともに間に受けてnote始めました。

30章以上は、書き続けてあわよくば幻冬舎で出版してもらって🤪箕輪さんやホリエモンさんに帯書いてもらえるようにがんばります!

恥部をさらけ出し倒しなのでフォローやスキもらえると癒されます

フォローよろしくお願いいたします🙏🙏🙏


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