GID特例法の手術要件は違憲であると考え方が強まっている

家庭裁判所は2023.10.11付静岡家裁浜松支部の決定において、GID特例法の手術要件を違憲であると判断しました。
この判断は、私の予想を超えたものでしたし、世間の反応も同様だったと思います。

私なりに浜松支部の審判書をひと通り読んでみたのですが、とても納得できるものでした。

これは私の予想ですが、
裁判官の世界においては、
GID特例法の手術要件について、
GID当事者の基本的人権(身体的健康、アイデンティティー等)を不当に侵害する
非人道的な一面があるという認識に向かっているスナップショットを見たように思います。

私(MTF)も手術(SRS)を受けた一人ですが、
手術(SRS)は結構な大きな、厳しい手術であると思っています。

すなわち、私の場合
全身麻酔
大量後の出血
高額の手術費用(100万以上)
健康保険の適用なし
小さな病院で、入院が出来ない
わずか5~7日程度で、病院から家に帰される
という経験をしました。

これではマトモな医療とは言えるのか、思う人がかなりいるかと思います。
しかし、身体違和が強かった私は、そういう手術を、あえて自ら希望して受けました。

(私はFTM当事者ではないので、断言できませんが、しかし、)
FTMの場合、MTFよりも、多くの違う手術を受けるのですが、FTMの方が身体的負担が大きいように思います。

GID当事者にとって、やはり戸籍変更できる意義は大きいと思います。
それによって、社会で普通に生きていくための前提条件になるからです。
しかし、様々な理由によって、手術要件を満たさないなどの理由によって、戸籍変更が出来ない人は、
社会でマトモに生きていけないわけですから、かなりの苦労をせざると得ません。

つまり、GID当事者にとって戸籍変更を指せる措置を取ることは、人道的観点、人権保障の観点から、必然のように思います。
そして現在、裁判官の世界においては、GID特例法の手術要件の維持いうものが、今現在その合理性について、支持を失いつつあるように思います。
その証拠が、2023.10.11付静岡家裁浜松支部の決定であったのではないのかと私は思います。

最高裁判所以外の下級裁判所とはいえ、GID特例法の手術要件を違憲を判断して、すなわち法令の一部を違憲を判断したインパクトはかなりのものがあります。
そして、このような判断を下した裁判官について、相応の考慮を踏まえて、一種の覚悟を示したようにも思います。
この判断は、先例になると思いますし、GID特例法の今後のあり方についても、歴史的な意義があると思いました。

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