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付喪神(つくもがみ) 毎週ショートショートnote

僕の住んでいる家は昔『お化け屋敷』と言われていたそうだ。
僕のご先祖が物を大切にしなくて付喪神がたくさん住んでいたって。だけど、だんだん皆成仏していったんだよ。当時一番新しいレインコートが神様と言うか妖怪と言うか、まだいるんだ。

でも彼は友好的で僕とは仲良くやっている。仲間がいなくなって寂しいのだと思う。僕は彼を『レン』と、彼は僕を『タカ』と呼び合っているんだ。
レンはお化けなので、昼間は姿を見せない。夜だと僕のレインコートとして助けてくれることもあった。
学校の話をするとレンは喜んでくれる。生まれ変わったら人間として学校に行きたいと言っていたよ。一生懸命勉強したいって。なんでか聞いたら、なりたいものがあるって言ってたけれど、それが何かは教えてくれなかった。

暫くしてレンも成仏したよ。

25年が過ぎた。

ある雨の日、息子の授業参観に行く。
息子の先生は校門の前でレンによく似たレインコートを着て、懐かしい笑顔で出迎えてくれた。


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付喪神
付喪神(つくもがみ)とは、日本に伝わる、長い年月を経た道具などに精霊(霊魂)が宿ったものである。(ウィキぺディアより)



たらはかにさんの今週のお題『オバケレインコート』です。
先週は難しくて、とうとう書けませんでした。
今回は何とか書けたのでホッとしています。



#毎週ショートショートnote