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全然ファンじゃないけど~モグライダー評とM-1グランプリ2023

M-1グランプリ2023について。
ここ数年は子どものご飯づくりやお風呂、寝かしつけと時間帯がぶつかるためリアルタイムでは毎年見れず、ネタバレを踏まないように注意しながら携帯も触らず過ごし、録画をその日のうちに深夜までかけて見るというのが恒例でした。
ただ、今年は「令和ロマン優勝」の通知を一瞬見てしまって、あー台無しだ、知っている状態で見ることになってしまった。。。と失意の中で見始めたらネタ順のトップが令和ロマンで驚愕!
え、ここから優勝するの?というまた別の面白い見方が出来てしまったのだから皮肉なものです。

で、今回はモグライダーのカッコよさが際立ちました。正直別に好きでも嫌いでもない、2021年にM-1で初めてその存在を知った程度、ネタは大して印象に残らず普通、コンビ名ダサい、トークも特に面白いわけでもない、長くやってるうちに芸人の内輪評価が高くなってやっと売れたコンビという印象でした。

今年『検索ちゃんスペシャル』でひさびさに彼らのネタ(「相棒」)を見て、あ、これは結構凄いことをしてると。要はネタの骨子の部分に相方のともしげという乱数を取り込んだ構成なんだということにようやく気付いたのでした。

KOCでや団が見せた灰皿を回して止まるまでの間を待つくだりにもゾクゾクしたのだけど、ああいう偶然やハプニング性をあらかじめ織り込んであるネタが僕は好きみたいだ。それをこの大舞台で、しかも厳しい時間制限がある中でやる勇気。

モグライダーは結局最終決戦には行けなかった。ともしげが自主練しててうまく出来すぎたのだそうだ。その笑い飛ばし方もよかったのだけど、そこでともしげが緊張をカンチョーと噛む、という奇跡が!その時の芝大輔のコメントが最高にダサくて、最高にカッコよかった。
「あほくせえ、4分もいらねえ、これ一発でよかったんだ」

この発言が今大会を象徴しているようにも思えた。
ここ数年、ネタ順に捉われ、どのコンビが笑いの爆発を起こすかを固唾を飲んで待ち、場の空気、流れ、審査員の癖、それらを見極めたコンビが優勝するという独特のヒリヒリした雰囲気があった。それをトップ順の令和ロマンが崩した。もちろん緊張感はありつつ、それぞれが場の空気に捉われないネタをチョイスした。
シシガシラのハゲネタ、ダンビラムーチョの歌ネタ、そして言わずもがなのさや香の2本目。
どれも結果には結びつかなかったが、その勇敢な姿勢にとても感銘を受けた。
やりたいことやればいいのだ。

2023年の大会は点数的な爆発も、物議を醸すようなこともなく、一番爪痕を残したのは山田邦子、という大会として記憶に残っていくだろう。しかし、それと引き換えに風通しの良さを手に入れた、そんな大会になった。最終決戦の3組はどういう順番になったら一番会場が盛り上がるか話し合って決めたそうだ。こうして新しい形を手に入れながら、M-1はまだまだ続いていくんだな。

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