メンタルの無駄遣い

オリンピックってなに?
と4歳の息子が聞いてきたので
 世界中の人が集まって
 色んなスポーツで競争するんだよ
 かけっことかね
と答えたら
 なわとびとか?すべりだいとか?
と聞き返されたので
 そ、そうだよ
と答えてしまいました。
オリンピック種目に加わる可能性はゼロじゃない。と言い張りたい。


子どもの頃ピアノを習っていましたが、楽器を楽しむ才能はなかったようで今では譜面も読めません。
代わりに子どもの頃から習ってみたかったなぁと思うのがバレエと新体操です。
どちらも衣装が可愛いというのはもちろんですが、身体が柔らかくて身のこなしが軽やかな姿がとても魅力的でした。
似たような競技でフィギュアスケートがありますが、なぜかこちらはそんなに琴線に触れず。
やりたいという欲求は湧きませんでした。
観るのは大好きです。


もう3年くらい前になると思います。
セブンルールという番組で飯島望未さんというバレリーナの方が特集されました。

※セブンルールはある分野やその業界で注目されていたり実績を残している女性が、自身で決めている7つのルールを紹介する番組です。
視聴者はその道のプロの具体的な習慣や心がけを知ることで、自分の日常のモチベーションアップや考え方を見直したりできます。
平たく言うと女性限定版の情熱大陸です。

バレエダンサー。
とんでもなく過酷な仕事だというのは山岸凉子先生の「アラベスク」で履修済みです。
え?読んだことない?読んで。
読んだ後、レ・シルフィード踊れそうな気がするから。踊れないけど。

アメリカの五大バレエ劇団の一つであるヒューストン・バレエで主役を張れるポジションにいる飯島望未さんの密着は今でも忘れられなくて、未だに録画を消せずにたまに見ます。
この30分番組の中で飯島望未さんの7つのルールが紹介されるのですが、私の中で強烈に残っているのはルールとは関係ないトークの一部でした。

バレエはどれだけ上手くても役の数は限られています。
実力が同じレベルのダンサーがいれば、監督はどちらのダンサーが使いやすいか、作品に貢献する力があるか、他の共演者と上手く付き合えるかなどを考慮して決めるのです。

飯島さんは、普段は他のダンサーと挨拶をしたり稽古中のコミュニケーションは取るものの、食事や劇場への移動を共にするといった、要は「つるむ」ことはないそうです。
というのも、以前自分がいい役をもらったとき、同じレベルの仲良くしていた他のダンサーとの関係が悪くなった事があるそうです。
以来最初から必要以上に仲良くしていなければ気にする必要がない、必要以上に仲が良いから気にする、それをメンタルの無駄遣いだと言うのです。

彼女の本業はバレリーナ。
作品を作る為には共演者とのコミュニケーションや意思疎通はきちんと図らなければいけません。
しかしそれ以外のことに意識と時間を割くのはメンタルの無駄遣い。
だって最優先すべきは、もらった役に集中していい踊りをすることだから。

メンタルの無駄遣い。

これほどしっくりくる単語を聞いたのは久しぶりでした。
メンタルトレーニングとか
気持ちのリセットの仕方とか
人間関係の断捨離とか
どんだけみんなストレス抱えてんだよと思うくらい、その手のライフハックが世の中に溢れてます。

メンタルの無駄遣いという単語を聞いたとき、
あーそうだ、そうなんだよ
現代人はみんなメンタルをすり減らして生きてる
色んなことに気を遣って、気を配って、1番時間とエネルギーを使うべきことがわからなくなっている
他人の為に使うエネルギーは無限に湧き出てくるもんじゃないって忘れてる
自分が持ってる優しさや思いやりを使う場面は選んでいいし選ぶべきだ
無駄遣いしちゃいけない
と、思っていたことに名前をつけてもらったような気分でした。

ありがとう第一線のプロバレエダンサー。
きっとアスリートや経営者やその他規模の差はあれど、求められた結果を出し続けられる人は優先順位がちゃんと決まってて、無駄遣いしない人なんでしょうね。

疲れちゃったなーってときに自問しています。


無駄遣いしてない?



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