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夫とたぬきの交流記

夫は運送業。十トントラック転がしているが、たまに冷食(冷凍車)も扱っている模様。
自宅からは少々遠い所に車庫があるので、最終便遅くて朝が早いと寝る時間が少ないので車中泊して帰宅しないことがある。
別に会社的には問題ない模様。(近場に引っ越してこい、とは言われてる)
それはさておき、その十トントラックが駐車している車庫は少々田舎で、(詳しい住所は知らない)ある日、たぬきに遭遇。最初は警戒していたたぬきだが、気がついた夫が持っていたパン(夜食だか朝食だか)を投げると匂い嗅いでパンをくわえてどこぞへと持って消えていったのが、やがて2匹で来るようになり、待っているようになり、今は手から直接受け取ってその場で食べる、頭なでさせてくれるようにまでなっている、らしい。

ナニ、馴れさせてるねん。

来るのはかなり夜が更けてからなので、眠くて待てないときはトラックのステップのところにパンを置いて置くという。そうすると翌日きれいに無くなっているそうだ。かわいいのは、トラックのドアのところに足跡がついているらしく、一応挨拶というか、してくらしい。どうやらたぬきの親分(夫のこと)がいるトラックを覚えもしたようだ。

基本不規則なのであまり時間がズレるときはパンは置いておかないし、雨の日はベチャベチャになったパンは食べないそうで、置かないそうだ(掃除が大変だって)。

ある時などは予定外仕事で遅くなり急遽お泊り。時間的に合致して、今回もたぬきが山の方から降りて来るのが見えた。でもコンビニに寄る時間はなかったらしく、自分の食べ残しパンを上げたけれど、完食したあと、山に帰ろうとしない。そして何かを期待した目で見てくる。
「足らないのか?わかった、買ってくるから待ってろ」
言葉が通じたのか、はたまた夫の様子でわかったのかはナゾだが、自家用車で少し先のコンビニ(大型トラック停めるスペースがない)で追加のパンを買って車庫まで戻ってきたら、なんとたぬきは寝そべって待っていたそうだ。そして追加のパンを平らげると満足したのか、山に帰っていった、という。

最近はこの暑さで、水と水浴びまで要求(?)するようになった。(車を洗うので水道が設置してある)

ナニたぬきの世話係になってるんねん。

もちろん夫の時だけで、他の従業員が車庫にいても一切、出てもこない。

さて、ある時から二匹になったと書いたが、どうやらつがいだったらしい。

ここまで馴れさせるとこちらとしても生態などが気になりググってみる。


春間近頃、もしかして片方お腹大きくないか?と聞いたところ、どうやらそうらしい。それが6月頃、お腹が引っ込んだ、という。これはひょっとしてひょっとすると。

秋頃、小さいの5〜6匹連れてやってくるかもしれないよ、と話をしている。

その前に一回私も見に行きたいな、そして仔たぬきも見たいな。
今、夫からの仔たぬき連れて来た報告を楽しみに待っている。

本当は野生のものに餌付けをしてはいけないのは重々承知しているけれど、ハードな仕事している夫の癒やしの一つになっているので、そこは見逃してください。


夫とたぬきの交流記・2 


1から随分時間が過ぎていますが、今どうなっているか、というと、4匹に増えてますwww。

前回いずれ子供引き連れて来るのでは?というところで終わっていたと思いますが、そのとおりになりました。

発見したのは同僚ですが、秋口のある日、車庫に待機していたら夫がよく乗るトラックの周囲をタヌキ4匹がウロウロしていた、と報告を受け、残念ながら4匹になった当日は対面しませんでしたが程なく、子供とご対面しました。

結構大きくなってから引き連れて来たそうで、でも親タヌキと違って仔タヌキは始めっから警戒心全くなかったそうです。足元にじゃれつき、登ってこようとしてたとか。でも親の方もそれを止めるような素振りは全く無かったそうで。このタヌキの大親分(夫のこと)は悪さをしない、安心出来るっていう認識だったのでしょうね。

ただ餌(パン)を食べる順番は厳しかったようで、仔タヌキが先にもらおうとすると親に叩かれて怒られていたのだとか。

ちょっと前までは少し小さめで仔タヌキと区別がついていたけれど今はおんなじ大きさになって見た目では全くわからないそうで。

4匹をちょくちょく見ているのだから多少は違いがわかるでしょ、と私言うのだけれども、全く区別つかないそうで。もう。

ただ、何の警戒もなくすぐ近寄ってきて登ろうとするのは2匹で、それでわかるのだとか。

あいかわず、どうしても眠いときはトラックの下にパンを撒いて置いて寝ます。と翌日にはきれいに無くなっていて、足跡がバンパーについているのがお決まりに。

冬の間はトラックの下に潜り込んで、そこで朝までいるらしい。エンジン下が暖かいからだろう、と夫談。朝早い時などはそろそろ車動かすからどけよ、とクラクション鳴らして合図すると車下から這い出してきて、裏のヤブの中に去っていくという。猫バンバンならぬタヌキクラクション。

同僚の目撃情報によるとトラックのカーテンが閉まっている(夫中で寝ている)とトラックの周囲をバンバン叩きながらウロウロしているらしい。カーテンが空いていると何もせずに何処へ去って行くと。タヌキ、しっかり夫の乗っているトラック及び夫がいる状況を把握しています。

さて、この間、いつものようにパンをトラック下にばらまいて、寝て起きたら、水道についているホースがトラックの後部らへんまで伸びていたそう。確かに巻いて水道近くにまとめてあったはずなのに。

あ、これは・・・

そう、タヌキ、そろそろ水浴びを要求する気温。ちなみに水浴びは夫が洗車をしているところに遭遇して、水を浴びるのは涼しくなって気持ちいい、と学習。昨年は水道のところに行って、そこで鎮座して要求していたそうですが、今年はホースを加えて引っ張ってきそうです。

言うまでもないですが、餌のパンの量は倍に増え、夫「小遣いがぁぁぁ」と叫んでおります。


夫とたぬきの交流記 外伝


とある期間。無性に気分が落ちている日が続きました。

スーパーのレジ打ちパートですが、そんな仕事ですから時には理不尽なクレーム受ける時もありますし、依存性の強い客ばかりあたってしまう間の悪い日もあります。でも長いことこの仕事しているので対処も考え方も身について、そんな何日も気分を引きずることも最近はほぼないのです。

でも妙に沈んでる、一体何が原因なんだろうと思っていたのですが、ふとあ、あれだ、ということに思い当たりました。

それはある日仕事から帰ってきた夫がこう言ったのです。「タヌキが車に轢かれて死んでいた」って。

運送業の夫、トラック駐車場の場所が田舎の方らしく、そして帰宅時間が不規則な夫が、ある日、裏のヤブからでてきたタヌキと遭遇して、それから何度となく遭遇するたびに餌を与えて、今は産まれた子供二匹引き連れ合計四匹、手なづけてしまったのです。(詳細は夫とタヌキの交流記1、2で。)

出会いからここまで、帰ってきて話をするたびに私も愉しみにしていて、どうやら知らず知らず私もまだ見ぬ(いつか絶対見に行く)タヌキたちに情が湧いていたようです。

え?まさかいつもくるよったりタヌキの一匹?と問いかける私にわからないという返事。

でも車庫周辺うろついているあのよったりタヌキ以外のタヌキなんているの?いたとしても行動範囲が違うのではないの、縄張りとかあるし。そんなこと言う私に対して、最近はシフトの関係上、タヌキに遭遇する時間帯に車庫にいないからわからないというのです。

朝の出発が早いとか、そんなシフトのときに夫は車庫でトラックの中で夜を明かすのですが、その夜中にタヌキはだいたい来るとのこと。

とにかく、車庫で夜明かしするようなシフトが回ってこないことにはわからない、とのこと。私は冗談まじりで、車庫に泊まって確かめてきてよって言ってました。

数週間後、待望の車庫夜明かしシフトが回ってきました。私は半ばあきらめていましたが、よったり以外のタヌキであって欲しいと願っていました。

かくて、夫からの報告「四匹来たよ」

安堵しました。

馴らした、とはいっても野生で、夫以外の人がいる時は出てこないので夫以外の人には警戒心を解いていないと思うけれど、タヌキは車によく轢かれやすいという、くれぐれも気をつけて欲しいと思う今日この頃でした。

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