Bohemian Rhapsody

腐女子うっかりゲイに告る:5話

「普通になりたかった」と純は言った。

どこかずっと押し込めていたような、チクリと胸に刺さる感覚が持ち上がった。

私は小2から中3まで男子にいじめを受けていた。そのことを知人に伝えた時に「男子だから良いじゃん、全員じゃ無いんだし」と言われて愕然とした。

自分がバイ菌呼ばわりされたり、仲間はずれにされり、顔がでかいと罵られたり、毎日毎日飽きるほど気持ち悪いと言い続けられ、バカにされ続ける。

そういうことが、まるで「当たり前」にように行われていたことを、知った風な口で言われたのだった。

私は普通になりたかった。

普通になって、普通に恋愛してみたかった。でもその経験で、男性恐怖症になり全てを諦めてしまった。(でも恋愛対象は女性では無かった)

私もかつて願ったのだ。なんで生まれてきたのか、神様に問うた。明日になったら皆な笑ってくれるのかな?気持ち悪いって言われないのかな?

でもそんな明日はこなかった。もうこんな苦しい毎日に終止符を打たせてくれないのかと。

Bohemian Rhapsody

ーーーママ、ううう
僕は死にたくない
僕は時々願うんだ、僕なんて生まれてこなければとーーー

ではなぜそのことが起きたのか。

結局のところ、自分の中に「差別」というエネルギーがあったから。

相手を貶めたり、蔑んだり、嘲笑したり、そういうものを、いじめられるということで経験した。「たったそれだけ」のことだった。

私は大げさに考えすぎていた。悲劇のヒロインになりたかったのかもしれない。地球を含めた宇宙からみたらこんなの塵にもなりはしない。

外野はあれこれ言いたいことを言う。でもそれは相手の問題であって、自分の問題ではない。子供の頃は経験値の低さから「混ぜて」しまっていたが今なら「区別」も「分別」も付いている。

今はそれに付いてなにも出てこない。ふわっと身体は軽くなり、明るくなり、悩みもなく「頭の中は小2」で笑ってばかりいるようになった。

これが「受け入れた」ということなのかなと今は思う。最後の最後残っていたものを純とQueenが引き出してくれた。

「この体験をしにわざわざきた、ここでしか出来ないことだから」

今はこの経験に心の底から感謝している。

※そもそも「普通ってなんだ」ってのはまた別のお話



思いの丈を綴ります